管理会社の選び方 ── 元トップ営業が本音で語る、見るべきポイント

2026-06-14

不動産投資は、管理を委託するのが基本です。
空室が出たときの初動も、入居者とのトラブル対応も、実際に動かすのは管理会社です。
だから委託すると決めたあとの、どの会社に任せるかで、収益もストレスも大きく変わります。

私は元京都のワンルームデベでトップ営業をしていた立場で、いい管理会社も、雑な管理会社も、現場で見てきました。
この記事では、その視点から、管理会社を選ぶときに見るべきポイントを率直に整理します。

なお、自主管理・委託・サブリースという管理方式の選び方は別記事の一般管理 vs サブリース vs 自主管理、サブリース(家賃保証)の見極めは家賃保証30年の罠で扱っています。
ここでは、委託すると決めた前提で、その委託先となる管理会社の選び方に絞ります。

最低ライン

最初に、足切りのラインを押さえます。

まず、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)に基づく登録制度を確認します。
2021年6月15日に、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者に、国土交通大臣への登録が義務づけられました。
管理戸数が200戸未満の会社は登録義務の対象外ですが、登録の有無と説明姿勢は確認材料になります。
登録業者は全国で約1万者にのぼります(2025年時点)。

登録業者には、次のことが義務づけられています。

営業所ごとに、知識と経験を持つ業務管理者を1名以上置く

管理を任せる契約の前に、報酬や業務内容について、管理受託契約の重要事項説明を書面または承諾を得た電磁的方法で行う

オーナーから預かる家賃や敷金を、会社のお金と分けて管理する

つまり、登録の有無と、契約前の管理受託契約の重要事項説明がきちんとしているかは、最初のふるいになります。
説明をはしょる、書面を出し渋る会社は、その時点で候補から外して構いません。

対応と報告

いちばん見るのは、対応スピードと報告の質です。

別記事でも書いたとおり、空室もトラブルも、初動のスピードが結果を左右します。
そして、その初動を実際に動かすのは管理会社です。
だから私は、管理会社を選ぶときに、対応スピードと報告の質を最優先で見ます。

具体的には、次のような点です。

問い合わせへの返信が速いか(当日〜翌営業日で返ってくるか)

報告の頻度と中身が具体的か(募集状況・反響数・内見数を数字で出すか)

トラブルが起きたときの初動の段取りが明確か(誰がいつ動くか)

担当者と連絡が取りやすいか(窓口が一本化されているか)

これは、契約前の問い合わせ段階で、一定程度判断できます。
こちらの質問にすぐ・具体的に答える会社は、入居者対応も同じように速いことが多いです。
逆に、契約前から返信が遅い会社は、契約後に急に速くなるとは考えにくいです。

空室やトラブルの初動については、別記事の空室の最初の30日入居者トラブルの初動で整理しています。
その初動を任せられる相手かどうか、という目で見ます。

客付け力

対応スピードと並んで重要なのが、空室を埋める力です。

賃貸経営は、稼働率がそのまま手取りに効きます。
募集をどう動かすか、反響をどう次につなげるかは、会社によって差が出ます。

管理戸数や入居率を開示できるか

どの媒体に、どう募集を出すか

退去から次の募集までの動きが速いか

ただし、入居率のような数字は、出し方が会社によって違います。
分母の取り方ひとつで見え方が変わるので、数字だけを鵜呑みにせず、どう算出しているかまで聞くのが安全です。

手数料は安さで選ばない

管理委託料の相場は、一般管理で家賃の3〜5%程度、集金代行だけなら3%程度です。

ここで気をつけたいのは、安さだけで選ばないことです。
手数料は、業務範囲とのバランスで見るものです。
手数料が安くても、対応が遅くて空室が1ヶ月延びれば、その損失は年間家賃の約8%にのぼり、数%の手数料差はあっさり吹き飛びます。

逆に、手数料が高いから対応がいいとも限りません。
料金表の数字だけでなく、その金額で何をどこまでやってくれるのかを、契約前に確認します。

なお、サブリース(家賃保証)の場合、入居者からの家賃とオーナーが受け取る賃料の差額が10〜15%程度になることが多く、一般管理の委託料とは別の仕組みです。
その損得は、管理方式の記事で整理しています。

オーナーの仕事は渡さない

管理会社に任せるといっても、すべてを丸投げするわけではありません。

賃料や募集条件をいくらにするかは、オーナーが決めることです。
管理会社から賃料を下げましょうと提案されることもありますが、最終的に決めるのはオーナーです。
決めるのはオーナー、それを動かすのが管理会社、という役割分担を崩さないことが大事です。

賃料の決め方は、周辺の平米単価で見る方法が有効です。
判断の軸を自分で持っておくと、提案を鵜呑みにせずに済みます。

乗り換え

いまの管理会社に不満があるなら、変えるという選択肢もあります。

乗り換えの大まかな流れは、次のとおりです。

今の契約の契約期間・解約条件・解約予告期間を確認する

解約を申し入れる

新しい管理会社を選定する

新旧で引き継ぎをする(契約書、入居者情報、保証会社の契約、鍵など)

入居者へ、家賃の振込口座変更などを通知する

注意点もあります。
解約には予告期間があり、すぐには切り替わりません。
設備のメンテナンス業者を引き継げないこともあります。
サブリース契約の場合は、一般管理と同じ感覚では切り替えられません。
解約条件、違約金、借地借家法上の扱い、入居者との契約関係まで確認が必要です。
融資を受けている場合は、取引銀行にも変更を伝えておくと安心です。

合わない会社に我慢して任せ続けるより、条件を確認したうえで動くほうが、長い目で見ると収益を守れます。

まとめ

管理会社の選び方を整理します。

まず賃貸住宅管理業法の登録と、管理受託契約の重要事項説明の丁寧さで足切りする

いちばん見るのは対応スピードと報告の質。初動を任せられる相手かを問い合わせ段階で見極める

次に客付け力。入居率などの数字は算出方法まで確認する

手数料は安さで選ばない。業務範囲とのバランスで見る

賃料や条件はオーナーが決める。丸投げしない

合わなければ乗り換えられる。契約条件と引き継ぎを確認して動く

管理会社は、長く付き合うパートナーです。
料金表の数字より、初動の速さと報告の誠実さで選ぶことが、空室期間とその後の収益を左右します。


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