投資用物件の空室で最初の30日にやること

2026-06-10

入居者から退去の連絡が来てからの最初の30日が、その後の空室期間を大きく左右します。

不動産投資では、管理を委託しているケースも多いです。
その場合、写真や広告、内見対応といった客付けの実務は管理会社が動かします。
ただ、それでもオーナーが決めること、連携することはあります。

この記事では、賃料の決め方を中心に、最初の30日でやることを時系列で整理します。
空室が1ヶ月続くと年間家賃の約8.3%が消える計算なので、初動のスピードがそのまま効いてきます。

まずスピードで動く

退去予告は、賃貸借契約で1ヶ月前と定められているのが一般的です。

連絡が来たら、退去日を待たずに動き出します。
原状回復の手配と、次の入居者の募集準備を、並行で進めておきます。
管理会社にも、早めに動いてもらえるよう声をかけます。

スピードを意識する理由はシンプルです。

空室が1ヶ月続くと、年間家賃の約8.3%(12分の1)が消える(管理費・修繕費・広告費などは含まない単純計算)

賃貸の繁忙期は1〜3月で、この山を逃すと次のタイミングまで空くこともある

最初の30日の初動が、空室期間の長さに大きく影響します。

30日のタイムラインで動きを整理する

退去連絡から30日間を、3つのフェーズに分けて考えると動きやすいです。

退去連絡当日〜7日目:情報収集と段取り

退去連絡を受けた当日〜1週間は、情報収集と段取りに使います。

退去日、解約理由、室内の状況を管理会社に確認する

周辺の募集賃料を集める(広さ・駅距離・築年数が近い物件)

原状回復の見積もりを依頼する

募集開始の目安日を管理会社とすり合わせる

この段階で、次に出す賃料の見立てをざっくり作っておきます。
退去日まで時間があるうちに準備を進めると、退去当日からスムーズに動けます。

8〜14日目:賃料設定と募集開始

2週目は、賃料設定と募集開始の準備に入ります。

平米単価で周辺相場と比較し、募集賃料を決める

募集条件(敷金・礼金・フリーレント・ペット可否など)を整理する

募集図面と写真の確認をする

退去日前でも、内見可能な状態であれば前倒しで募集をかける

15〜30日目:反響を見て微調整する

後半は、反響を見ながら微調整します。

媒体ごとの掲載状況と閲覧数を確認する

内見数と申込率を確認する

反応が鈍ければ、条件面(フリーレント、初期費用、設備)で調整する

申込が入ったら、審査と契約を素早く進める

2週間動かして反響が薄い場合は、賃料を下げる前に、条件面から見直します。

賃料をどう決めるか

ここが、オーナーの判断がいちばん効くところです。

賃料は、総額の感覚で決めず、周辺の似た条件の物件と比べて決めます。
比べるときは、広さ・駅からの距離・築年数が近い物件の募集賃料を、平米単価でそろえて見ます。
総額だと広さの違いに引きずられますが、平米単価にすると、自分の部屋が割高か割安かが見えてきます。

平米単価で比較する手順

具体的な手順は、次のとおりです。

同じ駅・徒歩圏で、広さが±5平米程度の物件を5〜10件ピックアップする

各物件の募集賃料を専有面積で割り、平米単価を出す

築年数・設備・階数で補正を入れる(築浅、最上階、独立洗面などは上振れ要因)

自分の部屋の平米単価のレンジを把握する

このレンジを基準に、募集賃料を決めます。

強気と弱気のバランス

そのうえで、いまの市況で好立地の物件であれば、相場の平米単価の少し上で設定して構いません。
賃料は上昇傾向にあり、強気すぎなければ、相場のちょい上でも決まりやすい局面です。
反響を見て、2週間ほど動きが薄ければ調整する、という段取りで進めます。

逆に、安易に下げるのは避けます。
賃料は毎月の家賃収入だけでなく、売却時の評価にも影響しやすいです。
投資用物件は、買い手が利回りを見て価格を判断することも多いため、賃料が下がるとそのまま物件評価にも響きます。

一度下げた賃料は戻しにくく、物件全体の評価まで下がりかねません。

管理会社から"賃料を下げましょう"と提案されることもあります。
その場合も、まず周辺の平米単価で妥当性を確認してから判断します。

原状回復は範囲を見る

退去の精算では、原状回復の範囲を見ておきます。

借主に請求できるのは、原則として故意・過失や通常とはいえない使い方による損耗です。
契約書の特約も確認しながら、管理会社と範囲を整理します。
日焼けによる壁紙の変色や、家具を置いていた床のへこみのような、経年劣化・通常損耗はオーナーの負担が原則です。

これは、2020年4月1日施行の改正民法第621条でも明文化され、国土交通省の"原状回復をめぐるトラブルとガイドライン"でも同じ考え方が示されています。

過剰な原状回復で、無駄に時間とお金をかけないことも大事です。
次の入居に効く部分(ハウスクリーニングや目立つ傷の補修)に絞って、スピードを優先します。

募集が動いているか確認する

管理を委託している場合、客付けの実務そのものは管理会社が担います。
オーナーがやるのは、募集がちゃんと動いているかを確認することです。

管理会社への確認リスト

定期的に確認したい項目を整理します。

複数の媒体(SUUMO、HOME'S、at homeなど)に募集が出ているか

募集賃料・条件が依頼どおりか

写真や図面が最新の状態か

反響数(問い合わせ件数)はどれくらいか

内見数と、内見後の反応はどうか

競合になっている物件はどこか

これらを、週次でも管理会社と共有しておきます。
反応が鈍いときは、賃料をすぐ下げるのではなく、初期費用やフリーレント、設備などの条件で調整できないかを相談します。

反響が鈍いときの優先順位

反響が薄いときに見直す順番は、次のように考えます。

募集条件(フリーレント1ヶ月、礼金ゼロなど)を調整できないか管理会社と相談する

簡易な設備追加(モニターホン、Wi-Fi無料など)を検討する

写真や掲載の見せ方は、管理会社に改善を相談する(オーナーが手を入れる部分ではない)

最後に、賃料を見直す

賃料の下げは最後の手段にして、まずは条件から動かします。

申込が来たら素早く

入居の申込が入ったら、審査と契約はスピーディに進めます。

判断や手続きが遅れると、申込者が他の物件へ流れてしまいます。
とくに繁忙期は動きが速いので、タイミングを逃さないことが大切です。

オーナー側でも、保証会社の審査結果、入居開始日、契約条件の最終確認を素早く返せるように準備しておきます。

まとめ

空室の最初の30日でやることを整理します。

退去予告を受けたら即動く(原状回復と募集を並行で準備)

30日を3つのフェーズに分け、当日〜7日で情報収集と段取り、8〜14日で賃料設定と募集開始、15〜30日で反響を見て微調整する

賃料は周辺の似た条件の平米単価で把握し、いまの市況なら相場の少し上で設定する(安易に下げない)

原状回復は範囲を確認し、通常損耗・経年劣化はオーナー負担を前提に、不要な追加工事を増やしすぎない

募集が動いているかを管理会社と確認し、反応が鈍ければ、まず条件で調整する(見せ方の改善は管理会社に相談)

申込が来たら、審査・契約を素早く進める

管理を委託していても、賃料と条件を決めるのはオーナーです。
最初の30日の初動と、平米単価で見た賃料設定が、空室期間とその後の収益を左右します。


空室の賃料設定や募集条件を、周辺の平米単価から一緒に詰めたい方は、LINEからお気軽にご相談ください。
相場を踏まえて、下げすぎず決まりやすい設定を一緒に考えます。

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