大津市

大津市でテナントを借りるーー店舗賃貸・事務所賃貸の坪単価、立地、契約ポイント

大津市で店舗や事務所を構えて開業・出店を考えるとき、住まい探しとは勝手が違う点がいくつもあります。
賃料の見方は坪単価が基本で、契約は保証金や原状回復の条件が居住用とは異なり、立地の選び方も「誰に来てほしいか」で変わってきます。
加えて大津市は南北に長く商業の核が一つではないため、どの核で構えるかの判断が先に来ます。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、大津市で店舗賃貸・事務所賃貸を検討する際の賃料の目安、立地タイプ別の向き不向き、事業用ならではの契約の確認点、市の創業・出店支援までを実務的に整理いたします。

大津市でテナントを構える前にーー商圏の特徴

大津市は人口約34万人(2025年国勢調査速報値343,051人)の県庁所在地で、大津駅から京都駅まで新快速で約9分、大阪駅まで約40分(2026年時点の目安)という立地です。
行政機能が集まる街であると同時に琵琶湖や比叡山・石山寺を抱える観光都市でもあり、2024年の延べ観光入込客数は約1,132万人(前年比+8.1%・県観光入込客統計調査)でした。
地元の生活需要に、行政やオフィスで働く人、観光客、瀬田の龍谷大学などの学生、石山の東レ滋賀事業場などで働く人の人流が重なっています。

一方で、大津市は南北に約45kmと長く、商業の核も一つではありません。
○ 大津駅前〜浜大津:県都の中心市街地。駅ビルのビエラ大津があり、浜大津には琵琶湖文化館の後継施設が2027年12月開館予定
○ 膳所〜石山〜瀬田:石山駅前の平和堂石山店、瀬田のフォレオ大津一里山など生活商業が厚い
○ 大津京・湖西線南部:ブランチ大津京があり、新市庁舎の整備も予定
○ 堅田・湖西線北部:アル・プラザ堅田を核に、湖西の生活圏を支える
再開発や都市計画の動きは、別記事「
大津市の再開発と都市計画」で整理しています。

誰に向けた店か(地域の住民、駅利用者、観光客、車で来る広域客)と、どの核で構えるかを先に定めると、立地選びがぶれません。
物件を検討するときは、駅前・ロードサイド(国道1号・国道161号沿いなど)・住宅地の3タイプに分けて考えると整理しやすくなります。

テナント賃料の目安ーー坪単価で見る

大津市の貸店舗・貸事務所を比較するときは、総額ではなく「坪単価(1坪あたりの月額賃料)」で見るのが基本です。
目安は次のとおりです(2026年9月時点・不動産ポータルサイト掲載の貸店舗118件〔重複を除き104件〕ベースの目安。募集賃料であり、立地・階数・広さ・状態で大きく変わります)。
○ 店舗全体:月坪単価 約7千〜1.1万円程度が中心(中央値は9千円前後)
○ 大津駅前・浜大津:1万円前後が中心。駅前の小さな路面区画では1.5万〜2万円近い募集も
○ 石山・瀬田・大津京:9千円〜1万円前後が中心
○ 膳所・堅田や湖西線北部:7千円台が中心。広い区画では5千円台も
○ 事務所:掲載は店舗より少なく(75件)、店舗兼用の区画が多く、水準は店舗と大きく変わりません

たとえば10坪なら、坪9千円で月9万円、坪1.2万円なら月12万円が目安です。
駐車場の有無や面積で坪単価と総額の関係が変わるため、同じ立地・同程度の広さで両方を見比べましょう。

なお、大津市の商業地の公示地価は平均約17.9万円/㎡(前年比+5.0%・22地点すべてが上昇)、最高の大津駅前・梅林一丁目は39.4万円/㎡(2026年公示・滋賀県公表の結果概要)で、県平均(約11.7万円/㎡)を上回ります。
上昇幅の県内1位も大津駅前通り沿いの事務所地点(中央三丁目・+13.9%)でした。
ただしこれは「土地の価格」であって賃料そのものではありません。
賃料は募集中の物件で個別に確認しましょう。
エリア・物件選びのご相談は、
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立地タイプ別の向き・不向き

3タイプを、メリットと注意点の順で整理します。

駅前(路面店)のメリット
通勤・通学の人流に加え、大津駅前や浜大津では観光客の往来も取り込めます。
飲食・サービス・物販など、ついで需要の効く業種に向きます。

駅前(路面店)の注意点
坪単価が市内でも高めで駐車場の確保が難しいことがあり、車で来る客が中心の業種には向きにくい場合があります。

ロードサイドのメリット
広い駐車場を確保しやすく、車で来る客や家族連れを取り込めます。
同じ予算で広い面積を取りやすく、大型店舗に向きます。

ロードサイドの注意点
通行量や視認性で集客が左右され、看板や入りやすさの工夫が要ります。
徒歩の人流は駅前ほど見込めません。

住宅地の店舗のメリット
坪単価が抑えめで、地元の固定客をつかむ業種(クリニック・美容・学習塾・テイクアウトなど)や、長く続ける前提の業態に向きます。

住宅地の店舗の注意点
通りがかりの新規客は限られ、口コミやリピートで育てる前提になります。
騒音・営業時間への配慮も求められます。

「どんな客に、どう来てもらうか」を起点に立地を選ぶと、賃料の高い・安いだけで判断せずに済みます。
各エリアの性格は、別記事「
大津駅・膳所エリアに住むのはどう?」「石山・瀬田エリアに住むのはどう?」も参考になります。

居抜き・スケルトンの違いと選び方

テナントは、前の店の内装が残った「居抜き」か、内装のない「スケルトン」かで初期費用が大きく変わります。

居抜きのメリット
厨房や内装・設備を引き継げるため、内装工事費を抑え、開業までの期間を短くできます。

居抜きの注意点
残された造作を引き継ぐ「造作譲渡料」がかかる場合があり、設備の状態や使い勝手が自分の業態に合うとは限らず、古い設備は後から交換費用が出ることもあります。

スケルトンのメリット
内装がない状態から、自分の業態・デザインに合わせて自由に設計でき、設備も新しく揃えられます。

スケルトンの注意点
内装・設備を一から入れるため初期費用が大きく、開業まで時間もかかります。
退去時にスケルトン返しを求められる契約もあるため、原状回復の範囲と費用負担を契約書で確認し、出口の費用も見込みます。

事業用賃貸の契約で居住用と違う点

住まいの賃貸に慣れていると見落としやすい、事業用ならではの条件です。

保証金・償却の確認
事業用では、居住用の敷金にあたる「保証金」が賃料の数か月〜10か月程度と高額になることが一般的です。
額や、退去時に返還されない「償却」の有無は物件・契約で異なるため、契約書で確認します。

原状回復の範囲を確認
国土交通省の原状回復ガイドラインは民間賃貸住宅を想定したもので、店舗・事務所にはそのまま当てはまりません。
事業用は契約書の特約が重視され、借りたときの状態(多くはスケルトン)に戻すのが一般的で、居住用より範囲も費用も大きくなりがちなので、工事範囲・費用負担を契約書で確認しましょう。

契約期間・解約と賃料以外の費用
事業用でも、期間満了で終了し更新のない定期借家契約が使われることがあり、続けて借りるには双方合意の再契約が必要です。
中途解約の予告期間も居住用(1か月前が一般的)より長いことが多く、撤退の条件も先に確認します。
共益費・看板使用料が別にかかることがあり、事業用の賃料には消費税もかかります(住宅の家賃は非課税)。固定費は合算した総額でとらえましょう。

許認可と建物側の確認
飲食店は大津市保健所の営業許可が必要で、施設基準があるため工事前に保健所へ相談しておくのが安全です。
用途地域で営める業種か、消防の届出が必要かも確認します。
店舗・飲食店など特殊建築物への用途変更は、変更する部分の床面積が200㎡を超えると原則として建築確認申請が必要です(2019年6月の建築基準法改正で200㎡以下は不要。基準適合は必要)。

開業時は、保証金・内装工事費・賃料の数か月分(フリーレントの有無)・設備費を合わせた「開業までの総額」を早めに見積もっておくと、無理のない出店につながります。

大津市の創業・出店支援を活用する

大津市は近隣市と共同で創業支援等事業計画を策定しており(2014年6月国認定)、創業スクールなど「特定創業支援等事業」(経営・財務・人材育成・販路開拓を学ぶ所定の要件あり)を受けて市の証明書を得ると、会社設立時の登録免許税の軽減、創業関連保証の特例、日本政策金融公庫の貸付利率の引き下げなどの支援を受けられます(窓口は大津市商工労働政策課)。

市の「創業促進事業費補助金」(2026年度)は、創業時の店舗等借入費・改装費・設備費・広報費などの一部を補助する制度で、補助率は2分の1、上限は50万円(令和9年3月31日時点で35歳以下の若者は100万円)でした。
2026年度の2次募集は8月31日で締め切られ、募集期間や要件は年度ごとに変わります。
大津商工会議所では、創業・起業の相談、専門家派遣(初回無料)、創業スクールを実施しています。

出店を具体的に検討する段階で、市や商工会議所の公式情報で最新の内容を必ず確認してください。
物件を契約してからでは対象外になる費用もあり得るため、支援制度を使うなら物件探しと並行して早めに相談しておくのが安全です。

まとめ:大津市でテナントを借りるチェックリスト

最後に、確認ポイントを整理します。
○ 商圏:行政・オフィス・観光客・学生など複数の人流。核(大津駅前〜浜大津/膳所〜石山〜瀬田/大津京/堅田)を先に選ぶ
○ 賃料:坪単価で比較(店舗で月坪7千〜1.1万円程度が中心・2026年9月時点・掲載情報ベース)
○ 立地:駅前・ロードサイド・住宅地で集客も賃料も変わる
○ 居抜きかスケルトンかで初期費用と開業までの期間に大きな差
○ 契約:保証金・原状回復(スケルトン返し)・定期借家か・共益費と消費税を契約前に確認
○ 許認可:飲食店は保健所へ工事前に相談。用途地域・消防・200㎡超の用途変更も確認
○ 支援制度:市の補助金や商工会議所の窓口は年度ごとに変わる。早めに確認

複数の核と人流が重なる大津だからこそ、どんな客に向けてどの核のどの立地で構えるかの見極めが、長く続く出店につながります。

大津の街全体の特徴は、別記事「大津市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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