草津市

草津市の人口推移と住宅需要の今後ーー国勢調査・将来推計から住まい選びを読む

住まいを探すとき、駅からの距離や価格は熱心に比べても、その街に何人が住んでいて今後どうなるのかまで確認される方は多くありません。
ただ、人口と世帯の動きは、地域の住宅需要とその街の将来を静かに支えている土台です。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、国勢調査・住民基本台帳・国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の将来推計をもとに、草津市の人口と世帯の動きを整理いたします。
数字そのものよりも、そこから住まい選びに何が言えるのかを中心にお読みください。

草津市の人口推移ーー国勢調査で見る15年間

まず、国勢調査という同じ基準で15年間の推移を確認します。
以下はいずれも総務省統計局「国勢調査」(各年10月1日現在)の値です。
草津市の人口は2010年に130,874人、2015年に137,247人、2020年に143,913人(前回比+4.86%)と、一貫して増加してきました。

そして2025年(令和7年)10月1日現在で実施された国勢調査の人口速報集計では、148,731人となっています。
2020年からは+4,818人・+3.3%の増加です。
なお速報集計の値であり、確定値は2026年(令和8年)9月に公表される予定です。

注目したいのは、同じ調査で見た全国・滋賀県の動きとの対比です。
いずれも2025年10月1日現在の速報値で、2020年との比較です。
○ 全国:123,049,524人(-3,096,575人・-2.45%)
○ 滋賀県:1,392,439人(-21,171人・-1.50%)
○ 草津市:148,731人(+4,818人・+3.3%)

全国も滋賀県も減少に転じたなかで、草津市は増加を維持しています。
背景には、草津駅・南草津駅というふたつの新快速停車駅と京阪神への通勤利便、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)、市内の大手事業所といった、需要の受け皿が複数あることが挙げられます。

ここで重要なのは、短期的なブームではなく、15年にわたって人口が積み上がってきたという事実です。
長期保有を前提に住まいを選ぶうえで、この継続性は落ち着いて評価できる材料になります。

国勢調査と住民基本台帳で人口が違う理由

草津市の統計を見ていると、もうひとつ別の人口が出てきます。
市が毎月公表している住民基本台帳ベースの人口は、2026年6月末で141,926人・66,675世帯です。
先ほどの国勢調査速報の148,731人とは、約7,000人の差があります。

基準日が異なる(2025年10月1日と2026年6月末)ことも一因ですが、それだけでは説明できない開きです。
理由は、両者の数え方が違うことにあります。
国勢調査は住民票の有無にかかわらず、3か月以上住んでいる場所(常住地)で人を数えます。
そのため、住民票を移していない学生なども含まれます。
草津市には立命館大学BKCが立地しており、こうした差が生じやすい市だといえます。

どちらが正しいという話ではなく、統計の性格が違うと理解しておくことが大切です。
○ 国勢調査:実際にその街で暮らしている人の規模に近い(5年に1度)
○ 住民基本台帳:住民票をもとに毎月更新され、直近の動きを追える

住宅需要を読むときは、この2つを混ぜて増減を語らないことが基本です。
そのうえで、実際に暮らしている人の規模と、住まいの単位である世帯の数の両方を見ておくと、判断がぶれにくくなります。

世帯数と世帯の小規模化

住宅需要を考えるうえでは、人口以上に世帯数が効いてきます。
住まいは人単位ではなく、世帯単位で必要になるからです。

草津市の世帯数は住民基本台帳ベースで66,675世帯(2026年6月末)です。
人口141,926人で割ると、1世帯あたりは約2.1人になります。

世帯の小規模化そのものは、草津市に限った話ではありません。
参考として滋賀県全体の動きを見ると、2025年国勢調査の速報値では次のようになっています。
○ 人口:1,392,439人(2020年比 -1.50%)
○ 世帯数:590,946世帯(2020年比 +3.43%)

県全体では人口が減っているのに、世帯数は増えています。
1世帯あたりの人数が減っているためで、核家族化と単身・二人世帯の増加が背景にあります。
これは県全体の傾向であって、人口が増えている草津市の増減とは分けて捉える必要がありますが、住まいの単位が小さくなっていく流れ自体は共通しています。

この変化は、住宅に求められる広さや間取りにも影響します。
広い住宅一辺倒ではなく、コンパクトで動線の良い住宅や、将来の家族構成の変化に対応できる可変性のある間取りにも需要が生まれます。
住まい選びでは、自分たちのライフステージだけでなく、将来この家を必要とする属性がどう変わっていくかまで視野に入れておくと、長期的な判断がぶれにくくなります。

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2050年の草津市ーー将来推計と年齢構成

次に、将来の見通しです。
社人研「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によると、草津市の2050年の人口は144,542人と推計されています。
2020年国勢調査(143,913人)と比べて+0.4%で、2020年代から2030年代にかけて増加し、その後は緩やかな減少に転じる見通しです。

全国の多くの自治体で人口減少が見込まれるなか、30年後も横ばい圏にとどまる見通しの自治体は限られます。
この推計の2025年の値は148,095人でしたが、実際の国勢調査速報は148,731人でした。
推計をやや上回るペースで推移していることになります。

一方で、人口が減らないことと高齢化が進まないことは別の話です。
同じ推計では、草津市の高齢化率は2020年の約21%から、2050年には約32%へ上昇する見通しです。
現時点では全国平均を下回る水準ですが、30年で10ポイント以上の上昇は小さくありません。
人口の総数が保たれていても、年齢構成は確実に変わっていきます。

なお推計は、出生や転入の前提が変われば結果も変わるものです。
ひとつの数字を断定的に受け取るのではなく、方向感として押さえておくくらいがちょうど良い距離感です。

人口・世帯動態が住宅需要に与える含意

ここまでのデータを、住まい選びの観点から整理いたします。

第一に、人口と世帯数が安定している地域では、新築・中古を問わず住まいの実需が継続的に生まれやすい環境だと考えられます。
新築に比べ価格が抑えられる中古住宅も、現実的な選択肢として検討しやすくなります。

第二に、将来の住み替えを考える場面でも、需要を支える人口・世帯の動きは確認材料の一つになります。
長く住むつもりで購入しても、転勤や家族構成の変化で売却や住み替えを検討することはありえます。
ただし売却のしやすさは、立地や接道、規制、建物・管理の状態など物件ごとの差が大きく、街の人口動向だけで決まるものではありません。
物件側の条件については、別記事「
草津市で将来売却しにくくなる住宅の特徴」で整理しています。

第三に、高齢化は草津市でも進みます。
バリアフリー、医療機関へのアクセス、平地で歩いて用事を済ませられるかといった、「将来も住み続けられるか」の視点が今後は重みを増します。
「いま快適に暮らせるか」と「20年後も無理なく暮らせるか」を両立させる発想が、これからの住まい選びの軸になります。

なお、これらは「人口が増えているから今すぐ買うべき」「減っているから買うべきでない」という話ではありません。
人口が増え続ける前提で予算を組むことも避けたいところです。
マクロの安定は土台であって、購入の可否を決めるのは、あくまでご家族の暮らしと資金計画です。

まとめ:人口動向を踏まえた住まい選びの判断軸

草津市の人口データから読み取れることを整理します。
○ 国勢調査ベース:2010年130,874人→2020年143,913人→2025年速報148,731人と、15年間一貫して増加
○ 同じ調査の2025年速報で全国は-2.45%・滋賀県は-1.50%=減少局面のなかでの増加
○ 住民基本台帳ベース:2026年6月末で141,926人・66,675世帯(統計の性格が異なるため国勢調査とは混ぜない)
○ 世帯の小規模化:草津市は1世帯あたり約2.1人。県全体では人口減・世帯増が進む
○ 社人研推計:2050年144,542人(2020年比+0.4%)、高齢化率は約21%から約32%へ

これらはあくまで土台の理解であって、物件選びの答えそのものではありません。
大切なのは、マクロデータを前提として理解したうえで、自分たちの暮らしに合った物件を冷静に選ぶことです。

エリアごとの資産性の違いについては、別記事「草津市の住宅は資産価値を維持できる?」もあわせてご覧ください。
街全体の特徴は「
草津市はどんな街?」で整理しています。

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