太陽光発電所の中古販売が広がる、価格は1000万〜2000万円ーー近づく卒FIT、利回り13〜15%の物件が並ぶなか割高の声も|ONZA的市況ニュース
2026-10-01

記事内容:小型の太陽光発電所の中古販売が広がる、価格は1000万〜2000万円、近づく卒FITで割高の声も
2026.10.1の日経新聞で、小型の太陽光発電所の中古販売が広がっていると報じられました。
固定価格買い取り制度(FIT)の導入から10年を超え、売却される施設が市場に出回っているためで、販売価格は1000万〜2000万円前後です。
今後は出回る物件がさらに増えるとみられ、価格の動きに注目が集まっていると記事は伝えています。
記事は、都内で飲食店を営む49歳の男性が、10年ほど前に千葉県八街市で2000万円程度の太陽光発電所を購入し、管理を地元企業に委託している例を紹介しています。
男性は「ほったらかしでも安定収入なのが魅力だった」と話し、本業の収入が不安定ななかで「バランスのいい副業」と位置づける一方、今後は「『卒FIT』をにらみどう対処するか考えていかなければならない」としています。
再生可能エネルギーでできた電気を国が決めた固定価格で電力会社が買い取るFITが2012年に導入されたことで、太陽光発電は急速に広がり、事業用は全国で約70万施設にのぼります。
大半は50キロワット未満の低圧施設で、発電容量でも3分の1程度を占めます。
所有者は個人や中小企業が多いとみられ、"アパート投資感覚"の中高年や、信販会社のローンを使った30代などさまざまです。
その発電所の売り買いが増えています。
エレビスタの売買サイトには全国約700の物件が掲載され、宮城県内の1300万円で利回り15%の物件や、群馬県の800万円で利回り13%の物件などが並び、メガ発やタイナビ発電所といったサイトもあります。
新設時に2000万〜3000万円前後だった施設が、中古市場では1000万〜2000万円ほどに下がって取引されています。
売却のきっかけは、機器の故障や保険契約の終了などです。
FITの買い取り価格の引き下げが続くなか、金利上昇やインフレの局面で、金利負担や修繕費などを電気の販売価格に転嫁できないことも背景にあります。
20年間の事業用のFIT期間の終わりが見えてきたことも大きな要因で、FIT期間後の買い取りは電力会社次第になります。
FIT期間10年を終えた住宅用では、終了後の売電価格が1キロワット時あたりおおむね10円前後で、FIT導入初期の30〜40円台には及びません。
一方で、いまから中古の太陽光施設を買う側には、環境・地域問題などによるイメージの悪化もあり、売買サイトは「新設時のバブルのような熱気はない」としています。
投資というよりも、一括償却を使った節税対策が目立つといいます。
市場では、FIT期間の終了後の不透明感から、割高感を指摘する声も上がっています。
買い手の熱気が乏しいなかで卒FITの時期が近づけば、売却物件が急増し、相場が急落する可能性もあります。
現在の売買サイトには管理がしっかりした物件が多いものの、投資案件の調査に関わる関係者は「山奥に埋もれ所有者自身が忘れているような物件など、何でもありの世界」と話し、今後持ち込まれる物件の質が下がる恐れを指摘しています。
逆に、好物件には潜在的な需要があります。
太陽光施設の資産査定を手がけるエクソルでは、再生エネの確保を急ぐ大手企業などからの購入に関わる依頼が増えています。
NTT子会社で再生エネ事業を手がけるNTTアノードエナジーはエレビスタと組んで中小発電所の管理代行サービスを準備中で、電力の購入や物件自体の購入も視野に入れています。
国の2040年度に向けたエネルギー基本計画では、太陽光の電源構成比率の目標を23〜29%とし、2023年度の9.8%の2〜3倍に設定しています。
国は指定した大手企業への集約を目指し、手続きの簡素化などの支援制度も始めました。
NTTアノードエナジーの大濱康広RE戦略部部長は、売買の活発化には「セカンダリー市場の投資指標や合理的な相場形成が必要だ」と話し、記事は"バブルの遺跡"となるのか"お宝"になりうるのか、ブームの検証はこれからが本番だと結んでいます。
ポイント:中古の太陽光発電所と卒FIT
👉 中古は1000万〜2000万円、新設時から下がって取引
新設時に2000万〜3000万円前後だった施設が1000万〜2000万円ほどで売買され、利回り13〜15%の物件も並んでいます。
👉 売却の背景に故障・保険の終了とコスト転嫁の難しさ
金利負担や修繕費などを電気の販売価格に転嫁できないことも、売却を後押ししています。
👉 20年の固定価格買い取りの終わりが近づく
FIT期間後の買い取りは電力会社次第で、住宅用の例では1キロワット時10円前後と、導入初期の30〜40円台を下回ります。
👉 割高の声と、好物件への潜在需要
売却の急増で相場が急落する可能性が指摘される一方、大手企業などからの購入の依頼も増えています。
不動産との関係:同じ"利回り"でも、期限付きの固定価格と家賃では収入の続き方が違う
記事が伝えるのは、"アパート投資感覚"で買われた太陽光発電所が、20年の固定価格買い取りの終わりを前に中古市場へ出回り、利回り13〜15%の物件が並ぶなかで割高の声も出ている構図です。
同じ"利回り"でも、収入が何に支えられ、どれだけ続くかで中身は変わります。
太陽光発電所の収入は、FITで国が決めた価格で電気を売る売電収入です。
FIT期間中は価格が固定されるため、天候による発電量の差を除けば収入が読みやすく、記事の男性が話す安定収入につながります。
その反面、価格が固定されている分、金利負担や修繕費が上がっても売電価格に上乗せできず、売電収入が同じでも手元に残る額が減ります。
20年の期間が終わると買い取り価格は電力会社次第になり、住宅用の例では10円前後まで下がります。
利回りが高く見える物件ほど、残りの期間とセットで見る必要があります。
○購入価格:1300万円(記事の宮城県の物件)
○利回り15%を購入価格に単純に掛けた年間収入:195万円
○年間収入の合計が購入価格に並ぶまで:約6.7年
○2012年の制度開始直後に動き出した発電所のFIT期間:2032年ごろに終了(2026年時点で残りは6年ほど)
※掲載の利回りの算出の基準は物件ごとに異なり、経費や税、FIT期間後の売電収入を除いた単純計算です。
個々の物件の残り期間は稼働を始めた時期によって異なります。
FIT期間の残りが6.7年より短ければ、期間中の売電収入だけでは購入価格に届かず、残りはFIT期間後の売電や売却で埋めることになります。
利回りの高さは、残りの期間の短さと期間後の不透明さを価格が織り込んだ結果とも読めます。
賃貸住宅の家賃は、住まいを借りたい人の需要に支えられた収入です。
制度で期限が区切られておらず、入居者が入れ替わるときには周辺の相場に合わせて設定し直すことができるため、物価が上がる局面では見直す余地があります。
物価が上がる局面での家賃の動き方についてはインフレと不動産 ── 家賃と実物資産は物価にどう効くかで整理しています。
その反面、家賃は築年とともに緩やかに下がる傾向があり、周辺の需給によっても動き、空室が出れば収入は途切れます。
収入が途切れる場面があること自体は、故障で発電が止まれば売電収入が途切れる太陽光と両者共通です。
築年による家賃の下がり方については家賃下落カーブの真実:築年別データで見る30年後 ── 元トップ営業がフェアに整理するで整理しています。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、新設時に2000万〜3000万円前後だった発電所が1000万〜2000万円で売買され、利回り13〜15%の物件が並ぶ一方で、卒FITを前に割高の声が出ている点です。
利回り15%は、単純計算で約6.7年分の収入で購入価格に並ぶ水準ですが、その収入が何年続くかは制度の期限で区切られています。
ONZAは不動産の収益の源泉を家賃に置き、利回りは数字の高さだけでなく、収入が何に支えられ、どれだけ続くかで見ています。
家賃は期限で区切られない分、その収入を支える需要が続く立地かどうかが、利回りの中身になります。
相場は個人には動かせないため、家賃を長く保てる立地を選び、長く保有する前提で構えるのが基本です。
保有から出口までの期間を含めた利回りの見方については表面利回りの先 ── CCRとIRRで自己資金効率と時間まで見るで整理しています。
まとめ
👉 記事内容の要点
FIT導入から10年を超え、小型の太陽光発電所の中古販売が広がり、新設時に2000万〜3000万円前後だった施設が1000万〜2000万円ほどで取引されている
売却の背景には、機器の故障や保険契約の終了、金利負担や修繕費を電気の販売価格に転嫁できないこと、20年の事業用FIT期間の終わりが見えてきたことがある
FIT期間後の買い取りは電力会社次第で、住宅用の例では1キロワット時10円前後と導入初期の30〜40円台を下回り、市場では割高感や相場急落の可能性も指摘されている
一方で好物件には大手企業などの需要があり、国は太陽光の電源構成比率を2040年度に23〜29%とする目標を掲げている
👉 行動指針
利回りは数字の高さだけでなく、収入が何に支えられ、どれだけ続くかで見る(利回り15%なら購入価格に並ぶまで単純計算で約6.7年)
固定価格の収入は読みやすい一方でコストの上昇を転嫁できず、家賃は入居者の入れ替え時に相場に合わせて見直せる一方で築年や空室の影響を受けるため、両方の性質を踏まえて比べる
投資用不動産は、家賃を長く保てる需要がある立地かどうかを、駅からの距離や周辺の家賃相場、空室の状況で確かめる
ご相談について
投資用でご検討の方
利回りの数字は、収入の根拠と続く期間とセットで見ると比べやすくなります。
検討中・保有中の物件について、家賃の根拠となる周辺の相場や空室の状況から、収入がどれだけ続くかの見通しと出口までを一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
賃貸中の不動産を売るときも、買い手は家賃の収入がどれだけ続くかを見て価格を判断します。
お持ちの物件の家賃の推移や入居の状況を整理して、売り出しの準備から一緒に進めます。
居住用でご検討の方
屋根に太陽光発電がある住宅を検討するときは、FIT期間の残りと、期間後に売電と自家消費のどちらで使うかも確かめておくと、光熱費の見通しが立てやすくなります。
暮らしに合う住まいと、無理のない資金計画を一緒に整理していきましょう。
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