"金利ある世界"に眠る家計資産ーー10年債利回りは30年ぶりの3%、預金比率は44.9%、問われる資産の置き場所|ONZA的市況ニュース
2026-09-25

記事内容:長期金利の上昇が家計の資産運用の常識を書き換える
2026.9.25の日経新聞のコラム、大機小機で、長期金利の上昇が家計の資産運用の常識を書き換えていると論じられました。
10年国債の利回りは30年ぶりに3%に達し、30年債は4%を超えています。
2027年度予算の概算要求で国債の利払い費の前提となる想定金利は3.8%に上がり、日銀の政策金利も1.25%になりました。
コラムは、"金利のない世界"は完全に過去のものになったとしています。
家計にも変化が表れています。
日銀の資金循環統計によると、6月末の家計の金融資産は2519兆円と過去最高になり、株式等は486兆円、投資信託は193兆円と、ともに過去最高です。
これに対して現金・預金は1132兆円で、金融資産に占める比率は44.9%まで下がりました。
株式と投資信託は株高や円安による評価額の上昇も大きく、資金が動いた結果なのか、価格が上がった結果なのかを見極める必要があるとコラムは指摘しています。
預貯金への偏りは長く安全志向と呼ばれてきましたが、インフレの時代には安全のコストも高まります。
預金金利が物価上昇率を下回れば、元本は減らなくても購買力は減っていきます。
コラムは、金利ある世界とは預金に戻る時代ではなく、資本市場を通じて資産の置き場所を改めて問う時代だと述べています。
政府も動き始めました。
7月に決定した"成長投資を促進するための金融戦略"は、資産運用立国のアップグレードを掲げています。
6月には、銀行の投資専門会社が上場後も出資を続けるクロスオーバー投資や、上場している事業承継会社への資金供給、M&A(合併・買収)の仲介を可能にする規制緩和も施行されました。
預金を集めて融資するだけでなく、リスクマネーを供給し企業の成長に伴走する金融への転換です。
ただ、制度を変えるだけではお金は動かないとコラムは指摘します。
金融機関が投資信託や保険など販売手数料の高い商品を追い、顧客の最善の利益より自社の収益を優先するなら、貯蓄から投資への流れはまた看板倒れになります。
問われるのは商品を売る力ではなく、企業を見極める力、資産を運用する力、そして顧客に長期投資を助言する力だとしています。
日本の問題は、巨額の家計資産を成長企業につなぎ、企業価値の上昇を家計へ還流させるインベストメントチェーンがなお細いことだとしています。
金利ある世界をその鎖をつなぎ直す好機にできるか、問われるのは家計の投資姿勢だけではなく、日本の金融そのものの覚醒だとコラムは結んでいます。
ポイント:金利ある世界の家計資産
👉 10年国債利回りは30年ぶりの3%、30年債は4%超、政策金利は1.25%
概算要求の想定金利も3.8%に上がり、金利のない世界は過去のものになったとコラムは述べています。
👉 家計の金融資産は2519兆円、現金・預金の比率は44.9%
株式等486兆円、投資信託193兆円はともに過去最高で、評価額の上昇と資金の移動を見極める必要があると指摘しています。
👉 預金への偏りにかかる安全のコスト
預金金利が物価上昇率を下回れば、元本は減らなくても購買力は減ります。
金利ある世界は、預金に戻る時代ではなく資産の置き場所を改めて問う時代だとしています。
👉 問われるのは金融の側の力
政府は金融戦略と銀行の投資専門会社の規制緩和を進めましたが、手数料の高い商品を売る姿勢のままでは貯蓄から投資への流れは進まず、家計資産を成長企業につなぐインベストメントチェーンを太くできるかが問われています。
不動産との関係:マンションの修繕積立金にも、預金の安全のコストがかかる
コラムのいう安全のコストは、預金金利が物価上昇率を下回ると、元本は減らなくても購買力が減るという仕組みです。
区分マンションを持つ人には、自分の口座とは別に、この仕組みが効く預金があります。
管理組合の修繕積立金です。
修繕積立金は十数年ごとの大規模修繕に向けて長い期間ため続けるお金で、工事の時期に確実に使えることが優先されます。
預金で持っている場合、資材や人件費の上昇で工事費が上がる局面では、利息が工事費の上がり方に追いつかない分だけ、同じ工事をする力が目減りします。
預金のコストと現金の持ち方については預金は「0.1%への投資」である ── なぜ現金保有を最小化するべきかで整理しています。
金利ある世界では、積立金の置き場所を考えるときに、預金金利に加えて管理組合向けの債券の利率も比較の対象になります。
管理組合向けの利付10年債券である住宅金融支援機構のマンションすまい・る債は、2026年度発行分の10年満期時の年平均利率が2.000%(税引後1.6938%)です。
置き場所による差を数字で並べます。
○前提:修繕積立金1億円(例:50戸・1戸あたり200万円)を10年間置く、工事費は年3%上がるものとする
○10年後に同じ工事にかかる費用:約1億3440万円
○普通預金(金利0.5%)に置いた場合:約1億420万円、同じ工事に対する不足は約3020万円(1戸あたり約60万円)
○マンションすまい・る債(年平均2.000%)に置いた場合:約1億1690万円、不足は約1750万円(1戸あたり約35万円)
※仕組みを理解するための仮定です。
利息は税引後の単純計算で、実際の積立金は毎月の積立で増え、工事費の上がり方は時期と工事の内容で異なります。
普通預金の金利は3メガバンクが11月2日から適用する0.5%、すまい・る債の利率は住宅金融支援機構の2026年9月時点の案内によります。
同じ1億円・10年でも、置き場所の違いで約1270万円の差が出ます。
住宅金融支援機構によると、2026年度のすまい・る債の応募は8月末時点で18万3200口と前年度の同じ時期の219.5%、応募した管理組合は3294組合で187.3%に増えています。
コラムのいう資産の置き場所の問い直しは、管理組合の積立金にも表れています。
2026年度の応募受付は10月9日までの先着順で、募集口数に達した時点で締め切られます。
どこに置くかは、次の工事までの期間、必要な額、取り崩しやすさを総会で比べて決めるものです。
すまい・る債は修繕工事などのためであれば発行から1年以上たてば手数料なしで中途換金できますが、10年債であることに変わりはありません。
区分マンションを持つ人や中古マンションを検討する人が確かめる項目は3つです。
1つ目は、長期修繕計画の工事費が最新の単価で見直されているかです。
古い単価のままの計画では、積立金の不足が見えにくくなります。
2つ目は、積立金の置き場所と、すぐ使う分と先の工事に向けた分の使い分けです。
3つ目は、積立金の改定予定と管理の評価です。
すまい・る債は、管理計画認定を受けたマンションでは2.100%、マンション管理適正評価制度で★4つ以上などの評価を得たマンションでは2.050%と、所定の条件を満たすと利率が上乗せされる仕組みです。
修繕積立金と長期修繕計画、認定制度の見方については大津市の中古マンションは築年数と管理で見るーー修繕積立金・長期修繕計画・認定制度で整理しています。
一棟や戸建ての修繕の備えを自分の預金で持つ場合も同じ仕組みで、目標額を工事費の上がり方に合わせて見直しておきます。
ONZAとしての整理
今回のコラムで目を引くのは、10年国債の利回りが30年ぶりの3%、30年債が4%超、概算要求の想定金利が3.8%という金利の水準と、預金への偏りを安全のコストと言い切った点です。
ONZAは不動産の収益の源泉を家賃に置いていますが、区分マンションで家賃が続くかどうかは、立地に加えて建物の管理に支えられ、その管理の原資は修繕積立金です。
金利ある世界では、その積立金をどこに置くかで工事をする力に差が出ます。
1億円・10年・工事費年3%上昇の仮定で、普通預金とすまい・る債の差は約1270万円でした。
管理組合の総会で積立金の置き場所が議題になったときは、利率、期間、取り崩しやすさを並べて比べます。
中古マンションを買うときは、積立金の残高だけでなく、置き場所と計画の単価の新しさまで確かめます。
もう一つは、管理の評価が積立金を運用する条件にも影響する点です。
すまい・る債は、管理計画認定を受けたマンションでは2.100%、所定の管理の評価を得たマンションでは2.050%と、条件を満たすと通常の2.000%に利率が上乗せされます。
管理計画認定やマンション管理適正評価は、売却時に買い手が見る材料になるだけでなく、こうした運用の条件にもつながります。
駅からの距離、通勤先へのアクセス、単身と世帯の流入、周辺の競合賃料を確認できる好立地の区分は家賃が続きやすい資産ですが、長く持つほど建物の管理の差が効いてくるため、購入時には立地と合わせて管理の評価と積立金の中身を確かめます。
まとめ
👉 記事内容の要点
10年国債の利回りは30年ぶりの3%、30年債は4%超、概算要求の想定金利は3.8%、日銀の政策金利は1.25%で、金利のない世界は過去のものになった
6月末の家計の金融資産は2519兆円で、株式等486兆円・投資信託193兆円は過去最高、現金・預金は1132兆円で比率は44.9%に下がった
預金金利が物価上昇率を下回れば元本は減らなくても購買力は減るため、金利ある世界は資産の置き場所を改めて問う時代だとコラムは述べている
政府は金融戦略と銀行の投資専門会社の規制緩和を進めたが、家計資産を成長企業につなぐインベストメントチェーンを太くできるかは金融の側の力が問われている
👉 行動指針
区分マンションを持つ人は、管理組合の修繕積立金にも預金の安全のコストがかかることを押さえ、長期修繕計画の工事費が最新の単価で見直されているかを確かめる
積立金の置き場所は、次の工事までの期間、必要な額、取り崩しやすさで比べる(1億円・10年・工事費年3%上昇の仮定で、普通預金0.5%とすまい・る債2.000%の差は約1270万円)
中古マンションを検討するときは、積立金の残高に加えて、置き場所、計画の単価の新しさ、管理計画認定などの評価を確かめる
ご相談について
投資用でご検討の方
区分マンションの家賃が続くかどうかは、立地に加えて建物の管理と、その原資である修繕積立金に支えられます。
検討中・保有中の物件について、長期修繕計画、積立金の残高と置き場所、改定予定、管理の評価を一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
売却では、修繕積立金の残高と長期修繕計画、管理の評価が買い手の判断材料になります。
お持ちの物件の管理の状況を整理し、買い手に伝える材料づくりから一緒に進めます。
居住用でご検討の方
中古マンションを選ぶときは、価格と立地に加えて、修繕積立金がどこに置かれ、計画がいつ見直されたかも確かめておくと、住んでからの負担の見通しが立てやすくなります。
暮らしに合う住まいと、無理のない資金計画を一緒に整理していきましょう。
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