大津市

大津市の住宅は資産価値を維持できる?エリア別に将来性を整理

大津市の住宅の資産価値は、市全体の平均では語れません。
同じ市内・同じ面積帯の中古マンションでも、駅によって価格の中央値には約2倍の差があります。
大津で資産価値を考えるときは、「大津だから」ではなく、どの駅・どのエリアのどんな物件かまで絞り込むことが出発点になります。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、大津市の市場動向とエリア別の資産性を整理いたします。
住まいは暮らしに合うことが第一ですが、長く持つものだからこそ、将来の売りやすさ・貸しやすさまで見ておくと安心です。

大津市全体の市場動向ーー人口は微減、世帯は増加

まず市全体の数字を押さえます。
令和7年国勢調査の速報値では、大津市の人口は343,051人と前回調査から0.59%の微減となった一方、世帯数は150,426世帯と2.97%増えています。
人口の伸びで需要が押し上げられる局面ではありませんが、一人暮らしや夫婦のみといった小さな世帯が増えており、世帯ベースの住まいの需要は続いています。

地価は、2026年の地価公示で住宅地平均が約8.2〜8.4万円/㎡・前年比+1.6〜1.9%程度(集計により幅があります)と、緩やかな上昇です。
ただし、この平均を見て安心するのも、微減の人口を見て不安になるのも早計です。
大津市は市域が南北に長く、駅・沿線によって需給の厚さが大きく異なるため、市平均はエリアごとの実態を均した数字にすぎません。

実際、中古マンションの駅別の中央値は、60〜80㎡で堅田駅の1,680万円から大津京駅の3,380万円まで、80〜100㎡で堅田駅の2,080万円から大津駅の4,880万円まで(SUUMO掲載情報・集計期間2025年7月1日〜2026年6月30日・各駅徒歩15分以内の最終掲載価格で、成約価格ではありません)と、同じ面積帯でも駅によって約2倍の開きがあります。

需要を支えているのは、京都駅まで新快速で約9分という通勤利便、県庁所在地としての官公庁・市内事業所、そして大学と、複数の需要源です。
需要の受け皿が一つに依存していないことは、長期で見た資産性の土台になります。
人口・世帯の動きの詳細は、別記事「
大津市の人口推移と住宅需要の今後」で整理しています。
ここからは、エリア別に資産性を見ていきます。

中心部(大津駅・膳所駅周辺)ーー県都の中心と再開発の動き

大津駅・膳所駅周辺は、県庁・市役所などの行政機能と商業が集まる、県都の中心エリアです。
大津駅は新快速の停車駅で京都駅まで約9分、膳所駅は普通列車のみの停車ですが、京阪石山坂本線との乗り継ぎや生活利便も含めて評価されるエリアです。
中古マンションの中央値も、80〜100㎡で4,880万円(前掲の条件)と市内で最も高い水準です。
行政・商業・交通が集約され、検討する属性が幅広いことが、この水準を支えています。

このエリアの将来性を考える材料として、まちの更新が続いていることも挙げられます。
JR膳所駅前では、2024年に市街地再開発準備組合が設立され、2025年に基本構想が策定されるなど、再開発はまだ構想段階ながら動きが始まっています。
一方、びわ湖浜大津駅の近くでは、琵琶湖文化館の後継施設が2027年12月に開館予定と、時期まで公表された整備も進んでいます。
資産価値の上昇を約束するものではありませんが、中心部に人を呼び込む更新が続いていること自体が、需要の持続性を判断する材料の一つになります。

一方で、価格水準がすでに市内で最も高いエリアのため、「割安に買える」機会は多くありません。
長期保有を前提とした選択肢としては有力ですが、無理のない予算で選ぶことが前提になります。

南部(石山駅・瀬田駅周辺)ーー新快速の石山と、大学・事業所の瀬田

石山駅は、大津駅と並ぶ新快速停車駅で、大阪駅まで乗り換えなしの約46分(2026年時点の目安)と、京都・大阪の両方に通える利便が資産性の軸になります。
駅周辺には商業も集まり、子育て世帯から単身者まで検討する属性が幅広いエリアです。
検討者の幅が広いことは、売却・賃貸時に買い手・借り手を見つけやすいこと、つまり流動性につながります。

瀬田駅は普通列車のみの停車で、大阪へは乗り換え1回・約52分と、石山との所要時間の差は小さくありません。
そのぶん価格は石山より抑えめになりやすい一方、周辺に大学や事業所が集まっており、通学・通勤の実需が根強いエリアです。
同じ南部でも「新快速の石山」「大学・事業所の瀬田」と需要の性格が異なるため、将来の売却・賃貸で想定する相手も変わります。
駅からの距離と、どの駅の徒歩圏かーーこの2つで資産性の見え方が分かれるのが大津の南部です。

湖西(大津京駅〜堅田駅以北)ーー新庁舎の整備と、価格水準の差

湖西線側は、大津京駅・比叡山坂本駅・堅田駅に新快速が停車します(2026年時点)。
大津京駅周辺は、京阪京津線との乗り継ぎで京都の中心部にも出やすく、湖西側の主要エリアです。
将来性の材料としては、老朽化した市役所の新庁舎が、大津京駅から徒歩圏の皇子山総合運動公園の一部で整備に向けて進められており(大津市庁舎整備基本計画・2025年策定)、駅から新庁舎への歩行者動線の整備も検討されています。
行政機能の近接は、エリアの需要を下支えする材料の一つです。

湖西で共通するのは、同じ駅でも徒歩圏か、駅から離れるかで検討する属性の広さが変わる点です。
新快速停車駅の徒歩圏を軸に見ていくと、資産性の比較がしやすくなります。

一方、堅田駅以北は水準が変わります。
堅田は湖西北部の生活の中核で、駅前に商業も集まりますが、中古マンションの中央値は60〜80㎡で1,680万円、80〜100㎡で2,080万円と、中心部の半分以下の水準です。
価格が抑えめで、敷地や住まいの広さにゆとりを持たせやすいのは魅力です。
ただし、京都から距離が延びるぶん検討する属性は駅徒歩圏の中心部より絞られやすく、売却・賃貸時の流動性には差が出ます。
「今の暮らし」に合うことは大切にしつつ、10〜15年後に売る・貸す可能性があるなら、そのときの相手を想像して選ぶことをおすすめします。

大津で資産性を保つために意識したい3つの視点

どのエリアを選んだとしても、資産価値の維持に効く共通の判断軸があります。

① 駅からの距離と、新快速が停まるかどうか
大津では、駅からの距離に加えて「その駅に新快速が停まるか」が資産性と強く関わります。
需要の中心である駅に近いほど、同じ条件の立地は地理的に限られ、希少性が働きます。
徒歩分数が同じでも、新快速停車駅とそうでない駅では検討する人の数が変わる点は、大津ならではの確認ポイントです。

② 築年数と建物・管理の状態
土地の価値は立地で決まりますが、建物の状態は売却時の査定に直接影響します。
とくにマンションは、管理状態や修繕積立金の水準が資産価値に反映されます。
大津市では管理計画認定を受けたマンションが32件あり(市の公開一覧・2026年7月7日更新時点)、管理の良さが評価につながる流れも出てきています。

③ 出口を想定してから買う
住宅は「いつか売れればいい」ではなく、「どういう状況のときに売る・貸すか」を想定して選ぶと、後悔しにくくなります。
長期保有を前提としつつ、出口は「もしもの時の保険」として備えておく姿勢が、資産として機能させる基本です。
なお、「価格が高い=資産性が高い」とは限りません。大切なのは、需要と流動性の裏付けがあるかどうかです。
売りやすい・売りにくい住宅の具体的な特徴は、別記事「
大津市で売却しやすい住宅の特徴」「大津市で将来売却しにくくなる住宅の特徴」で整理しています。
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まとめ

大津市は、人口こそ微減局面にあるものの、世帯数は増え、京都通勤・官公庁・事業所・大学という複数の需要源に支えられたエリアです。
そのうえで、同じ面積帯でも駅によって約2倍の価格差があるとおり、資産性は「どの駅・どのエリアか」で大きく分かれます。

中心部は価格水準が高いぶん需要が厚く、再開発などまちの更新も続いています。
南部は新快速の石山と大学・事業所の瀬田で性格が異なり、湖西は新庁舎整備という材料がある一方、北部は価格が抑えめで流動性に差が出ます。
「大津だから」でも「市平均がこうだから」でもなく、駅・エリア・物件まで絞り込み、需要と流動性の裏付けで判断することが、資産価値を守る住まい選びにつながります。

大津の街全体の特徴は、別記事「大津市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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