大津市で将来売却しにくくなる住宅の特徴ーー風致地区・再建築不可・がけ・区域指定を確認する
前回、売却しやすい住宅の記事で予告した接道や都市計画上の規制について、今回は制約になりやすい条件として整理します。
こうした条件に該当するからといって、買ってはいけないという話ではありません。
価格が抑えられている場合もありますし、そこでの暮らしを求める方もいます。
ただ購入の段階で知っておかないと、建て替えや売却の場面で想定外になることがあります。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、将来の出口を狭めないために確認しておきたい点を整理いたします。
敷地と接道の条件
まず、敷地そのものの条件です。
建築基準法では、建物の敷地は建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。
原則は幅員4m以上の道路ですが、いわゆる2項道路など幅員4m未満でも道路として扱われる例外があり、敷地ごとに個別の確認が必要です。
これを満たさない敷地では、原則として既存建物を解体した後に新築できず、いわゆる「再建築不可」として扱われることがあります。
道路の種別や敷地の条件によって判断が分かれるため、個別の確認が欠かせません。
再建築ができない場合、住宅ローンの利用条件が厳しくなることがあります。
購入を検討できる買い手の属性が限られやすいため、売却時の選択肢にも影響します。
大津市には、大津の旧市街や坂本のように古くから形成された住宅地があります。
こうした地区では、私道に接する敷地や間口の狭い敷地が見られる場合があります。
私道であれば、所有者と通行・掘削の承諾の有無もあわせて確認しておきたいところです。
風致地区ーー大津ならではの規制
大津市で特に押さえておきたいのが、風致地区です。
大津市には都市計画法に基づく風致地区が指定されており、「大津市風致地区内における建築等の規制に関する条例」によって規制されています。
この区域内では、次のような行為に市長の許可が必要です。
○ 建築物その他の工作物の新築、改築、増築または移転
○ 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
市は「風致地区内行為許可に係るガイドライン」を公開しており、条例の解説とあわせて、「古都大津」にふさわしい風致地区の形成に向けた望ましいあり方を示しています。
住まい選びの観点で重要なのは、購入後にできることが変わるという点です。
建て替えや増改築、庭を含む敷地の造成にも許可の手続きが関わってきます。
これは将来の売却時にも説明する事項になります。
検討している物件が該当するかどうかは、大津市の都市計画情報で確認できます。
斜面地とがけに関する規定
大津市は市域の多くが山地で、市街地は湖岸の限られた平地に沿って続いています。
そのため、山が近く高低差のある敷地は少なくありません。
建築基準に関する条例には、がけに近接して建物を建てる場合の規定があります。
一般的な内容は次のとおりです。
○ 高さ2mを超えるがけに近接して居室のある建築物を建てる場合、がけの上ではがけの下端から、がけの下ではがけの上端から、がけの高さの2倍以上の水平距離を確保する
○ ここでいうがけとは、地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地(硬岩盤を除く)
○ ただし、がけの形状や土質により安全上支障がないと認められる場合や、擁壁の設置など安全上必要な措置が講じられている場合は、この距離制限は適用されない
大津市内での具体的な適用は大津市建築基準条例によります。
該当しそうな敷地では、市の建築指導の窓口で確認しておく必要があります。
実務上、注意したいのが擁壁です。
既存の擁壁がある敷地では、その状態や築年、設置時の確認・検査の記録が残っているかが、売却の場面で問われます。
古い擁壁で記録が残っていない場合、買い手側が判断に迷う要素になります。
災害関連の区域指定
区域の指定も、建築の可否や方法に関わってきます。
土砂災害特別警戒区域
大津市内には土砂災害警戒区域および土砂災害特別警戒区域が指定されており、比良山系には土石流や急傾斜地の崩壊に関する区域があります。
このうち特別警戒区域では、建築物の構造に関する規制などがかかります。
売却の場面では、区域指定の有無と、建築時に想定される構造上の制約が、購入を検討する側の判断材料になります。
浸水警戒区域
滋賀県流域治水の推進に関する条例に基づく浸水警戒区域は、建築基準法第39条第1項の災害危険区域にあたります。
区域内で住居用建築物などを建築する際には、知事の許可が必要です。
大津市では、大石富川一丁目、二丁目および三丁目の一部地域が令和3年(2021年)8月24日に指定告示されています(滋賀県公表)。
これらの確認方法は、別記事「大津市のハザードマップと防災リスクを住む前に確認する」で整理しています。
市街化調整区域
大津市にも市街化調整区域があります。
この区域では、建築物の建築等に都市計画法第43条の建築許可が必要です(同項ただし書きに該当する場合を除く)。
市は「市街化調整区域における地区計画ガイドライン」を定めており、市街化を促進せず秩序ある土地利用を図りながら、周辺環境と調和した居住環境の形成や集落コミュニティの維持を目的としています。
開発許可制度に関する基準は令和7年4月1日に改定されています。
調整区域の物件は価格が抑えられている場合がある一方、建て替えや用途の変更に条件が伴うため、検討できる買い手の属性は絞られやすくなります。
個別の土地で何ができるかは条件によって変わるため、市の窓口で確認してください。
気になる物件の風致地区・接道・区域指定や、市街化調整区域での建築可否の確認は、購入・賃貸を問わずLINEからご相談ください。
まとめ:購入前に確認したい制約のチェックリスト
最後に、確認しておきたい点を整理します。
○ 接道:建築基準法上の道路に2m以上接しているか、再建築ができるか
○ 私道:所有者と通行・掘削の承諾の状況
○ 風致地区:該当するか、建て替えや造成にどのような手続きが必要か
○ がけ・擁壁:高低差の有無、既存擁壁の状態と記録
○ 土砂災害:警戒区域・特別警戒区域の内外
○ 浸水警戒区域:該当するか
○ 市街化調整区域:該当する場合、個別の建築可否を市の窓口で確認する
これらは「買ってはいけないリスト」ではありません。
もしもの時に出口が極端に狭まらないかを確認するためのリストです。
すべてを満たす物件だけが正解ということでもなく、価格、住み心地、将来の流動性のバランスを取りながら、ご家族にとって納得できる物件を選ぶことが大切です。
評価されやすい条件のほうは、別記事「大津市で売却しやすい住宅の特徴」で整理しています。
大津市全体の構造は「大津市はどんな街?」でまとめています。
大津市での住まい探し(購入・賃貸)や、規制・建物状態を踏まえた事前確認のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
物件情報を共有いただければ、確認すべきポイントを整理してご返信いたします。
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