大津市の人口推移と住宅需要の今後ーー人口減・世帯増の構造から住まい選びを読む
住まいを探すとき、その街の人口がどう動いているかまで確認される方は多くありません。
ただ人口と世帯の動きは、地域の住宅需要を支える土台になります。
大津市は滋賀県内で最大の都市規模を持ちますが、人口はすでに減少に転じています。
一方で、世帯の数は増えています。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、市全体の人口・世帯構造を確認し、住まい選びにどう効いてくるのかを考えていきます。
駅周辺や湖西など各エリアの暮らしやすさについては、エリア別の記事で整理しています。
大津市の人口はどう動いているか
まず実績を確認します。
以下は総務省統計局「国勢調査」(各年10月1日現在)の値です。
人口
○ 2020年(令和2年):345,070人
○ 2025年(令和7年):343,051人(速報値)
5年間で2,019人、率にして0.59%の減少です。
世帯数
○ 2020年(令和2年):146,088世帯
○ 2025年(令和7年):150,426世帯(速報値)
こちらは4,338世帯、2.97%の増加となっています。
2025年の値は人口速報集計によるもので、確定値は2026年9月までに総務省統計局から公表される予定です。
なお市が毎月公表している住民基本台帳の人口・世帯数は集計の考え方が異なるため、増減を見るときは同じ系列で比べる必要があります。
つまり大津市では、人口が減りながら世帯の数は増えているという構造になっています。
将来推計と実績のズレ
次に、将来の見通しを見ていきます。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」では、大津市の人口は次のように見込まれています。
○ 2025年:346,490人(2020年比+0.4%)
○ 2030年:345,055人(2020年比では概ね横ばい)
○ 2050年:320,021人(2020年比-7.3%)
ここで注目したいのが、2025年の数字です。
推計では346,490人と、わずかに増える見込みでした。
しかし実際の国勢調査速報は343,051人で、推計を約3,400人下回っています。
この推計は2020年の国勢調査を基準にしているため、2020年以降の実際の動向は反映されていません。
そのうえで実績と照らすと、大津市は推計よりも早く減少局面に入っているといえます。
2050年の推計は320,021人で、2020年比では7.3%の減少です。
ただし推計は前提が変われば結果も変わります。
ひとつの数字を断定的に受け取るのではなく、方向感として押さえておく程度がちょうど良い距離感です。
高齢化の進み方
年齢構成も変わっていきます。
同じ社人研の推計では、大津市の高齢化率は次のように見込まれています。
○ 2025年:28.6%
○ 2030年:30.4%
○ 2050年:38.0%
2025年から2050年にかけて、9.4ポイントの上昇です。
2050年には、およそ2.6人に1人が65歳以上という計算になります。
住まい選びの観点では、この変化は無視できません。
バリアフリー、医療機関へのアクセス、平地で歩いて用事を済ませられるかといった条件が、年を追うごとに効いてきます。
「いま快適に暮らせるか」と「20年後も無理なく暮らせるか」を両立させる視点が、これからの住まい選びでは重要になります。
人口が減っても世帯が増える構造
ここで、住宅需要を考えるうえで大切な点に戻ります。
住まいは人単位ではなく、世帯単位で必要になります。
大津市では人口が0.59%減る一方、世帯数は2.97%増えました。
1世帯あたりの人数が小さくなっていることがうかがえます。
一般に、世帯の小規模化は住宅に求められる広さや間取りにも影響します。
広い住宅一辺倒ではなく、コンパクトで動線の良い住宅や、将来の家族構成の変化に対応できる可変性のある間取りにも需要が生まれます。
つまり、人口が減ったからといって住宅需要が同じ割合で減るわけではありません。
世帯の数が増えていることは、住宅需要を支える材料のひとつです。
世帯構成の変化を踏まえ、必要な広さやエリアの優先順位を整理したい場合は、購入・賃貸を問わずLINEからご相談ください。
住まい選びへの含意
ここまでのデータを、住まい選びの観点から整理します。
第一に、実需を支える要素がある
世帯数の増加は、住宅需要を支える一つの要素です。
ただし需要の現れ方は、立地や価格、既存住宅の供給状況によって異なります。
新築に比べ価格が抑えられる中古住宅も、現実的な選択肢として検討しやすい環境ではあります。
第二に、需要の中心からの距離が効いてくる
人口が減っていく局面では、この視点が重要になります。
駅や生活の拠点に近いほど需要は残りやすく、離れるほど検討する買い手・借り手の属性は絞られやすくなります。
需要の中心に近い土地は、同じ条件のものを後から増やすことができません。
この希少性が、長い目で見たときの安定につながります。
ただし、これは郊外を否定する話ではありません。
車を使う生活が前提のエリアにも、そこでの暮らしを求める安定した需要があります。
大切なのは、想定される買い手・借り手の属性を具体的に描けるかどうかです。
第三に、極論にしない
「人口が減るから買うべきでない」という話でも、「増えるから今すぐ」という話でもありません。
人口が増え続ける前提で予算を組むことも避けたいところです。
エリアごとの性格については、大津市全体の住環境を整理した土台記事「大津市はどんな街?」のほか、中心市街地の「大津駅・膳所エリアに住むのはどう?」、湖西線北部の「堅田駅・和邇以北に住むのはどう?」で整理しています。
まとめ:人口動向を踏まえた判断軸
大津市の人口データから読み取れることを整理します。
○ 実績:2020年345,070人から2025年速報343,051人へ、2,019人・0.59%の減少
○ 世帯数:146,088世帯から150,426世帯へ、4,338世帯・2.97%の増加
○ 推計とのズレ:社人研は2025年に346,490人と微増を見込んでいたが、実績は約3,400人下回った
○ 2050年推計:320,021人(2020年比-7.3%)
○ 高齢化率:2025年28.6%から2050年38.0%へ
○ 住宅需要:世帯数の増加は需要を支える材料のひとつ
これらはあくまで土台の理解であって、物件選びの答えそのものではありません。
マクロの動きを前提として押さえたうえで、需要の中心からの距離と、自分たちの暮らしに合うかどうかで判断していくことになります。
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