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京都市で売りにくい家を売るにはーー再建築不可・旧耐震・京町家・市街化調整区域の売り方と準備

相続した実家が路地の奥にある、築年数の古い木造住宅(いわゆる古家)を手放したい——京都市では、建て替えや改修に条件が付く家が少なくありません。
こうした家は売れないわけではなく、検討できる買い手が限られやすく、売るまでに時間がかかりやすい家です。
買い手が判断しやすい材料を先に揃え、条件に合った売り方を選ぶことで、選択肢は広がります。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市で売りにくいとされやすい家の条件ごとに、売り出し前の準備と売り方の選択肢を整理いたします。
購入前に確認したい制約は別記事「
京都市で売却しやすい住宅の特徴」、売却の流れや税金は「京都市で家を売る、不動産売却の進め方」で整理しています。
数値や制度は2026年10月時点で確認した情報です。

売りにくいとされやすい家ーー買い手が気にすること

売りにくさの理由は、建物や土地そのものよりも、買い手が「建て替えられるか」「住宅ローンや税の優遇を使えるか」を判断しにくいことにあります。
京都市で多い条件と、買い手が気にすることを整理すると次のとおりです。

条件買い手が気にすること
再建築不可・路地奥の家建て替えや大規模な修繕ができるか、住宅ローンを使えるか
旧耐震の家耐震性と、住宅ローン控除などを使えるか
京町家改修や維持の費用、解体の届出などの手続き
市街化調整区域の家自分が住めるか、建て替えられるか

どの条件も、買い手が判断に必要な情報を売り手の側で先に揃えておくと、検討してもらいやすくなります。

売り出す前に揃えたい資料と調査

条件にかかわらず、次の資料は早めに揃えておきましょう。
○ 登記事項証明書と、境界や面積がわかる測量図
○ 建築確認や完了検査の書類、設計図書、修繕やリフォームの記録
○ 耐震診断や建物状況調査(インスペクション)の結果
○ 前面の道が建築基準法上の道路かどうかがわかる資料

中古住宅の媒介契約書には、建物状況調査を行う業者のあっせんに関する事項を記載することになっています。
重要事項説明では、一定期間内に行った建物状況調査の有無とその結果の概要、設計図書や点検記録などの保存状況が買い手に説明されます(宅地建物取引業法)。
調査を行った住宅や既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅は、買い手がフラット35の維持保全型(当初5年間、年0.25%の金利引下げ)を使える場合もあります。
資料が揃っているほど、買い手は物件の状態を判断しやすくなります。

再建築不可・路地奥の家の売り方

建物の敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。
京都市に多い袋路(行き止まりの路地)や、狭い道にだけ面する敷地は、この条件を満たさないことがあります。
ただし、道路に接していない敷地でも、市の認定や許可を受ければ建築できる場合があります(建築基準法第43条第2項)。

京都市はこの基準を見直してきました。
○ 2022年4月:京町家などの大規模な修繕を対象にした許可基準を新設し、通路の権利者の同意が要らない範囲も広げた
○ 2025年5月:路地奥の建物の建て替えを進めるため、これまで許可が必要だったものの一部を認定で可能にするなどの改正

売る前に、市の「路地(非道路)にのみ接する敷地における建替え診断サイト」で見通しを確かめたり、建築士などを通じて市の窓口に事前相談したりしておくと、建て替えや修繕の可能性を買い手に具体的に伝えられます。
認定や許可の実績は、京都市地図情報提供サービスでも公開されています。

売り方の選択肢は、次のとおりです。
○ 隣地の所有者に声をかける:隣の土地と一体で使えば、接道の条件が変わる場合がある
○ 現況のまま、リフォームして住みたい・貸したい買い手を探す
○ 不動産会社の買取を検討する(後述)
路地奥の家の建て替えの見通しや売り方の整理は、
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旧耐震の家・京町家の売り方

旧耐震の家
1981年12月31日以前に建築された中古住宅で買い手が住宅ローン控除を受けるには、取得の日前2年以内に耐震基準への適合が証明されていることなどが必要です。
証明には、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかを使います(国税庁・2026年4月1日現在の法令)。
このほか、買い手が取得の日までに耐震改修を申請し、入居までに改修する方法もあります。

京都市では、1981年5月31日以前に着工した木造住宅の耐震診断を無料で受けられ、補強計画案と工事費の概算見積りも受け取れます(階数や工法などの条件あり。2026年度は12月25日まで、予算がなくなり次第終了)。
売る前に診断を受けておくと、補強の要否や費用の目安を買い手に示せます。
相続した実家を売るときの3,000万円特別控除は冒頭で紹介した売却の記事で、解体して土地で売るときの固定資産税の注意点は別記事「
京都市の実家・空き家をどうするか」で整理しています。

京町家
個別指定や指定地区内の京町家は、解体に着手する1年前までに市への届出が必要なため、建て替えを考える買い手にとっては計画の時期に関わります。
一方で、京町家を住まいや店舗として活かしたい買い手もいます。
京都市景観・まちづくりセンターは「京町家なんでも相談」を受け付けるほか、京町家などを守り伝えたい人と活用したい人をつなぐマッチングサイト「MATCH YA(マッチヤ)」の事務局も務めています。
買い手が使える京町家改修補助金もあるため、改修の可能性とあわせて伝えると検討してもらいやすくなります。

市街化調整区域の家の売り方

市街化調整区域は市街化を抑える区域で、建物の新築や建て替え、用途の変更が厳しく制限されています。
売る前に、その家がどのような経緯で建てられたかを確かめることが出発点です。
○ 線引き(1971年12月28日)より前に建てられた家や、適法に建てられた家は、同じ敷地・同じ用途で、延べ面積が元の1.5倍以下(住宅は1.5倍を超えても175㎡以下)であれば、許可なく建て替えられる
○ 農家住宅や分家住宅など、住む人が限られる条件で建てられた家を、その条件に当たらない人に売る場合は、用途変更の許可が必要(10年以上適法に使われていたことなどが要件)
○ 既存の集落にある空き家は、移住・定住する人の自宅への用途変更を認める基準がある(集落や申請者の条件あり)

西京区大原野の一部の集落のように、移住する人が一戸建てを建てられるよう市が区域を指定している地域もあります。
建築の経緯や許可の要否は、京都市の開発指導課で確認できます。

仲介以外の選択肢と相談先

一般の買い手を探す仲介のほかにも、売り方の選択肢があります。

方法内容注意点
仲介不動産会社が一般の買い手を探す条件によっては、買い手が見つかるまで時間がかかる
買取不動産会社が直接買い取る一般に価格は仲介より低くなる一方、現況のまま早く売れることが多い
隣地への売却隣の土地の所有者に買ってもらう相手の意向しだいだが、一体で使えることが隣地側の利点になる
京都安心すまいバンク京都市と登録専門家が、空き家の売り手と買い手をつなぐ専門家派遣の所見書と、不動産会社との専任媒介契約などが必要

価格、売れるまでの期間、手間のどれを優先するかで、合う方法は変わります。

売り方に迷ったら、市の無料の窓口も使えます。
○ 地域の空き家相談員:市の研修を受けた不動産事業者で、市内に約270名(相談は無料)
○ 空き家活用・流通支援専門家派遣:建築士と空き家相談員が現地で、売却や賃貸の方法、相場、修繕の箇所や費用を助言(無料)

まとめ:売りにくい家を売るときのチェックリスト

○ 買い手が気にする点(建て替え・住宅ローン・税の優遇・許可)を先に把握する
○ 登記・測量・建築確認・修繕記録などの資料と、耐震診断やインスペクションの結果を揃える
○ 路地奥の家は、建替え診断サイトや事前相談で、建て替えや修繕の見通しを確かめる
○ 旧耐震の家は、耐震の証明で買い手が住宅ローン控除を使えるかを確認する
○ 京町家は、解体の届出と、京町家として活かしたい買い手への届け方を考える
○ 調整区域の家は、建築の経緯と用途変更の許可の要否を市で確認する
○ 仲介・買取・隣地・すまいバンクを比べ、価格・時期・手間の優先順位で選ぶ

売りにくい条件がある家でも、買い手が判断できる材料を揃え、条件に合った売り方を選ぶことで、納得のいく手放し方に近づけます。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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