京都市

京都市で家を売る、不動産売却の進め方ーー査定から引渡しまでの流れと費用・税金

転勤や家族の変化、相続した実家の整理など、家を売るきっかけはさまざまです。
京都市で家を売る場合は、相続した実家の登記や特例の期限、京町家の届出、細い道に面した家の再建築の可否など、売る前に確かめておきたい点があります。
売却は何度も経験するものではないため、流れと費用・税金の仕組みを先に押さえておくと安心です。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市で家を売るときの流れ、費用と税金の計算、相続した実家や京都ならではの物件で確認したい点を整理いたします。
売却と購入を同時に進める住み替えの段取りや、京都市の売却相場の見方は、別記事「
京都市で住み替え・買い替えを進めるには」で整理しています。
数値や制度は2026年10月時点で確認した情報です。

京都市で家を売る前に整理しておきたいこと

売り出す前に、次の点を確認しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
○ 名義:登記上の所有者は誰か(相続した家は、相続登記が済んでいるか)
○ 住宅ローン:残っている場合は、売却代金で完済して抵当権を抹消できるか
○ 書類:権利証(登記識別情報)、購入時の契約書や領収書、建物の図面、修繕の記録など

購入時の契約書や領収書は、税金の計算で「取得費」を示す資料になります。
京都市の中古住宅は駅や物件による価格差が大きく、月ごとの平均も振れるため、売却額の見通しは個別の査定で確かめるのが現実的です。

売却の流れ(査定から引渡しまで)

売却は、おおむね次の順で進みます。
○ 査定(複数社に依頼し、価格の根拠を確認する)
○ 媒介契約(売却を依頼する不動産会社と結ぶ)
○ 売り出し・内見の対応
○ 購入の申し込みと条件の調整
○ 売買契約(手付金の受領)
○ 決済・引渡し(残代金の受領・抵当権の抹消・鍵の引渡し)
○ 翌年の確定申告(売却益が出た場合や、特例を使う場合)

媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、依頼できる会社の数や、レインズ(不動産会社間の物件情報網)への登録、売主への報告の義務が異なります(違いは前述の住み替えの記事で整理しています)。
中古住宅の媒介契約書には、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項も記載されます。

査定と売り出し価格の決め方

査定額は、不動産会社が「このくらいで売れそう」と見込む価格で、そのまま売れる金額ではありません。
不動産会社が売り出す価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにすることが法律で定められています。
近い条件の成約事例など、根拠を複数社で比べると、価格の幅が見えてきます。
売り出し価格は、査定と相場に加えて、いつまでに売りたいかを踏まえて決めます。

あわせて準備しておきたいのが、次の3点です。
○ 境界:隣地との境界がはっきりしない土地は、測量が必要になることがある
○ 建物の状態:建物状況調査を受けておくと、買主が状態を確認しやすくなる
○ 不具合の告知:雨漏りや設備の故障など、知っている不具合は書面で買主に伝える

引渡し後に契約内容と合わない不具合が見つかった場合、売主は契約不適合責任を負います。
民法では、買主は不具合を知った時から1年以内に売主へ通知することとされていますが、実際の売買では、売主が責任を負う範囲や期間を特約で取り決めるのが通常です。
契約前に内容を確認しておきましょう。

売却にかかる費用

売却では、次のような費用がかかります。

費用内容目安
仲介手数料売買が成立したときに不動産会社へ支払う報酬物件価格が400万円を超える場合の上限は3%+6万円に消費税。800万円以下の物件は「低廉な空家等」の特例として、事前の説明と合意のうえで最大33万円(税込)
印紙税売買契約書に貼る印紙1,000万円超5,000万円以下は1万円、5,000万円超1億円以下は3万円(2027年3月31日までに作成する契約書の軽減)
登録免許税抵当権の抹消登記不動産1個につき1,000円
司法書士報酬抹消登記などの手続き依頼先によって異なる
測量・解体・残置物の撤去必要な場合のみ土地や建物の状況で大きく異なる

このうち仲介手数料・印紙代・測量費・取壊し費用などは、税金の計算で「譲渡費用」として差し引けます。

売却にかかる税金ーー譲渡所得の計算と税率

家を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税がかかります。
譲渡所得は、次のように計算します。
○ 譲渡所得=売った金額-(取得費+譲渡費用)
○ 取得費:購入代金や購入手数料、その後の改良費など。建物は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く
○ 譲渡費用:仲介手数料・測量費・売買契約書の印紙代・取壊し費用など

取得費が分からない場合や、実際の取得費が売った金額の5%を下回る場合は、売った金額の5%を取得費にできます(3,000万円で売れば150万円)。
代々受け継いだ家など、購入時の資料が残っていない場合は利益が大きく計算されやすいため、資料を探しておくことが大切です。

税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。
○ 5年超(長期譲渡所得):所得税15%・住民税5%
○ 5年以下(短期譲渡所得):所得税30%・住民税9%
ほかに復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかり、相続した家の所有期間は、原則として亡くなった方が取得した日から数えます。

自宅を売る場合は、3,000万円の特別控除や、所有期間10年超の軽減税率などの特例があります(住み替えで使う場合の注意点は前述の住み替えの記事で整理しています)。
特例を使う場合は、売った翌年に確定申告が必要です。
手取り額や税金の試算は、
LINEからお気軽にご相談ください。

相続した実家・京都ならではの物件を売るときの確認点

相続した実家
○ 相続登記:相続で取得したことを知った日から3年以内の登記が義務(2024年4月1日より前に相続を知った不動産で未登記のものは2027年3月31日まで)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得る
○ 相続空き家の3,000万円特別控除:1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられ、相続の直前に亡くなった方以外の居住者がいなかった家(老人ホームに入所していた場合の特例あり)などが対象で、区分所有のマンションは対象外。相続後に貸したり住んだりしていないこと、耐震改修をして売るか取り壊して土地を売ること(2024年以降は、売った翌年2月15日までに買主が耐震改修や取壊しをする場合も可)、売却代金1億円以下、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、2027年12月31日までの売却などの要件がある。相続人が3人以上なら上限は2,000万円
○ 取得費加算の特例:相続税がかかった人が、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、相続税の一部を取得費に加えられる(空き家の特例とはどちらかを選ぶ)
○ 空き家税:京都市では2030年度から、市街化区域内の住む人がいない住宅に空き家税(非居住住宅利活用促進税)がかかる予定。売却や賃貸を予定して申告すれば課税されず(1年を経過しても契約に至らない場合を除く)、所有者や住んでいた方が亡くなって空き家になった場合は、申告で3年間の徴収猶予がある

京都ならではの物件
○ 京町家:個別指定や指定地区内の京町家は、解体に着手する1年前までに京都市への届出が必要(個別指定の京町家を無届で解体すると5万円以下の過料の対象。京都市はそれ以外の京町家にも解体前の届出を呼びかけている)。建て替えを考える買主にとっては、計画の時期に関わる
○ 細街路・袋路:幅員1.8m以上4m未満の道に面する土地は、建てる際に道路の中心線から2m後退が必要。行き止まりの路地(袋路)に面する土地は、建築に別の認定・許可が必要になる。再建築の可否や建てられる大きさは、価格や買主のローンに影響する
○ 景観地区・既存不適格・マンションの民泊規約など(別記事「
京都市で売却しやすい住宅の特徴」)

京町家は、京都市や(公財)京都市景観・まちづくりセンターが保全・継承の相談を受け付けています。
空き家の売却や活用は、京都市の「地域の空き家相談員」(市の研修を受けた地域の不動産事業者)に無料で相談でき、区役所・支所での相談会も開かれています。

まとめ:京都市で家を売るときのチェックリスト

○ 名義(相続登記)・住宅ローンの残債・書類(購入時の契約書や領収書)を確認する
○ 査定は複数社で、価格の根拠を比べる
○ 境界・建物の状態・不具合の告知と、契約不適合責任の取り決めを確認する
○ 仲介手数料・印紙税・抹消登記などの費用を差し引いた手取りを試算する
○ 譲渡所得は所有期間5年で税率が変わり、取得費が分からなければ売った金額の5%で計算される
○ 相続した実家は、相続登記・空き家の特例・取得費加算・空き家税の期限を確認する
○ 京町家の届出や、細街路・袋路による再建築の可否を確かめる

売却は、流れと費用・税金の仕組みを押さえておくと、判断に迷う場面が減ります。
特に相続した実家は、登記や特例に期限があるため、早めに整理を始めることが大切です。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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