京都市

京都市の実家・空き家をどうするかーー住む・貸す・解体の選択肢と、空き家の管理・支援制度

親が亡くなって実家を相続した、親が介護施設に入って実家が空き家になりそう——そんなときに一番避けたいのは、どうするかを決めないまま空き家を放置することです。
管理が行き届かない空き家への対応は法改正で強化され、京都市では住む人のいない住宅に課税する「空き家税」の導入も予定されています。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市の実家・空き家を「住む・貸す・解体」の3つの選択肢で整理し、空き家として持ち続ける間の管理と市の支援制度もお伝えいたします。
売却の流れや税金、相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除、相続登記の義務化は、別記事「
京都市で家を売る、不動産売却の進め方」で整理しています。
数値や制度は2026年10月時点で確認した情報です。

京都市の空き家の現状ーー約10.5万戸、その4割は賃貸用でも売却用でもない空き家

2023年の住宅・土地統計調査によると、京都市の住宅84万2,300戸のうち、空き家は10万5,300戸で、空き家率は12.5%です(全国は13.8%)。
空き家の内訳は次のとおりです。
○ 賃貸用の空き家:5万4,800戸
○ 売却用の空き家:3,500戸
○ 別荘などの二次的住宅:2,700戸
○ 賃貸用・売却用・二次的住宅のいずれでもない空き家:4万4,300戸

最後の4万4,300戸は空き家の約4割、住宅全体の5.3%にあたります(全国は5.9%)。

空き家のまま放置するとどうなるか

空き家の所有者には、周りの生活環境に悪影響を及ぼさないよう、適切に管理する努力義務があります(空家等対策特別措置法)。
2023年12月13日に施行された改正法では、そのまま放置すれば倒壊のおそれなどがある「特定空家等」になりかねない空き家を「管理不全空家等」とし、市が指導・勧告できるようになりました。

勧告を受けると、管理不全空家等も特定空家等と同じく、土地の固定資産税・都市計画税の住宅用地特例(200㎡までの部分は課税標準が固定資産税で6分の1、都市計画税で3分の1になる)の対象から外れます(国土交通省)。
京都市は、固定資産税などの額が最大4倍になると案内しています。
特定空家等には、助言・指導、勧告、命令を経て、市が除却などを行う行政代執行もあります。
京都市も2025年10月、屋根や外壁が崩れて倒壊のおそれがあった空き家について、勧告後も対応されなかったとして、代執行で取り壊すと発表しています。

さらに京都市では、住む人のいない住宅に課税する「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」を、2030年度から課税する予定です(市街化区域内が対象)。
空き家になった事情や今後の予定によって、扱いが変わります。
○ 所有者や住んでいた人が亡くなって空き家になった場合:申告すれば3年間は徴収が猶予され、その間に活用すれば猶予された税額の支払いが免除される
○ 介護施設への入所や親族の介護などで一時的に住んでいない場合:申請すれば減免の対象になる
○ 貸す・売る予定があり申告した場合:課税されない(1年たっても契約に至らない場合を除く)
○ 家屋の固定資産評価額が低い場合:100万円未満(導入から5年間。その後は30万円未満)なら課税されない

人が住まなくなった家は傷みが早く、瓦の落下や草木の越境などで近隣に被害が出ると、損害賠償を求められることもあります。
放置を避けるには、早めに使い道を決めることが大切です。
ここからは、住む・貸す・解体の3つの選択肢を順に整理します。

選択肢①住むーー京都市の耐震診断と改修の補助を確認する

自分や家族が住む場合は、新たに家を買わずに住まいを確保できる一方、建物の古さによっては耐震や水回りなどの改修が必要になります。
古い木造住宅や京町家なら、京都市の次の制度を確認しておきましょう。

制度内容注意点
耐震診断士派遣昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した木造住宅と、昭和25年(1950年)11月22日以前に着工した京町家の耐震診断(無料)。木造住宅は補強計画案と工事費の概算見積りも受け取れる階数や工法の条件あり。結果は調査から約2か月後。2026年度の申込みは12月25日まで(予算がなくなり次第終了)
まちの匠・ぷらす耐震改修の補助。本格的な改修は京町家で最大300万円・木造住宅で最大200万円、耐震診断なしでできる簡易な改修は京町家で最大60万円・木造住宅で最大40万円2026年度の申請は12月25日まで(予算がなくなり次第終了)
京町家改修補助金京町家の改修工事の補助。2026年度から制度が充実工事の契約・着手は交付決定を受けた後。事前相談に1か月程度かかることもある

耐震診断と耐震改修の補助は、所有者のほか、住む予定の人も申し込めます(窓口は京安心すまいセンター)。
京町家の改修方法は、京都市景観・まちづくりセンターの「京町家なんでも相談」でも相談できます。

選択肢②貸すーー持ち続けながら活用する

すぐに手放したくない場合や、将来家族が使う可能性がある場合は、貸して活用する方法があります。
貸す前には修繕の費用を見込み、入居者の募集や入居後の管理は、管理会社に委託するのが一般的です。

将来また使う予定があるなら、期間を決めて貸せる「定期借家」も選択肢になります。
定期借家では、貸主は契約前に「更新がなく、期間の満了で終わる」ことを書面で説明する必要があり、期間が1年以上なら、満了の1年前から6か月前までに終了を借主に通知します(借地借家法)。

注意したいのは、売却との関係です。
相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除は、相続してから売るまでに貸したり住んだりしていないことが要件の一つのため、一度貸すと使えなくなります(2027年12月31日までの売却が対象)。
いずれ売る可能性があるなら、貸す前に、売った場合の手取りと比べておきましょう。

貸し方や売り方を決めるときは、京都市の次の支援も使えます。

制度内容注意点
空き家活用・流通支援専門家派遣制度建築士と地域の空き家相談員が現地で、賃貸や売却の方法、相場、修繕の箇所や費用を助言(無料)。相続や登記の悩みは司法書士にも無料で相談できる一戸建て・長屋の空き家と、おおむね1年以内に空き家になる予定の建物が対象。同じ空き家への派遣は2回まで
京都安心すまいバンク市と市が登録する専門家が、貸したい・売りたい所有者と、借りたい・買いたい人をつなぐ京都市版の空き家バンク登録には原則として、専門家派遣による所見書と、不動産会社との専任媒介契約または専属専任媒介契約が必要

選択肢③解体ーー固定資産税と建て替えの条件を先に確認する

建物の傷みが激しく、改修費用が見合わない場合は、解体して土地として売る・使う選択肢もあります。
解体する前に、次の3点を確認しておきましょう。

固定資産税の住宅用地特例が外れる
住宅用地の特例は、1月1日の時点で住宅が建っている土地が対象です。
解体して更地のまま1月1日を迎えると、その年度から特例の対象外となり、土地の固定資産税・都市計画税が上がります(住宅から住宅への建て替えなら、特例を続けられる場合があります)。

同じように建て替えられるか
建物を建てる敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります(建築基準法)。
京都市は幅員4m未満の細い道が多く、建て替えのときに道の中心線から2m下がる必要があったり、路地の奥では市の認定・許可が必要になったりします。
解体する前に、建て替えができるかを確かめておくことが大切です。

京町家は解体の届出が必要
市が個別に指定した京町家や、指定された地区内の京町家は、解体に着手する1年前までに届け出なければなりません(個別指定の京町家を届け出ずに解体すると5万円以下の過料)。
それ以外の京町家についても、市は解体前の届出を求めています。

袋路に接している、幅員1.8m未満の道にだけ接しているなどの条件に当てはまる古い木造の建物は、解体費用の2分の1(上限60万円)を補助する京都市の「老朽木造建築物除却事業」の対象になる場合があります(昭和56年6月1日時点で建っていた建物で、原則として京町家を除く。対象区域があり、工事の契約は交付決定の後)。
解体費用は、構造や広さ、前面の道の幅、残っている荷物の量で大きく変わるため、複数社の見積もりで比べるのが前提です。
住む・貸す・解体のどれが合うかの整理は、
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空き家として持ち続ける間の管理と、京都市の相談先

方針がすぐに決まらない場合も、空き家の管理は続けましょう。
○ 定期的な換気と通水
○ 雨漏りや外壁、瓦の傷みの確認
○ 庭木や雑草の手入れ(隣の敷地への越境に注意)
○ 郵便物の整理と、戸締まりの確認

相談先は、内容によって分かれます。
○ 空き家の活用の進め方:京都市空き家相談窓口(075-231-2323、平日9時〜11時30分・13時〜16時30分)
○ 売る・貸すなど不動産の具体的な相談:地域の空き家相談員(市の研修を受けた不動産会社の宅地建物取引士で、市内で約270名。相談は無料)。区役所・支所での無料相談会や、オンライン相談もある
○ 近所の空き家の困りごと:各区役所・支所
○ 耐震診断・耐震改修:京安心すまいセンター

売る場合に3,000万円特別控除を受けるときに必要な「被相続人居住用家屋等確認書」も、京都市空き家相談窓口で発行しています。

まとめ:京都市の実家・空き家で後悔しないための順番

○ まず相続登記を済ませ、建物の建築時期・傷み具合・接している道を確認する
○ 住むなら、古い木造住宅や京町家は無料の耐震診断から始める。京町家の改修補助は事前相談を早めにする
○ 貸すなら、修繕と管理の体制を整える。将来また使うなら定期借家も選択肢。売る可能性があれば、3,000万円特別控除が使えなくなる点を先に確認する
○ 解体するなら、固定資産税の特例が外れる時期、建て替えの条件、京町家の届出を先に確認する
○ 迷ったら、無料の専門家派遣や地域の空き家相談員に相談する
○ 放置は避ける。管理不全空家として勧告を受けると特例が外れ、空き家税も2030年度から課税予定

実家をどうするかは、建物の状態やご家族の事情によって答えが変わります。
期限のある制度もあるため、早めにご家族で方向性を話し合っておくと安心です。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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