草津市のハザードマップと防災リスクを住む前に確認するーー琵琶湖・草津川・内水氾濫の視点
住宅は長期保有が前提の資産です。
だからこそ購入前にハザード情報を確認しておくことが、入居後の安心と将来の資産性の両面で意味を持ちます。
草津市は、琵琶湖に面した湖岸、かつて天井川だった草津川の周辺、駅前の市街地と、地形によって確認すべき論点が変わるエリアです。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、草津市のハザードマップを中心に、購入前に押さえておきたい防災リスクの確認ポイントを整理いたします。
草津市のハザードマップで最初に押さえたい全体像
草津市では「草津市洪水・内水ハザードマップ」が公開されており、市公式サイトから閲覧できます(令和3年6月更新)。
市域を北部・南部の2つに分けて作成されており、国や県が作成した琵琶湖・草津川・野洲川の洪水浸水想定区域図を反映した内容になっています。
草津市のハザードマップが想定しているのは、大きく次の3つです。
○ 洪水:大きな川の堤防が決壊したり、河川から水があふれたりして浸水すること
○ 内水:水路や側溝の排水能力を超える強い雨、あるいは大きな川の水位が高くなって雨水を排水できなくなり浸水すること
○ 土砂災害:土砂災害警戒区域は、各学区・地区別のマップに掲載されています
このほか、各学区の防災マップも市公式サイトで公開されています。
また、滋賀県防災情報マップでは、草津川などの浸水想定を地点ごとに確認でき、想定される水深や地盤の高さも表示できます。
指定避難所は市が公開しています。
物件を検討する際は、最寄りの避難所までの距離と経路もあわせて確認しておきたいポイントです。
洪水(河川氾濫)のリスクを確認する
洪水のリスクは、琵琶湖と河川の2方向から確認します。
琵琶湖の氾濫
草津市の湖岸には干拓地が広がり、新浜町・矢橋町などのエリアでは浸水深が大きく想定される場所があります。
地形が平坦なため、いったん浸水すると水が引くまで時間がかかるおそれも指摘されています。
草津川
草津川はかつて、まちよりも高い位置を流れる「天井川」として知られ、2002年(平成14年)に廃川となりました。
現在の河道についての浸水想定は、滋賀県防災情報マップで地点ごとに確認できます。
市内にはこのほか、狼川・伯母川・葉山川など中小の河川も多く流れています。
ここで誤解していただきたくないのは、「浸水想定区域に入っている=買ってはいけない」という極論は当てはまらないという点です。
草津市は琵琶湖岸と複数の河川を持つ地形で、浸水想定は市内に分布しています。
重要なのは、想定される浸水深がどの程度か、避難所までの経路が確保できるか、建物側の対策が取れるかという具体的な確認です。
具体的な浸水深や範囲は、必ず市公式のハザードマップで現地の住所をもとに確認してください。
内水氾濫と地先の安全度マップ
大きな水域だけでなく、見落とされがちなのが内水氾濫のリスクです。
草津市では、旧草津川の周辺(大路・草津・西渋川など)が、周囲よりわずかに低い皿状の地形になっています。
そのため大雨時に雨水が集まりやすく、道路冠水などのリスクが指摘されています。
大きな川の堤防が決壊しなくても、集中豪雨で排水路が処理しきれずに浸水するケースは全国で増えています。
特に駅近の市街地の物件を検討される場合、内水氾濫の確認は欠かせません。
利便性の高いエリアだからこそ、市のハザードマップで内水の想定を見ておくと、入居後の備えにつながります。
あわせて確認したいのが、滋賀県が公開している「地先の安全度マップ」です。
大河川の氾濫だけでなく、中小河川の氾濫や内水も含めて、地点ごとの浸水の深さを確認できる資料です。
なお、ハザードマップや浸水想定は更新される場合があるため、検討時点の草津市・滋賀県の公式情報で確認してください。
気になるエリアの物件情報や、ハザードを踏まえた購入・賃貸のエリア・物件選びのご相談は、こちらのLINEからお気軽にどうぞ。
滋賀県流域治水条例と浸水警戒区域
滋賀県には、独自の制度として「滋賀県流域治水の推進に関する条例」があります。
この条例に基づき、知事が「浸水警戒区域」を指定する仕組みです。
浸水警戒区域は、200年に1回の割合で発生すると予想される降雨が生じた場合に、想定浸水深がおおむね3mを超える土地の区域が対象です。
区域内では、住居用の建築物や、高齢者・障害者等が利用する社会福祉施設・学校・医療施設の建築に、知事の許可が必要になります。
滋賀県が公表している指定区域の一覧では、これまでに米原市・甲賀市・東近江市・長浜市・大津市・近江八幡市の各地区が指定されています。
2026年7月時点では、草津市内に指定されている区域はありません。
ただし、この制度は県内で順次指定が進められているため、最新の指定状況は滋賀県の公表情報で確認してください。
不動産の取引では重要事項説明でも該当区域の説明が行われますが、ご自身でも事前に確認しておくと安心です。
エリア別に意識したいハザード視点
草津市は場所によって地形の性格が異なり、確認すべき視点も変わります。
一般論として整理します。
湖岸寄りのエリア
干拓地が広がり、浸水深が大きく想定される場所があります。
平坦な地形のため、浸水が長引くおそれも踏まえて、浸水深と避難経路を重点的に確認したいエリアです。
旧草津川周辺の市街地
皿状の地形で雨水が集まりやすく、内水氾濫の確認が中心になります。
道路冠水の履歴や、周辺の排水経路も見ておきたいところです。
草津駅・南草津駅の徒歩圏
利便性が高い一方、市街地特有の内水氾濫リスクはハザードマップで確認しておきたいポイントです。
郊外・中小河川沿いのエリア
狼川・伯母川・葉山川など身近な川との距離感と、周辺の排水経路の確認が中心になります。
ここで強調しておきたいのは、どのエリアが良い悪いという話ではないということです。
それぞれに魅力があり、ハザード特性も含めて理解したうえで選ぶことが、長く暮らすうえでの納得感につながります。
都市計画や立地適正化計画の観点からの整理は、別記事「草津市の再開発と都市計画」でも触れています。
まとめ:購入前のハザードチェックリスト
最後に、草津市で住宅購入を検討する際のハザード確認ポイントを整理します。
○ 草津市洪水・内水ハザードマップ(令和3年6月更新)を市公式サイトで確認し、検討物件の所在地を見る
○ 琵琶湖・草津川などの洪水浸水想定で、想定される浸水深を確認する
○ 内水氾濫の想定と、滋賀県の地先の安全度マップで地点ごとの浸水の深さを確認する
○ 土砂災害警戒区域に該当しないか、学区・地区別のマップで確認する
○ 浸水警戒区域は2026年7月時点で市内に指定はないが、最新の指定状況を滋賀県の情報で確認する
○ 最寄りの指定避難所までの距離と経路を、実際に歩いて確認する
繰り返しになりますが、ハザード情報は「リスクがある=買えない」という判断のためではなく、「リスクを認識したうえで選ぶ」ためのものです。
長く暮らす前提で住まいを選ぶからこそ、ハザード情報を踏まえた納得感のある購入判断が大切になります。
草津の街全体の特徴は、別記事「草津市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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