草津市の再開発と都市計画ーー草津川跡地・南草津の動きと立地適正化計画を住む前に確認する
草津市で住宅購入を検討するとき、いまの利便性や価格だけで判断するのは早計です。
都市計画や再開発の動向は、購入後の暮らしやすさや、将来にわたる資産性に直結します。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、草津市が公表している都市計画・再開発の情報を整理し、住まい選びにどう活かすかという視点で解説いたします。
草津市の都市計画・再開発の全体像
草津市は人口約14万人(2026年5月時点の市推計)で、滋賀県内では大津市に次ぐ規模のエリアです。
JR琵琶湖線の草津駅・南草津駅という新快速停車駅を2つ持ち、草津駅から京都駅まで約20分・大阪駅まで約50分、南草津駅から京都駅まで約18分(2026年時点・JRの乗換検索ベースの目安。時間帯・列車により変動します)という立地が、移住・住み替え先として選ばれる理由のひとつです。
2026年の公示地価(国土交通省)では、市の住宅地平均が約14.98万円/㎡(前年比+4.5%)、南草津1丁目は約36.9万円/㎡と県内住宅地でも高い水準にあり、住宅需要の厚さがうかがえます。
都市計画の根幹となるのが、草津市都市計画マスタープランです。
市公表資料によると令和4年1月に策定され、計画期間は令和3年度から令和21年度(2039年度)まで、「市民とともに育み 次世代へつなぐ 利便性と豊かさのある 健幸な都市 草津」を都市づくりの理念として掲げています。
この上位計画を具体化する個別計画として、草津市立地適正化計画があります。
「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりを目指すもので、計画期間は2018年度から2039年度まで、令和5年3月には中間検証が行われています。
なお、計画区域や記載内容は改定されることがあるため、購入を検討する際は草津市公式サイトの最新版で確認してください。
草津川跡地整備ーー旧天井川が生んだまちづくりの資源
草津市の再開発を語るうえで欠かせないのが、草津川跡地整備事業です。
かつての草津川は、まちよりも高い位置を流れる「天井川」として知られていましたが、2002年(平成14年)に廃川となり、市街地に細長い跡地が生まれました。
市はこの跡地をまちづくりの資源として活用する方針を打ち出し、平成23年5月に基本構想、平成24年10月に基本計画を策定して整備を進めてきました。
市公表資料では、全長約7km・6区画の都市公園として段階的に整備する構想が示されており、2017年(平成29年)4月には「ai彩ひろば(区間2)」と「de愛ひろば(区間5)」が開園しています。
とくに de愛ひろば は草津駅東口から徒歩約5分に位置し、にぎわい活動棟やイベント広場、多様なガーデン、商業施設「クサツココリバ」などを備えた憩いの空間になっています。
駅前の商業と、跡地の緑・広場がつながることで、草津駅周辺の回遊性や暮らしの質を底上げしている点は、住まい選びでも押さえておきたい要素です。
南草津エリアの発展と新しい街並み
もうひとつの大きな動きが、南草津駅周辺のまちづくりです。
南草津駅は新快速停車駅で、立命館大学びわこ・くさつキャンパスを背景に発展してきた、草津市南部の新しい拠点です。
南草津駅の東側では土地区画整理が進み、1999年に東口の駅前広場が完成、2002年には図書館や市民交流プラザ、商業施設を併せ持つ「フェリエ南草津」がオープンしました。
西側の一帯でも再整備が重ねられ、2026年時点でもマンション供給が見られるなど、街並みが更新され続けてきました。
こうした継続的な整備が、南草津の人口増と需要の厚みを支えています。
参考までに、中古マンション3LDKの相場は、草津駅周辺で約2,800〜4,500万円、南草津駅周辺で約3,000〜5,000万円が目安です(2026年6月・SUUMO掲載情報ベース)。
新しい供給が続き地価も上がっているエリアだけに、価格が上がっている局面では、周辺の相場や総支払額を冷静に見て、高値づかみを避ける視点も持っておきたいところです。
立地適正化計画から見る草津市の拠点配置
立地適正化計画は、人口減少や高齢化を見据え、居住機能や都市機能をゆるやかに誘導していく考え方です。
市街化区域のなかに「居住誘導区域」と「都市機能誘導区域」を設定し、医療・福祉・商業などの立地を促すエリアと、人口密度を保って居住を促すエリアを地図上で明示しています。
住宅購入の観点で重要なのは、検討しているエリアが居住誘導区域に含まれているかという点です。
誘導区域内であれば、行政サービスやインフラ投資が相対的に維持されやすいと考えられます。
ただし、個別の道路・上下水道・公共施設の整備予定は別途の確認が必要で、区域内であることが将来の維持を保証するわけではありません。
あわせて押さえておきたいのが、災害リスクとの関係です。
草津市の立地適正化計画では、土砂災害警戒区域など災害リスクの高い区域を居住誘導区域の対象外とする考え方が示されています。
つまり、居住誘導区域の設定そのものが、災害リスクと暮らしやすさのバランスをふまえた行政の判断を反映している側面があります。
なお、区域外にも暮らしやすい場所はあり、駅距離・生活施設・災害リスク・価格のバランスで判断することが大切です。
ハザード情報・防災まちづくりの動向
防災面では、草津市が「洪水・内水ハザードマップ」を公開しています(令和3年6月更新)。
洪水・内水・土砂災害を想定したもので、購入前に必ず確認しておきたい情報です。
草津市で留意したいのは、大きく2つのリスクです。
ひとつは琵琶湖の氾濫で、湖岸の干拓地である新浜町・矢橋町などのエリアでは浸水深が大きく想定される場所があり、地形が平坦なため浸水が長く続くおそれも指摘されています。
もうひとつは内水氾濫で、旧草津川の周辺(大路・草津・西渋川など)は周囲よりわずかに低い皿状の地形のため、大雨時に雨水が集まりやすく、道路冠水などのリスクがあります。
滋賀県は流域治水を進めており、浸水想定などをふまえた安全なまちづくりが方針として打ち出されています。
湖岸沿いや旧河川周辺の低地では、ハザード情報の確認が住まい選びの前提になります。
最新の浸水想定は、草津市や滋賀県が公表するハザードマップで確認してください。
都市計画情報を住まい選びに活かす視点
ここまでの内容を、住まい選びにどう落とし込むか整理します。
1. 駅徒歩圏か、拠点圏か
草津駅・南草津駅という新快速2駅の徒歩圏は、通勤利便と需要の厚みを兼ね備え、将来の売却・賃貸でも選択肢が残りやすいエリアです。
2. 居住誘導区域・都市機能誘導区域の確認
検討エリアが立地適正化計画上どう位置づけられているかは、市の公開資料で確認できます。誘導区域内は行政サービスや商業機能が維持されやすい傾向がありますが、個別の整備予定は別途の確認が必要です。
3. ハザード情報の確認
琵琶湖岸や旧草津川周辺の低地では、洪水・内水の想定を購入前に必ず見ておきたい判断材料です。
4. 再開発・整備の進捗は中長期で見る
草津川跡地の整備や南草津のマンション開発は、短期の値動きを狙うものではなく、長期で街の機能が厚くなっていく過程を享受するものと捉えるのが現実的です。
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まとめ:草津市の都市計画動向を踏まえた住宅購入の判断軸
草津市は、新快速2駅という鉄道アクセスの強みに、人口増とコンパクト・プラス・ネットワーク型の都市計画が組み合わさったエリアです。
再開発の主役は、旧天井川の跡地を活かした草津川跡地整備と、南草津エリアの区画整理・マンション開発で、いずれも街の回遊性や住環境をゆるやかに底上げしています。
住宅購入の判断軸としては、次の4点を軸に検討することをおすすめします。
○ 駅徒歩圏か拠点圏か
○ 居住誘導区域・都市機能誘導区域に含まれるか
○ ハザードリスクはどうか
○ 長期保有に耐えうる立地か
都市計画は購入後の暮らしと将来の資産性に直結する情報です。
出口戦略はあくまで「もしもの時の保険」として備えつつ、長く暮らせる立地を選ぶ姿勢が、結果的に最も堅実な選択につながります。
草津の街全体の特徴は、別記事「草津市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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