個人間・国際送金を安く、円建てステーブルコインの活用が広がるーーJPYCは発行・償還の手数料が無料、信託型JPYSCは年率3%のレンディングも|ONZA的市況ニュース
2026-10-03

記事内容:個人間・国際送金を安くする円建てのステーブルコイン、JPYCは発行・償還の手数料が無料、信託型JPYSCは年率3%のレンディングも
2026.10.3の日経新聞で、個人間や国際送金を安くできるステーブルコインの活用について解説されました。
ステーブル(安定した)コインはデジタル通貨の一つで、ブロックチェーン(分散型台帳)上で流通するため、オンチェーン金融とも呼ばれるキャッシュレス決済手段です。
ステーブルコインは民間が発行する暗号資産(仮想通貨)の一種ですが、2023年施行の改正資金決済法で、電子決済手段として一般の暗号資産から分離されました。
ビットコインのような価格の乱高下がなく、円建てなら常に1コイン=1円として使えるよう定められており、発行体が持つ法定通貨や国債などの資産がその裏付けになります。
日本初の円建てステーブルコインは、2025年10月にフィンテック企業のJPYCが発行した同名のJPYCです。
購入するには同社の公式サービスで口座を開き、指定された銀行口座に入金して、スマートフォンのウォレットアプリなどで管理します。
岡部典孝代表取締役は長所として「個人間送金や国際送金、決済が超低コストで365日24時間可能で、取引の透明性も高いこと」を挙げています。
発行や償還(円に戻すこと)に手数料はかからないため、飲み会の精算や海外留学中の子どもへの学費の送金もほぼ無料ででき、数日かかり手数料も数千円かかる銀行経由の海外送金との差は大きいとしています。
ナッジ社のクレジットカードなら、VISA加盟店での支払いをJPYCでできます。
小売店にもメリットがあります。
JPYCでの支払いを受けるには、QRコードを印刷した紙をレジ前に貼る程度で、同社との契約や決済手数料は要りません。
クレジットカード決済の手数料は3%前後と高く、この利便性に気付いた飲食店やECサイトなどで使える所が増えているといいます。
AI(人工知能)エージェントが量子コンピューターに計算を依頼する際の支払いにも使われるなど、AIや会計ソフトとのなじみもいいとしています。
安全性については、同社は利用者の資金額以上の国債や円を自社の資産とは隔離して保有しており、手数料が無料なのもこれらの運用益があるためです。
口座開設や取引の際はマイナンバーカードのICチップで本人確認をし、マネーロンダリングの監視も常に行っているといいます。
難点は"資金移動業型"のため発行・償還が1回100万円までという規制があることですが、政府の骨太の方針でもオンチェーン金融の推進がうたわれており、緩和の方向とみられています。
2番目に発行されたJPYSCは日本初の"信託型"で、SBI新生信託銀行が発行し、SBI VCトレードが取り扱います。
信託型には100万円の規制がなく、SBI VCトレードの近藤智彦代表取締役社長は「個人ももちろん使えるが、将来は数百億円、数千億円といった額の企業間送金や貿易の決済に使われることを想定している」と話しています。
JPYSCには、同社に預けると年率3%で増える"JPYSCレンディング"もあり、預ける期間は約1カ月、3カ月、6カ月です。
6カ月の定期預金の0.5%と比べて魅力的な水準で、近藤氏は「利用者の資金を国債や仮想通貨市場で運用した収益から無理なく出せている」としています。
レンディングの収益は雑所得として総合課税の扱いになり、勤め人で他に雑所得がない場合は年20万円までなら所得税の確定申告が不要で、預けるのが666万JPYSCまでなら収益は20万円を超えないと記事は伝えています。
ただし、期間中は現金化できず、ペイオフのような保護制度もありません。
JPYSCは現在、法規制上の制限があり決済には使えませんが、8月末に金融庁から出た税制改正要望に含まれているため、近藤氏は遅くとも2027年4月には法令改正で送金できるようになる見通しだとしています。
同じ紙面では、欧州中央銀行(ECB)が2029年中の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を目指す一方、米国ではトランプ大統領が2025年1月にCBDCの開発や発行を大統領令で禁止したことから、日銀の発行もかなり先とみられると伝えています。
3メガバンクによるステーブルコインの共同発行は2026年度中とされ、実証実験中のこちらが先になる可能性があるとしています。
ポイント:円建てステーブルコインの使い道と条件
👉 価格が安定した円建てのデジタル通貨
法定通貨や国債などの資産が裏付けになり、円建てなら1コイン=1円として使えます。
👉 JPYCは送金や決済がほぼ無料
数日かかり数千円の手数料がかかる銀行経由の海外送金や、3%前後のクレジットカード決済の手数料との差は大きい一方、発行・償還は1回100万円までです。
👉 信託型JPYSCには年率3%のレンディングも
6カ月の定期預金の0.5%を上回りますが、期間中は現金化できず、ペイオフのような保護制度もありません。
👉 決済への活用は広がる途中
JPYSCの送金は遅くとも2027年4月に可能になる見通しで、3メガバンクの共同発行は2026年度中とされています。
不動産との関係:年率3%の預け先と、空室や修繕に備える手元資金は役割が違う
記事が伝えるのは、送金や決済をほぼ無料にする円建てのステーブルコインが広がり始め、信託型のJPYSCでは、預けると年率3%で増えるレンディングも用意されている構図です。
3%は6カ月の定期預金の0.5%を大きく上回りますが、記事のとおり、預けている1〜6カ月の間は現金化できず、ペイオフのような保護制度もありません。
この2つの条件を、不動産を持つ人や買う人が手元に置く資金の役割と照らし合わせると、置き場所の向き不向きがはっきりします。
不動産の手元資金には、時期を選べない支出に備える役割があります。
投資用なら、空室で家賃が入らない間の返済や管理費、退去後の原状回復や設備の故障、変動金利が上がったときの返済の増加、区分マンションなら修繕積立金の値上げや一時金です。
自宅でも、給湯器などの設備の交換や、住宅ローンの金利上昇に備える資金が要ります。
こうした支出はいつ来るかを選べないため、備えの資金は、必要なときにすぐ引き出せることが第一になります。
期間中に現金化できない預け先に備えの資金を入れると、空室と設備の故障が重なった月に資金を動かせず、返済や工事の支払いに回せないおそれがあります。
元本の保護がないことも、減っては困る備えの資金とは相性がよくありません。
銀行の預金は、預金保険制度で1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護され、利息のつかない普通預金などの決済用預金は全額が保護されます。
大切なのは、資金を役割で分けてから置き場所を決めることです。
備えの資金をすぐ使えて保護のある場所に確保したうえで、当面使う予定のない資金は、利回り、預ける期間、保護の有無を見比べて置き場所を選べます。
手元のお金を目的別に分けて置き場所を考える方法については預金は「0.1%への投資」である ── なぜ現金保有を最小化するべきかで整理しています。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、JPYSCのレンディングが年率3%と、6カ月の定期預金の0.5%の6倍の水準にある一方、預けている間は現金化できず、ペイオフのような保護制度もない点です。
記事が示す額で比べると、差の大きさは次のとおりです。
○預ける額:666万円(記事で、収益が年20万円を超えない上限として示された額)
○年率3%の収益:年約20万円
○年率0.5%の場合の収益:年約3.3万円(差は年約16.7万円)
※税や手数料を除いた単純計算です。
レンディングの期間は約1〜6カ月で、期間中は現金化できず、保護制度もありません。
ONZAは投資用・住宅とも変動金利を主軸に考え、金利が上がっても返せる余力をセットにしています。
その余力は、持っているだけでなく、空室や修繕、金利の上昇が重なったときにすぐ使えて初めて役に立ちます。
年約16.7万円の差は小さくありませんが、備えの資金に求めるのは、必要なときに引き出せることと元本が守られることです。
まず備えの資金を確保し、それを超える分で利回りの条件を比べるのが基本です。
まとめ
👉 記事内容の要点
円建てのステーブルコインは法定通貨や国債などの資産を裏付けに1コイン=1円で使え、2025年10月に日本初のJPYCが発行された
JPYCは発行・償還の手数料がかからず、個人間送金や海外送金、店舗での決済を低コストでできる一方、資金移動業型のため1回100万円までの規制がある
信託型のJPYSCには100万円の規制がなく、預けると年率3%で増えるレンディングもあるが、期間中は現金化できず、ペイオフのような保護制度もない
JPYSCの送金は遅くとも2027年4月に可能になる見通しで、3メガバンクのステーブルコインの共同発行は2026年度中とされる
👉 行動指針
不動産の手元資金は、空室・修繕・金利上昇など時期を選べない支出に備える分を先に決める
備えの資金は、すぐ引き出せて元本が保護される置き場所に確保し、期間中に現金化できない預け先には入れない
当面使わない資金は、利回り・預ける期間・保護の有無を見比べて置き場所を選ぶ(666万円なら年率3%と0.5%の差は年約16.7万円)
ご相談について
投資用でご検討の方
空室や修繕、金利の上昇に備える手元資金の目安は、物件の返済額や運営費から決まります。
検討中・保有中の物件について、備えとして確保しておきたい資金の額を一緒に試算いたします。
売却をご検討の方
売却で受け取る代金も、住み替えの資金、残債の返済、手元に残す備えと役割を分けて考えると、次の計画が立てやすくなります。
お持ちの物件の状況に合わせて、売り出しの準備から一緒に進めます。
居住用でご検討の方
頭金をどこまで入れるかは、入居後の設備の交換や金利の上昇に備えて手元に残す資金とあわせて決めると、無理のない資金計画になります。
暮らしに合う住まいと資金計画を一緒に整理していきましょう。
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