2階建て住宅ローンの落とし穴ーー元金50%を期日に一括返済、月々は軽く金利は0.35%上乗せ、利用者を選ぶ商品|ONZA的市況ニュース
2026-09-17

記事内容:タワマン購入へ2階建てローン、月々の負担減に落とし穴
2026.9.17の日経新聞で、タワーマンションなど高額物件の購入を検討する若者が、新手の2階建て住宅ローンに関心を寄せていると報じられました。
借入額を1階部分と2階部分に分け、1階部分は期日まで元金を据え置いて最後にまとめて返済する仕組みで、月々の返済額をできる限り軽くしたいというニーズに応える商品です。
落とし穴はないのか、と記事は問いかけています。
東京都心の1.6億円のマンション購入を検討する30代の会社員は、ドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)が6月に始めた2階建てローンを借り入れの選択肢に入れており、1階部分の支払いを先送りできるため、支払いの重心を後ろにずらせる点を魅力に挙げています。
2階建てローンの正式名称は期日一括返済併用型住宅ローンで、返済最終日に元金の50%を一括で支払い、それまでの月々の返済負担は利息と残り半分の元金のみです。
通常の住宅ローンはすべての元金を毎月少しずつ返済しますが、2階建てローンは通常ローンに比べて金利が0.35%上乗せされる代わりに、月々の返済額は抑えられます。
ドコモSMTBは当初、利用の大半を40代以上が占めると見込んでいましたが、ふたを開けてみると30代の検討者も全体の2割に達しました。
商品戦略部の辻本義之担当部長は「月々の返済負担を抑え、その分を少額投資非課税制度(NISA)を通じた投資信託の資産形成に振り向けたい若い世代のニーズもある」と話しています。
家計の専門家からは懸念の声があがっています。
千葉商科大学特任教授でファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏は「最終返済時に必要となる資金の確保に見通しが立っているなら検討の余地がある」とする一方、「毎月の返済額が少なくて済むとの理由だけで選ぶのは危うい」と指摘します。
返済総額の半分を最後に先送りすることで生活の自由度は高まるかもしれませんが、最終的に物件売却などでまとまった資金を自力で確保しなければならず、市場環境によっては返済に窮するリスクもあります。
マンション購入者にとって選択肢が増えるのは望ましいものの、利用者を選ぶローンであることは間違いないと記事は結んでいます。
ポイント:2階建てローンの現在地
👉 元金の50%を最終日に一括返済
月々は利息と残り半分の元金のみで、通常ローンより金利が0.35%上乗せされます。
👉 30代の検討者が2割
当初は40代以上が大半と見込まれていましたが、月々を抑えてNISAでの資産形成に回したい若い世代のニーズもあると銀行は説明しています。
👉 専門家は最終返済の原資に見通しがあるかを条件に
毎月の返済額が少なくて済むという理由だけで選ぶのは危ういと竹下氏は指摘しています。
👉 利用者を選ぶローン
最終的に物件売却などでまとまった資金を自力で確保する必要があり、市場環境によっては返済に窮するリスクがあると記事はみています。
最終日の元金50%をどう用意するか:2階建てローンを使う前に決めておくこと
記事が利用者を選ぶローンと呼ぶ理由は、月々の負担が減る一方で、最終日に大きな元金が残るためです。
2階建てとは、借入を通常どおり返す部分(2階部分)と、期日に一括で返す部分(1階部分)に分ける呼び方です。
月々の返済を軽くする代表的な方法には、返済期間を延ばす方法と、元金の一部を最終日に回す方法があり、今回の商品は後者で、月々の軽さは返済の一部を最終日へ移した結果です。
以下は仕組みを理解するためのONZAの仮定試算で、実際の金利、返済額、利用条件は金融機関の契約条件で異なります。
○前提:借入4000万円・35年・元利均等・通常ローンの金利1.5%、2階建ては0.35%上乗せの1.85%・金利は変わらないものとする
○前提:2階建ては1階部分2000万円を利息のみ払って最終日に一括返済し、2階部分2000万円を35年で元利均等返済する
○通常ローンの月々:122,474円
○2階建ての月々:95,557円(2階部分64,723円+1階部分の利息30,833円)
○2階建ての最終日:2000万円を一括返済
○35年の総支払額:通常 約5,144万円、2階建て 約6,013万円
※月々は26,917円軽くなり、最終日に2000万円が必要で、総支払額は約869万円増えます。
総支払額が増える理由は2つです。
1階部分の元金は35年間減らないため、その2000万円が期間中ずっと利息の計算対象として残ります。
そこに0.35%の上乗せ金利が借入全体に乗ります。
月々の軽さは、この2つの費用と引き換えに、返済の半分を35年後の自分に渡す形で生まれています。
だから、この商品を使うかどうかの分かれ目は、最終日の2000万円を誰がどう払うかを、今日の時点で決めておけるかです。
原資は3つに分かれます。
1つ目は物件の売却で払う場合です。
最終日の残債2000万円と、そのときの売却価格の差が結果を決めます。
差がプラスなら売却代金で完済して手元に残り、マイナスなら不足分を別に用意することになります。
売却を出口に置くなら、残債と物件の価値の差を折々に把握しておきます。
残債が残る家を売るときの残債と売却見込み額の比べ方については住宅ローンが残っている家を売る ── 残債の確認から抵当権抹消までで整理しています。
2つ目はまとまった資金で払う場合で、退職金や積み立てた運用資産がこれにあたります。
軽くなった月々を積み立てて用意するなら、2000万円を35年(420カ月)で割ると月47,619円で、運用益を見込まない場合は月々の軽さ26,917円を上回ります。
軽くした分を運用に回す設計は、最終日の2000万円を運用の成果に委ねる設計と同じ意味を持つため、運用の結果に左右されずに最終日の資金に見通しが立つ形かどうかを先に確かめます。
3つ目は借り換えて払い続ける場合です。
最終日の時点で改めて2000万円を借りることになるため、そのときの金利と、年齢や収入に応じた借入条件で可否と月々が決まります。
最終日がいつ来るかは借入時の年齢と設定する返済期間で決まり、退職期以降に重なることもあるため、完済時の年齢と出口を逆算しておく価値があります。
年齢とライフステージで変わる住宅ローンの金利タイプと完済年齢、出口の考え方については大津市で30代・40代が住まいを選ぶときの判断軸ーー年齢・ライフステージで変わる考え方を整理する、草津市で30代・40代が住まいを選ぶときの判断軸ーー年齢・ライフステージで変わる考え方を整理する、守山市で30代・40代が住まいを選ぶときの判断軸ーー年齢・ライフステージで変わる考え方を整理するで整理しています。
合う手段は、何のために月々を軽くしたいのかで決まります。
教育費の山を越えるまで月々を抑えたい場合、収入の増加を見込んで返済の重心を後ろに置きたい場合、手元の余力を運用に回したい場合によって、期間を延ばす、元金の一部を最後に回す、頭金を増やす、のどれが合うかは違います。
変動金利を選ぶ場合や最終日に借り換えを想定する場合は、金利の条件が変わっても返せる余力をセットにします。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、30代の検討者が2割に達したという数字と、通常ローンより0.35%高い金利です。
月々の軽さは返済の一部を最終日へ移した結果で、最終日に払うのは35年後のご本人です。
その日に払える見通しは、借りる時点で原資と代わりの手段を決めておくことで高められます。
ONZAは最終返済の原資を、売却代金で払う、退職金や運用資産で払う、借り換えて払い続ける、のどれでも成り立つものとして扱います。
大事なのは、どれで払うかを借りる前に決めておき、その原資の見通しを折々に確かめることです。
住まいは暮らしに合うかどうかと、無理のない資金計画で選ぶのが基本で、月々を軽くする借り方はその資金計画の一部として位置づけます。
もう一つは、竹下氏が挙げた条件です。
最終返済時の資金の確保に見通しが立っているなら検討の余地があるという順番は、ONZAがご相談で確かめる順番と同じです。
最終日の資金の見通し、月々の返せる額、総支払額の順に見て、月々の軽さは最後に見ます。
記事のいう利用者を選ぶローンとは、選ばれる側の条件を自分で確かめられる人のためのローンです。
軽くした分を運用に回す設計も、運用の結果がどうであっても最終日の資金に見通しが立つ余力があれば、月々の軽さと資産形成を両立させる道具になります。
まとめ
👉 記事内容の要点
2階建て住宅ローンは元金の50%を返済最終日に一括で支払い、それまでの月々は利息と残り半分の元金のみで、通常ローンより金利が0.35%上乗せされる
銀行は当初40代以上が大半と見込んでいたが30代の検討者が2割に達し、月々を抑えてNISAでの資産形成に回したい若い世代のニーズもあるとしている
専門家は最終返済時の資金確保に見通しがあるなら検討の余地があるとする一方、毎月の返済額が少ないという理由だけで選ぶのは危ういと指摘している
最終的に物件売却などでまとまった資金を自力で確保する必要があり、市場環境によっては返済に窮するリスクがある利用者を選ぶローンだと記事はみている
👉 行動指針
月々を軽くする借り方は返済の一部を最終日へ移す仕組みと捉え、最終日の元金を売却、まとまった資金、借り換えのどれで払うかを借りる前に決める
売却で払うなら残債と物件の価値の差を折々に把握し、積み立てで払うなら月々の軽さの分だけを積み立てても最終日の額に届かない点を試算し、借り換えで払うなら期日時点の年齢と収入で条件が決まる点を見ておく
最終日の資金の見通し、月々の返せる額、総支払額の順に確かめ、変動金利や借り換えを想定する場合は金利の条件が変わっても返せる余力をセットにする
ご相談について
投資用でご検討の方
投資用物件は、居住用の住宅ローンと融資の条件も出口の設計も異なります。
返済方法と売却時の残債を含めて、検討中の物件の収支と出口まで、一緒に試算いたします。
売却をご検討の方
残債が残る家の売却では、残債と売却価格の差が進め方を決めます。
残債、家賃収入、想定される買い手の属性を並べて、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
月々を軽くする借り方を検討する場合は、最終日の資金の見通しまで含めて、返せる額を軸に一緒に整理していきましょう。
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