長期金利上昇のなか三井住友FGは日本国債に積極姿勢ーー超長期債の買いを探る一方、日本の金利は欧米よりまだ低いとの見方|ONZA的市況ニュース
2026-10-14

記事内容:三井住友FGの市場部門トップ、日本国債は超長期債の買いを探り、日本の金利はまだ低いとの見方
2026.10.14の日経新聞で、世界的に長期金利が上昇するなか、日本国債への投資に積極的な姿勢がうかがえる三井住友フィナンシャルグループ(FG)の市場事業部門長、永田有広執行役専務へのインタビューが掲載されました。
運用戦略と市場動向の見方を聞いています。
永田氏は1993年に大阪大学基礎工学部を卒業して住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、2022年に三井住友FG執行役員、2023年に常務執行役員となり、2025年から現職です。
日本国債への投資姿勢が3メガバンクのなかでも積極的に見えるとの問いに、永田氏は「積極的に見えるのはこれまで世界で一番弱気だったからだ」と答えています。
債券残高が小さく、2023年からの金利上昇による債券の評価損を一番かわした自負があり、ポートフォリオが傷んでいなかったこともあって、2.5〜3.0%がレンジに入ってきたなかで多少買ったとし、「日本の要因だけで考えればこのあたりがフェアバリューだろう」としています。
投資妙味があるのは超長期債で、去年から十数年ぶりに触り始めたといいます。
永田氏は「現状、誰も買えない状況で需給バランスが悪くなっている。
3メガバンクの一角として(市場を)支えるつもりもある」と話す一方、5年債は「まだまだ全然触れない」、10年債も「フェアバリューに来たものの、大きな投資妙味がある状況ではない」としています。
日本も米国も長期金利が上昇しやすい市場環境にあり、今年に入ってから世界的に金利が上がり始め、イラン攻撃で原油も上がっています。
永田氏は、日本の金利は欧米に比べるとまだ低いとして、運用を手掛ける社員との毎朝のミーティングで「金利が高いと思っていないか」と問いかけ、まだ買うタイミングではないという水準感を擦り合わせているといいます。
日銀の金融政策については「インフレ率が2%を超えるなか、実質金利がマイナスなのは世界中でも日本くらいだ。
日銀の利上げがしっかりと追いついてくれば長期金利や為替も安定する。
そうなれば(日本国債も)投資対象になる」と述べています。
金利ある時代になって銀行収益は好調で、今年度も過去最高益を更新する見通しですが、将来的に金利が折り返した段階で銀行収益が減速する懸念もあり、そのときの一番良いヘッジ(損失回避)は日本国債だとして、日本国債のポートフォリオをどう徐々に復元するかが市場部門にとって大きな課題だとしています。
世界的な長期金利上昇の背景について、永田氏は、金融危機以降に貯蓄超過の時代が続いてきたが、コロナ以降では資本の奪い合いが起きていると分析しています。
ハイパースケーラーによる人工知能(AI)投資は、投下資本の収益率が加重平均の調達コストを上回っている限り止まらず、この額が巨大になって国債の投資魅力が小さくなってきているとしています。
さらに「金利が低すぎる時代の債券が全てアンダーウォーター(含み損)になっている。
不都合な真実で、債券ポートフォリオマネジャーが評価損を抱えている。
これが体力をそいで、新しい債券への要求収益率が上がり、金利の上昇につながっている」と指摘し、米国についても「インフレも収まる気配がなく、長期金利もどんどん上がっている。
5%とイメージ通りの金利水準まできたが、どうも加速する可能性がある」とみています。
さらに金利が上昇する条件として、永田氏は財政健全化に向けた施策が示されない状況を挙げ、「米国もどこかで規律を効かせて、財政に対する信頼を上げるような策が求められる。
小手先の話ではなく、政策効果が乏しい減税や補助金を見直すことをちゃんとやる必要がある。
日本も同じだ」と述べています。
ポイント:メガバンクの運用トップが見る日本国債と金利
👉 2.5〜3.0%で日本国債を多少買い
債券の評価損を抑えてきたことを背景に、日本の要因だけで考えればこのあたりがフェアバリューだとしています。
👉 投資妙味は超長期債、5年債はまだ触れない
誰も買えない状況で需給が悪い超長期債を十数年ぶりに買い始め、10年債は大きな投資妙味がある状況ではないとの見方です。
👉 日本の金利は欧米よりまだ低い
実質金利がマイナスなのは日本くらいで、日銀の利上げが追いつけば長期金利や為替も安定するとしています。
👉 要求収益率の上昇が金利を押し上げる
AI投資による資本の奪い合いと、低金利時代の債券の含み損で、新しい債券への要求収益率が上がっていると分析しています。
不動産との関係:債券に求める利回りが上がれば、不動産に求める利回りも上がりやすい
記事が伝えるのは、AI投資による資本の奪い合いや、低金利時代に買われた債券の含み損を背景に、投資家が新しい債券に求める利回り(要求収益率)が上がり、それが長期金利を押し上げているという見方です。
不動産も、投資家が利回りを求めて持つ資産の一つで、債券に求める利回りが上がる局面では、不動産に求める利回りも同じ方向に動きやすくなります。
投資家は、国債のように比較的安全な資産で得られる利回りと比べて、不動産にはそれを上回る利回りを求めます。
安全な資産の利回りが上がれば、不動産に求める利回りも上がりやすく、同じ家賃に対して投資家が払える価格は抑えられる方向に働きます。
借入を使って買う投資家にとっては、金利の上昇で借入の負担が増えることも、求める利回りを押し上げる要因になります。
一方で、利回りを決めるもう一つの要素は家賃です。
通勤や通学の需要が続く立地で家賃が保たれる物件であれば、求める利回りが上がる局面でも、家賃の側から利回りを支えることができます。
買う側にとっては、物件の利回りを借入の金利とあわせて見ることに加えて、その家賃がこの先も続くかを確かめることが判断の軸になります。
借入を含めた利回りの見方については表面利回りの先 ── CCRとIRRで自己資金効率と時間まで見るで整理しています。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、2.5〜3.0%のレンジで日本国債を多少買ったとする三井住友FGの市場部門トップが、同時に運用担当者に「金利が高いと思っていないか」と問いかけ、日本の金利は欧米に比べてまだ低いとみている点です。
運用のプロが、この水準を日本の要因だけで見たフェアバリューとしつつ、海外の金利や財政の動き次第でさらに上がる余地を意識しています。
求める利回りが動くと、同じ家賃でも払える価格がどう変わるかを、仮の数字で見てみます。
○前提:年間の家賃収入が120万円(月10万円)の物件とする
○求める利回りが4.0%のとき:価格3000万円
○求める利回りが4.5%のとき:価格約2667万円(約11%低い)
○求める利回りが5.0%のとき:価格2400万円
※家賃と利回りは仮定で、管理費や修繕費、空室などを差し引く前の家賃を、求める利回りで割った単純計算です。
実際の価格は、立地や築年、需給などで決まります。
ONZAは家賃を不動産の収益の源泉と考えています。
求める利回りが金利とともに動く局面でも、通勤や通学の需要が続く立地であれば受け取る家賃は保たれやすく、長く持つ人にとっての収益の土台は家賃の側にあります。
買う側は、利回りを借入の金利と比べるとともに、その家賃が続くかを先に確かめ、借入を使う場合は変動金利を主軸に、金利が上がっても返せる余力をセットにするのが基本です。
まとめ
👉 記事内容の要点
三井住友FGの永田氏は、債券の評価損を抑えてきたことを背景に日本国債を2.5〜3.0%のレンジで多少買い、日本の要因だけで考えればこのあたりがフェアバリューとした
投資妙味は需給が悪い超長期債にあり、5年債はまだ触れず、10年債も大きな投資妙味がある状況ではないとの見方を示した
日本の金利は欧米よりまだ低く、実質金利がマイナスなのは日本くらいで、日銀の利上げが追いつけば長期金利や為替も安定するとした
世界的な金利上昇の背景に、AI投資による資本の奪い合いと、低金利時代の債券の含み損による要求収益率の上昇を挙げ、財政健全化の施策が示されなければ金利はさらに上がりうるとした
👉 行動指針
金利が上がる局面では不動産に求められる利回りも上がりやすいことを押さえ、物件の利回りを借入の金利とあわせて確かめる
利回りを支えるもう一つの要素である家賃が、この先も続く立地かどうかを先に確かめる
借入を使う場合は、変動金利を主軸に、金利が上がっても返せる余力をセットにする
ご相談について
投資用でご検討の方
金利が上がる局面では、物件の利回りと借入の金利、家賃の続き方をあわせて見ることが大切です。
検討中・保有中の物件について、利回りの根拠と、金利が上がった場合の収支を一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
投資家が不動産に求める利回りは金利とともに動き、投資用の物件では買い手の価格の見方にも表れます。
お持ちの物件の家賃や状態をもとに、売り出しの時期と進め方を一緒に整理します。
居住用でご検討の方
住宅ローンの金利も、長期金利や政策金利の動きで変わります。
暮らしに合う住まいを、金利が上がっても無理なく返せる計画で一緒に考えていきましょう。
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