ネット銀行、手数料ゼロや返済延長で住宅ローンの目先の負担を軽くーー変動金利は平均1.598%に上昇、預金集めが需要に追いつかず|ONZA的市況ニュース
2026-10-21

記事内容:ネット銀行が手数料ゼロや返済延長の住宅ローン、目先の負担を軽くして需要を取り込む
2026.10.21の日経新聞で、インターネット銀行が、目先の家計負担を抑えることをうたった住宅ローンを広げ始めたと報じられました。
"金利ある世界"で大手銀行との預金の争奪が激しくなるなか、多様な手数料や返済方法を打ち出し、若い世代の取り込みを図ります。
PayPay銀行は11月にも、住宅ローンの借入時に契約手続きの費用として支払う事務手数料をゼロにする新プランを始めます。
これまでは借入額の2.2%を手数料として、融資の実行日に受け取っていました。
手数料はゼロですが、通常のローンに金利を0.3%上乗せします。
金利の負担は増えますが、借入期間が短いほど手数料の軽減効果が出やすく、金利変動の影響などを除く単純計算では、おおむね7〜8年以内に完済すると通常のローンより総返済の負担を抑えられます。
家族構成の変化などに合わせて住み替える若い世代の需要を見込み、住宅を売却してローンを一括で返済するような利用を想定しています。
ドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)は6月、返済の最終日に元金の50%を一括で返済する住宅ローンの取り扱いを始めました。
高価格帯のマンションの購入者向けで、将来の住宅の売却益による返済を想定しています。
金利は通常型より0.35%高いものの、月々の返済は利息と残り半分の元金のみとなるため、目先の負担を抑えられます。
ソニー銀行は住宅ローンの最長返済期間を35年から50年に延ばし、融資の上限も2億円から3億円に引き上げました。
首都圏の新築マンションは平均1億円前後で推移しており、住宅価格の高騰を受けて、若い世代を中心とした需要を取り込む狙いです。
ネット銀行は店舗を持たない低コストの運営を生かし、低金利の商品で対面の銀行からシェアを奪ってきました。
住宅ローンを入り口に顧客を獲得し、給与振込や決済、資産運用などに取引を広げる成長モデルを築きましたが、その戦略が転機を迎えています。
住宅ローン比較サービス"モゲチェック"を運営するMFSによると、10月のネット銀行の変動型金利は平均で前月比0.306%高い1.598%で、メガバンク(1.332%)や地方銀行(1.505%)を上回り、直近1年では0.83%上昇しました。
金利の引き上げを急ぐ背景には、貸し出しの原資となる預金の獲得が追いつかなくなっていることがあります。
金利ある世界で銀行間の預金の獲得競争は激しくなっており、預金に対する貸出金の割合を示す"預貸率"は上昇傾向にあります。
みずほ証券の岡田凌太シニアクレジットアナリストの集計では、主要ネット銀行6行の2026年3月末時点の預貸率は72%と、2024年同月の64%から上がり、auじぶん銀行は111%、住信SBIネット銀行(当時の社名)は96%に達しました。
MFSの塩沢崇取締役は「給与振込口座を多く抱える大手銀行の方が預金を集めやすい」としたうえで、「金利上昇に伴ってネット銀でも預金の調達コストが膨らみ、ローン金利を引き上げざるを得なくなっている」と指摘しています。
あるネット銀行の首脳も「住宅ローン需要の伸びに預金の増加が追いついていない」と明かしています。
従来のように低コストで貸出残高を積み上げるのは難しくなった半面、住宅ローンは依然としてネット銀行にとって集客の要で、最安の金利を競う従来型の手法から、返済方法や手数料を工夫して狙う顧客を絞り込む戦略へと軸足を移しています。
もっとも、PayPay銀行やドコモSMTBネット銀行の住み替えを前提とする商品では、不動産市況が悪化すれば売却が遅れたり、売却代金だけではローンを返しきれなかったりするリスクもあります。
記事は、ネット銀行には安定した預金基盤の確保とともに、新たなリスクを織り込んだ審査体制の整備も求められそうだとしています。
ポイント:ネット銀行の住宅ローンの新しい形と、金利上昇の背景
👉 PayPay銀行は手数料ゼロ、金利は0.3%上乗せ
借入額の2.2%の事務手数料をなくす代わりに金利を上乗せし、おおむね7〜8年以内の完済なら総返済の負担を抑えられます。
👉 最終回に元金の半分を一括返済する商品も
ドコモSMTBネット銀行の商品は、月々の返済を利息と残り半分の元金だけにして、目先の負担を軽くします。
👉 ソニー銀行は最長50年・上限3億円に
住宅価格の高騰を受けて、返済期間と融資の上限を広げました。
👉 ネット銀行の変動金利は平均1.598%
預金の獲得が住宅ローンの需要に追いつかず、メガバンクや地方銀行を上回る水準に上がっています。
目先の負担を軽くする住宅ローンのしくみ:手数料ゼロ、最終回の一括返済、50年返済で何が変わるか
記事が伝えるのは、ネット銀行が、事務手数料をなくす、最後に元金の半分をまとめて返す、返済期間を50年に延ばすといった形で、住宅ローンの目先の負担を軽くする商品を広げていることです。
どの仕組みも負担の置き場所を変えるもので、手数料は金利の上乗せに、月々の元金の返済は最終回の一括返済や長い返済期間に、それぞれ形を変えて移しています。
手数料ゼロの商品では、手数料がかからない代わりに金利が0.3%上がるため、借入の期間が長いほど、上乗せされた利息が積み上がります。
何年で返し終えるかによってどちらの総額が軽くなるかが入れ替わり、記事が単純計算で7〜8年以内の完済なら総返済の負担を抑えられるとするのはこのためです。
住み替えの予定がある場合は、何年後に売って返すつもりかが、選ぶときの目安になります。
最終回に元金の50%を返す商品は、月々の返済が軽くなる分、最終回にまとまった元金が残ります。
住宅を売って返すことを想定する使い方では、そのときの売却価格と残っているローンの差が結果を左右し、記事も、市況が悪化すれば売却が遅れたり、売却代金だけでは返しきれなかったりするリスクを指摘しています。
ローンが残る家を売るときの、残債と売却見込みの並べ方については住宅ローンが残っている家を売る ── 残債の確認から抵当権抹消までで整理しています。
50年返済は、期間を延ばすことで月々の返済額を抑える仕組みで、その分、元金の減り方が緩やかになり、利息を払う期間は長くなります。
長い借入期間を道具としてどう使うかについては50年ローンは敵か味方か ── 長期借入のレバレッジ理論で整理しています。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、手数料をゼロにする代わりに金利を0.3%上乗せし、7〜8年以内に返し終えれば総返済の負担を抑えられるという、負担の置き場所の組み替えがはっきり示されている点です。
目先の負担を軽くする仕組みは、負担を初めに払うか、毎月払うか、最後にまとめて払うか、長い期間に分けて払うかを組み替えるもので、これはどの金融機関の住宅ローンにもいえる見方です。
何年で返し終えるかによって総額がどう変わるかを、仮の数字で見てみます。
○前提:借入4000万円・35年・元利均等返済で、通常は金利1.6%(10月のネット銀行の変動金利の平均に近い水準)と事務手数料2.2%(88万円)、手数料ゼロは金利1.9%とし、金利は変わらないものとする
○毎月の返済額:通常は約12.4万円、手数料ゼロは約13.0万円
○5年で返し終える場合:手数料ゼロの方が総額で約30万円少ない
○7年で返し終える場合:手数料ゼロの方が約8万円少ない
○10年で返し終える場合:通常の方が約23万円少ない
※金利は仮定です。
総額は、事務手数料と毎月の返済額の合計に、返し終える時点の残高を加えて比べています。
実際の金利は見直しで変わり、結果も変わります。
ONZAはローンの組み方について、どれか一つが正解とは考えていません。
何年住むつもりか、月々と総額のどちらを重く見るか、売って返すことも考えるかによって、合う組み方が変わります。
売却で返すことを前提にする場合は、そのときの価格と残っているローンの差を把握しておくことが大切で、借入は変動金利を主軸に、金利が上がっても返せる余力をセットにしておくことが基本です。
まとめ
👉 記事内容の要点
PayPay銀行は11月にも、借入額の2.2%の事務手数料をゼロにする代わりに金利を0.3%上乗せする住宅ローンを始め、おおむね7〜8年以内に完済すれば通常より総返済の負担を抑えられる
ドコモSMTBネット銀行は最終回に元金の50%を一括返済する住宅ローンを始め、ソニー銀行は最長の返済期間を50年に、融資の上限を3億円に広げた
ネット銀行の変動金利は10月に平均1.598%とメガバンクや地方銀行を上回り、預金の獲得が住宅ローンの需要に追いつかず、主要6行の預貸率は72%に上がった
住み替えを前提とする商品では、不動産市況が悪化すれば売却が遅れたり、売却代金だけでは返しきれなかったりするリスクもある
👉 行動指針
目先の負担を軽くする住宅ローンは、軽くなった分が金利・最終回・期間のどこに移るかを確かめてから選ぶ
手数料と金利の組み合わせは、何年で返し終える見込みかで総額が入れ替わるため、住み替えの予定と合わせて比べる
売却で返すことを前提にするなら、そのときの価格と残っているローンの差を把握し、変動金利を主軸に、金利が上がっても返せる余力をセットにする
ご相談について
投資用でご検討の方
投資用の借入も、手数料・金利・期間の組み合わせで、初めと毎月と最後のどこに負担を置くかが変わります。
検討中の物件について、投資用ローンの条件と、金利が上がった場合の収支を一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
住み替えでローンが残る家を売るときは、売却代金と残っているローンの関係が進め方を左右します。
お持ちの物件の状況とご意向に合わせて、残債の確認から売り出しの時期まで一緒に整理します。
居住用でご検討の方
住宅ローンは、月々の返済だけでなく、手数料や金利、最後に残る元金まで含めて比べることが大切です。
暮らしに合う住まいを、金利が上がっても無理なく返せる資金計画で一緒に考えていきましょう。
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