基準地価は5年連続上昇も上昇幅は横ばいーー住宅地1.0%・商業地2.9%、金利上昇で実需が鈍り、国交省は投機的取引の抑制を税制要望|ONZA的市況ニュース
2026-09-21

記事内容:基準地価は5年連続で上昇、上昇幅は横ばいに
2026.9.21の日経新聞で、地価の上昇が続くなか、これまで拡大を続けてきた上昇幅が横ばいになり、金利の先高観が強まるなかで地価の上昇が落ち着く方向に向かうのか注視すべき局面だと社説が論じました。
国土交通省がまとめた7月1日時点の基準地価は5年連続で上昇しました。
全国の上昇率を用途別にみると、全用途平均が1.5%、住宅地が1.0%、商業地が2.9%でした。
前年と比べた上昇幅は全用途平均と住宅地が横ばいで、商業地は0.1ポイントの拡大にとどまりました。
1月時点の公示地価と共通する調査地点で半年ごとの変動をみると、全国の住宅地は昨年後半の1.6%から今年前半は1.4%に、商業地も3.1%から2.8%に上昇率が鈍っています。
今年に入っての減速は東京圏、大阪圏、名古屋圏と地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)に共通する傾向です。
社説は、地価の上昇や建築費の高騰が続いているうえ、金利が上昇局面に入ったことで実需が鈍ってきたのが要因だろうとし、日銀が利上げのペースを速めれば実需への影響は一段と大きくなると指摘しています。
海外の不動産マネーの動きにも注意が必要だとしています。
日本での不動産投資は低金利下で国債に比べて有利な状況が続いてきましたが、金利の上昇でうまみは従来ほどでなくなり、円安傾向に歯止めがかかるようになれば、海外の主要都市と比べた物件の割安感も薄れると社説はみています。
建築資材には石油関連製品が多く、中東情勢も懸念材料です。
紛争が長引けば建築費の高騰は続き、再開発の遅れなどに拍車をかけ、中長期的な土地の需要に影響してくる可能性があるとしています。
近年の地価上昇で、東京23区の住宅地の平均価格はバブル期のピークに比べ3分の2の水準まで上がってきました。
マンション価格は高止まりし、需要の大きい中所得層にも手が届きにくくなっています。
社説は、現在の東京などの不動産価格は中低所得層の住宅取得などの面で弊害を生んでおり、地価の上昇が落ち着きをみせたとしても政策的な対応が必要な段階に来ているのではないかと問いかけています。
国土交通省は来年度の税制改正要望に、マンション高騰対策として短期売買など投機的な取引を抑制する措置を盛り込みました。
金利の上昇で地価が落ち着きをみせるかどうかを見極めながら、適切な政策を打つべきだと社説は結んでいます。
ポイント:基準地価の現在地と社説の見立て
👉 基準地価は5年連続の上昇、上昇幅は横ばい
全用途1.5%、住宅地1.0%、商業地2.9%で、公示地価との共通地点の半年ごとでは住宅地が1.6%から1.4%に、商業地が3.1%から2.8%に鈍っています。
👉 減速は3大都市圏と地方4市に共通
要因は地価上昇と建築費高騰に加えて、金利が上昇局面に入って実需が鈍ったことで、利上げのペースが速まれば影響は一段と大きくなると社説は指摘しています。
👉 海外マネーと建築費の2つの注意点
金利上昇でうまみが減り、円安に歯止めがかかれば割安感も薄れます。
中東情勢が長引けば建築費の高騰が続き、再開発の遅れが中長期の土地需要に影響します。
👉 政策対応が必要な段階
東京23区の住宅地はバブル期ピークの3分の2まで上がり、マンションは中所得の世帯にも届きにくく、国土交通省は短期売買など投機的な取引の抑制を税制改正要望に盛り込みました。
地価の伸びが鈍る局面の見方:金利0.25%の上昇は月々の返済額で借入額4%分
社説が挙げた地価の減速の要因は、地価上昇と建築費高騰で価格が上がりきったところに、金利が上昇局面に入って実需が鈍ったことです。
金利が上がると、同じ年収で借りられる額と、同じ借入額の月々の返済額が変わり、買える価格帯が下がります。
買える価格帯が下がれば取引は減り、地価の上昇幅は鈍ります。
この鎖で見ると、地価を落ち着かせる力と、買う側の借入コストを上げる力は、同じ一つの金利上昇です。
金利の先高観が強まる局面では、地価の上昇が落ち着くのを待つ間に、金利の方が先に動きえます。
価格と金利のどちらが月々に効くかを、記事の数字で並べます。
基準地価の全国の住宅地は前年比1.0%の上昇で、公示地価との共通地点でみた半年間の上昇率は昨年後半の1.6%から今年前半は1.4%に下がりました。
一方、社説には数字がありませんが、9月18日の金融政策決定会合で決まった利上げ幅は0.25%(1.0%から1.25%)でした。
○前提:借入4000万円・返済期間35年・元利均等・金利1.2%、金利以外の条件は変わらないものとする
○金利1.2%の月々:116,681円
○金利1.45%(0.25%上昇)の月々:121,496円(約4,800円増、年約5.8万円)
○金利1.45%で月々を116,681円に戻すために必要な借入額:約3,841万円(約4%減)
※仕組みを理解するための仮定で、実際の金利と返済額は金融機関の条件で異なります。
月々の返済額でみると、金利0.25%の上昇は、同じ月々に収めるために借入額を約4%抑えるのと同じ重さです。
頭金の有無や審査の条件で実際に買える額は変わりますが、住宅地の地価が年1%前後で上がる局面で金利が0.25%上がると、価格の伸びが鈍っても月々は軽くなりません。
買う側の判断軸は、いまの金利で月々がいくらになり、さらに上がっても返せる余力があるかです。
住まいは暮らしに合うかどうかと無理のない資金計画で選ぶのが基本で、物件種別ごとの価格と目安の世帯年収、月々の返済額については大津市で住宅ローンの基礎を整理するーー物件種別ごとの価格と、目安の世帯年収・月々の返済額、草津市で住宅ローンの基礎を整理するーー物件種別ごとの価格と、目安の世帯年収・月々の返済額、守山市で住宅ローンの基礎を整理するーー注文・建売・マンション別の価格と、目安の世帯年収・月々の返済額で整理しています。
借入で賃貸物件を持つ側には、社説の要因のうち2つが別の形で届きます。
1つ目は実需の鈍化です。
金利上昇が絞るのは買う側の予算です。
購入を見送った世帯が賃貸を続ける分は、賃貸の需要を下支えします。
収益の源泉を家賃に置く持ち方では、地価の上昇率が横ばいになること自体は保有中の毎月の収支を変えず、地価の評価が効くのは売却の出口と相続の評価、融資の担保評価の場面です。
2つ目は建築費です。
社説が挙げた石油関連の建築資材は、塩ビ管や断熱材、塗料や防水材など、修繕でも使う部材です。
建築費の高騰が続けば大規模修繕の見積もりと修繕積立金の見直しにも同じ方向で効くため、区分なら長期修繕計画と積立金の改定予定、一棟なら外壁と屋上防水の次回時期と見積もりを確認しておきます。
一方で、社説が挙げた再開発の遅れのように、建築費の高騰は採算の合わない開発の着工を遅らせる方向にも働くため、周辺で新築の供給が増える余地は、実際の開発計画と着工の状況で確かめます。
売却を考える側には、地価の伸びが鈍る局面は、買い手の予算が金利で絞られる局面です。
売り出し価格は、周辺の成約事例と物件の状態、競合物件に加えて、買い手の資金調達の環境で検討します。
金利が上がる局面では買い手の借りられる額と月々の返済額が変わるため、査定額と成約事例に加えて、金利が上がったあとの買い手の月々から見た価格帯も確かめておきます。
売り出し価格の決め方と見直しについては売り出し価格の決め方と見直しの考え方 ── 家が売れないときの値下げ判断までで整理しています。
ONZAとしての整理
今回の社説で目を引くのは、地価を落ち着かせる要因として挙げた金利上昇が、買う側の月々を上げる同じ力であることと、全国の住宅地が前年比1.0%、共通地点の半年間では1.6%から1.4%という伸びの鈍り方です。
地価も金利も個人には動かせません。
動かせるのは借入額と金利タイプと余力です。
ONZAが変動金利を主軸に、金利が上がっても返せる余力をセットで見るのは、基準地価が年1回の評価である一方、住宅ローンの適用金利は基準金利の改定がその年のうちに月々へ反映され、地価の落ち着きが数字に表れる前に金利の変化が先に月々へ届くからです。
買う時期は、いまの金利での月々と余力で測ります。
地価の上昇が落ち着くのを待つかどうかも、暮らしに合うかどうかと無理のない資金計画の2つで決まります。
もう一つは持ち方です。
値上がりを前提に買う持ち方には地価の伸びの鈍化がそのまま効きますが、収益の源泉を家賃に置く持ち方では、地価は売却の出口と相続の評価、融資の担保評価で効く数字で、保有中の毎月の収支は家賃と返済額と運営費で決まります。
社説が挙げた投機的な取引の抑制策は短期売買が対象で、制度の中身はこれからですが、家賃を源泉に長期で持つ買い方とは向きが違います。
駅からの距離、通勤先へのアクセス、単身と世帯の流入、周辺の競合賃料を確認できる好立地の区分は、買う実需が鈍る局面でも賃貸の需要が続きやすい資産です。
建築費の高騰が開発の着工を遅らせる分は周辺の供給が増える余地を小さくする一方、修繕費には同じ建築費が効くため、周辺の開発計画と着工の状況、長期修繕計画と積立金の改定予定を確認項目に含めます。
まとめ
👉 記事内容の要点
7月1日時点の基準地価は5年連続の上昇で、全用途1.5%・住宅地1.0%・商業地2.9%と上昇幅は横ばいになり、公示地価との共通地点の半年間では住宅地が1.6%から1.4%、商業地が3.1%から2.8%に鈍化
減速は東京圏・大阪圏・名古屋圏と地方4市に共通し、要因は地価上昇と建築費高騰に加えて金利上昇で実需が鈍ったことと社説は指摘
金利上昇で海外マネーのうまみは減り、円安に歯止めがかかれば割安感も薄れ、中東情勢が長引けば建築費の高騰が続いて再開発の遅れが土地需要に影響
東京23区の住宅地はバブル期ピークの3分の2まで上がり、国土交通省は短期売買など投機的な取引の抑制を来年度の税制改正要望に盛り込んだ
👉 行動指針
地価を落ち着かせる金利上昇は買う側の月々を上げる同じ力なので、買う時期は、いまの金利での月々(0.25%の上昇は借入額約4%分)と余力で測る
借入で賃貸物件を持つ側は、買う実需の鈍化と賃貸需要を分けて見て、建築費の高騰が修繕費に効く分は長期修繕計画と積立金の改定予定を確認する
売却は、成約事例と物件の状態、競合物件に加えて、金利が上がったあとの買い手の月々から見た価格帯でも売り出し価格を確かめる
ご相談について
投資用でご検討の方
地価の伸びが鈍る局面でも、保有中の収支は家賃と返済額と運営費で決まります。
検討中の物件について、周辺の賃貸需要、金利が上がった場合の返済額、修繕費の見通しまで、一緒に試算いたします。
売却をご検討の方
地価の伸びが鈍る局面では、売り出し価格の根拠が査定額だけでは足りなくなります。
周辺の成約事例と、金利が上がったあとの買い手の予算から見た価格帯を並べて、売る時期と価格を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
地価の上昇が落ち着くのを待つかどうかは、待つ間に動く金利と月々の返済額で判断できます。
いまの金利で無理なく返せる額と、暮らしに合う住まいの条件を一緒に整理していきましょう。
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