60歳からiDeCo増額ーー拠出は月6.2万円・70歳未満まで、受け取りは75歳まで延ばせる|ONZA的市況ニュース
2026-09-12

記事内容:60歳からiDeCoを増額、拠出枠と非課税枠を活用しやすく
2026.9.12の日経新聞で、個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出可能額が12月分から拡大し、掛け金を拠出できる加入期間も70歳未満まで延長されると報じられました。
意外に使いでがありそうなのが、拠出枠と非課税枠をともに有効活用しやすい60歳以降だと記事は指摘しています。
12月以降、企業年金のない会社の拠出可能額は現在の月2万3000円から6万2000円に増えます。
企業年金のある会社でも、60歳定年の場合などは企業年金への加入が60歳未満までのことが多く、60歳以降は企業年金のない会社員の拠出額である月6万2000円になります。
要注意なのは、基礎年金やiDeCoを受給していると70歳未満までの延長ができないことです。
基礎年金は原則65歳以降に受給が始まりますが、iDeCoを延長したければ繰り下げ状態にしておく必要があります。
iDeCoも原則60歳から受給できますが、延長したければ受給せずに掛け金を納め続けるか、掛け金を出さずに運用だけする運用指図者になっておく必要があります。
一方で、厚生年金や企業型確定拠出年金(DC)、確定給付企業年金(DB)、小規模企業共済、中小企業退職金共済などは受給してもiDeCoは延長できます。
60歳以降の掛け金増と延長の効果について、記事は試算を示しています。
仮に60歳以降、月6万2000円を10年間拠出し続ければ744万円になります。
iDeCoでは掛け金に自分の税率をかけた金額分の税金が減ります。
2024年に60代前半は74%、60代後半でも54%が働いており、給与と厚生年金を合わせた収入がさまざまな控除を上回って課税所得があれば、掛け金の節税効果が生じます。
仮に所得税5%、住民税10%の計15%の税率が10年間続けば、744万円の拠出で111.6万円の節税になります。
iDeCoは預金も対象で、5年定期では金利1%のものもあり、10年続ければ単純計算で780万円程度に増えます。
掛け金の節税効果が大きい人などは、投資リスクを避けて預貯金で運用するのも選択肢だとしています。
投資信託を使う場合について、60代以降はリスクを抑えたいため、国内外の株式と債券が4分の1ずつの運用を記事は検討しています。
投資期間を10年とし、運用の終了時期を1980年1月から2026年6月まで1カ月ずつずらした計558期間の過去の成績では、平均は積立額の1.4倍で、744万円の場合は1041万円になります。
ただし4資産分散でも、リーマン・ショック後の最安値である2009年1月までの10年間は、資産が一時的に87%に減っていました。
10年後の70歳時点がリーマン後と同じ状況なら、資産は約650万円になってしまいます。
知っておきたいのは、iDeCoの加入可能期間は延長後も70歳未満までですが、受け取り開始は75歳到達まで延ばせることです。
60歳から受け取り開始までの運用期間は最大15年で、4資産分散で10年間積み立てた後に5年保有し続けた場合、2009年1月からの5年で資産は積立額の1.5倍に回復していました。
70歳時点で元本割れだった場合、取り崩しの開始を遅らせることも可能です。
iDeCoの悩みは受給時の課税です。
一時金で受け取る場合の非課税枠である退職所得控除は、iDeCoの加入期間が20年までは年に40万円ずつ累積し、21年目からは年に70万円ずつ増えます。
退職所得控除は退職金と共通の非課税枠で、60歳の退職金受給時に使い切ってしまうこともありますが、60歳以降に新たにiDeCo加入を続ければ再び非課税枠は増えていき、10年なら400万円の非課税枠ができます。
企業型DCの加入資格喪失後に資産をiDeCoに移すことも可能で、DBも一定の条件でiDeCoに移せます。
その場合、DCやDBの加入期間も退職所得控除の計算期間に通算でき、税理士の福田浩彦氏は「60歳以降のイデコ加入が企業年金期間を含めて21年目以降に当たれば、年に70万円ずつ、10年で700万円の非課税枠ができる」と話しています。
iDeCo資産が退職所得控除を超える場合も、一時金で受け取れば退職所得となり課税所得は2分の1になるため、税額は抑えやすくなります。
仮に資産1000万円で退職所得控除400万円を使える場合、課税所得は600万円の半分の300万円で、所得税約20万円と住民税30万円の計50万円を引いた950万円が手元に残ります。
退職所得控除700万円を使えれば課税所得は150万円で、所得税と住民税を合わせても22.5万円ですみます。
資産規模が大きく退職所得控除を大きく上回る場合は、超過分を年金方式で受給することも可能で、その際は65歳以上は最低でも年110万円の公的年金等控除が使えます。
ポイント:iDeCo拡充を巡る現在地
👉 12月分から拠出可能額が拡大、加入は70歳未満まで
企業年金のない会社は月2万3000円から6万2000円に増え、60歳以降に企業年金の加入対象でなくなる会社員も月6万2000円まで拠出できる場合があります。
👉 延長には条件
基礎年金やiDeCoを受給していると延長できず、繰り下げや運用指図者の状態が必要です。
厚生年金やDC、DBの受給は延長の妨げになりません。
👉 60歳から10年で744万円、節税は税率15%で111.6万円
4資産分散の過去558期間では平均1.4倍の1041万円、リーマン後の最悪期なら約650万円で、受け取り開始は75歳まで延ばせます。
👉 受給時は退職所得控除が再び積み上がる
60歳以降の加入で10年なら400万円、企業年金期間を通算して21年目以降なら年70万円ずつ10年で700万円の非課税枠ができます。
不動産との関係:60歳からの15年を、iDeCoの運用期間と家賃インカムでどう組むか
記事の核心は、60歳以降の15年という時間の使い方です。
掛け金は70歳未満まで出せ、受け取り開始は75歳まで延ばせるため、運用期間は最大15年になります。
4資産分散でも10年後に87%に減る局面があった一方、その後5年持ち続ければ1.5倍に回復していたという記事の試算は、取り崩しを急がずにすむ状態を持てるかどうかが結果を分けることを示しています。
取り崩しを遅らせる余地は、その間の生活費を給与、年金、手元の資金、家賃収入などでどこまで賄えるかに左右されます。
記事は60代前半の74%、後半の54%が働いていると伝えており、給与と厚生年金がその柱です。
ここに家賃収入が加わると、相場の下げ局面でiDeCoの資産を売らずに待つ余地が広がります。
入居が続き、滞納や大きな修繕の負担がなければ、契約に基づく家賃は株式や債券の価格変動とは別のタイミングで入るため、生活費の一部を賄えれば、価格が下がっている時期にiDeCoの資産を取り崩す必要を減らせる可能性があります。
不動産をインカムを軸に位置づける考え方については不動産投資の運用設計 ── インカムを軸にキャピタルをどう位置づけるかで整理しています。
二つ目は、税の枠の違いです。
iDeCoの節税は掛け金に税率をかけた分の所得税と住民税が減り、受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除が使えます。
この枠には月6万2000円という上限があり、記事のとおり60歳以降の10年で744万円までです。
不動産の税の扱いは別の枠で、賃貸経営の経費や減価償却、相続の際の評価が対象になり、iDeCoの枠と競合しません。
60歳以降に不動産を持つ場合、ONZAは借入を中心に据えず、現金で購入することを前提に考えます。
借入の返済が老後の手元資金を圧迫しないことを重視するためで、借入を使う場合も、年金や給与、家賃から返済と修繕費を無理なく賄えるかを個別に確かめます。
相続を意識する年代では、相続時の評価だけでなく、分割のしやすさ、保有中の修繕負担、売却までに要する時間も含めて確かめ、税務の判断は税理士に確認します。
相続の文脈で不動産が効く場合と効かない場合については相続対策としての不動産投資 ── 効くケース・効かないケースで整理しています。
三つ目は、リスクの質の違いです。
記事の4資産分散が一時87%に減ったのは市場価格の変動で、時間をかけて回復しました。
不動産の価格も動きますが、家賃収入は入居が続く限り価格とは別に入り、空室と修繕が主なリスクになります。
60歳からの資産を組むときは、iDeCoの掛け金が生活費を圧迫しないこと、不動産を現金で買う場合は手元に残る資金が生活と修繕に足りることを先に確かめます。
そのうえで、iDeCoの非課税枠と家賃インカムのどちらをどれだけ使うかを、ご自身の収入の見通しと相続の意向で決めます。
家賃収入が生活費を補える場合はiDeCoの取り崩しを遅らせる選択肢になる一方、不動産の購入で手元資金を減らしすぎると、空室や修繕のときの対応力が下がります。
手元資金を先に確かめたうえで、iDeCoの15年と家賃インカムを、取り崩しを急がない設計を支える2つの柱として組みます。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、744万円の拠出が過去の平均では1041万円、リーマン後の最悪期なら約650万円で、2009年1月を起点とする過去の5年間では積立額の1.5倍に回復したケースもあるという、時間で結果が変わる数字です。
過去の回復が将来を保証するものではありませんが、相場は動かせません。
動かせるのは、下げた局面で売らずに待てる状態を作れるかどうかで、待てる状態を作ることが運用そのものだとONZAは考えています。
家賃はその待つ時間を支える収入です。
60歳以降に現金で持つ物件の役割は値上がりではなく、毎月の家賃で生活費の一部を賄い、iDeCoや年金の取り崩しを急がなくてすむようにすることにあります。
もう一つは、60歳以降の家計を、働く収入、公的年金、iDeCo、家賃という複数の柱で組むという整理です。
iDeCoはご本人の老後資金で、非課税枠と受け取り時期の自由度に価値があります。
不動産は家賃と、相続のときの形に価値があります。
目的が違う資産を、同じ物差しで比べる必要はありません。
月々の生活費、税の負担、相続の形のどれを優先するかはご自身の優先順位で決まり、その順位に合わせて、iDeCoの掛け金と現金で持つ物件の配分が決まります。
ONZAが決めるのではなく、目的ごとに資産の役割を分けて置くことが、60歳からの15年を使い切る出発点です。
まとめ
👉 記事内容の要点
iDeCoは12月分から拠出可能額が拡大し、企業年金のない会社は月2万3000円から6万2000円へ、加入期間は70歳未満まで延長される
延長には基礎年金やiDeCoを受給していないことが条件で、厚生年金やDC、DBの受給は妨げにならない
60歳から月6万2000円を10年拠出すると744万円で、税率15%なら111.6万円の節税、4資産分散なら過去平均1.4倍の1041万円、最悪期なら約650万円だが受け取りは75歳まで延ばせる
受給時の退職所得控除は60歳以降の加入で再び積み上がり、10年で400万円、企業年金期間を通算して21年目以降なら700万円の非課税枠になる
👉 行動指針
iDeCoの取り崩しを急がずにすむよう、働く収入と年金に加えて家賃収入を生活費の柱に組み込む
iDeCoの非課税枠と不動産の税の枠は別と押さえ、60歳以降に不動産を持つなら現金購入を前提に、相続時の評価まで含めて設計する
iDeCoの掛け金が生活費を圧迫しないこと、不動産を現金で買う場合は生活と修繕に足りる資金が残ることを先に確かめる
家賃を老後の生活費の柱にするなら、駅からの距離と通勤・通学の需要、想定する入居者の属性、募集から成約までの期間、修繕費を差し引いた手残りで継続入居を見込める物件かを確かめる
働く収入、公的年金、iDeCo、家賃を目的で分けて置き、月々の生活費・税負担・相続の形の優先順位で配分を決める
ご相談について
投資用でご検討の方
60歳以降に不動産を持つ場合は、現金購入を前提に、家賃の裏付けと修繕費を差し引いた手残りが判断の土台になります。
検討中の物件について、相続時の評価まで含めて一緒に試算いたします。
売却をご検討の方
相続した物件や使っていない物件は、家賃を生む形で持ち続けるか、売却して老後資金に振り向けるかで役割が変わります。
物件の状況とご意向に合わせて、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
60歳以降の住み替えや資金計画も、返せる額と手元に残る資金を軸に一緒に整理していきましょう。
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