世界の債務5.7京円に借り換えの壁ーーコロナ期にゼロ金利で調達した債務が一斉に償還期、金利上昇で利払い負担が重く|ONZA的市況ニュース
2026-10-18

記事内容:世界の官民債務5.7京円、ゼロ金利で借りたお金が一斉に借り換えの時期へ
2026.10.18の日経新聞で、世界的な金利上昇で、365兆ドル(約5.7京円)にのぼる官民の債務に借り換えの不安が生じていると報じられました。
新型コロナウイルス危機の時期にゼロ金利で調達したお金が一斉に償還期を迎え、財政不安を抱える国や格付けの低い企業は、利払いの負担の増大を余儀なくされるとしています。
フランスのレスキュール経済・財政相は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれたバンコクで16日、「以前は金利ゼロで借りられたのに今では10年物は4〜5%の金利がかかる。
市場はフランスに適切な行動をとるよう圧力をかけている」と危機感をあらわにしました。
世界の国債市場では、1年前に日本で長期金利の上昇が始まり、米国、フランス、イタリアとドミノ倒しのように主要国の金利を押し上げました。
フランスの10年債利回りは、9月22日時点の4.4%台から10月2日に5.0%台へと急上昇しています。
フランスが狙われるのは、コロナ危機の時期に発行した国債の借り換えの大きさにあるとしています。
中長期債の償還額は2026年の1700億ユーロから、2028年は2280億ユーロ、2029年も2490億ユーロへと急増し、金利ゼロで調達したお金は、借り換えの際に負担が増えます。
コロナ危機時の財政出動で、世界は過大な債務を抱えています。
国際金融協会(IIF)のデータでは、2019年に260兆ドルだった世界の官民債務は1.4倍に増えました。
金利の上昇は、債務の量だけでなく質も悪化させます。
主要国の10年債利回りは、日本がこの1年で1.6%から2.9%へと1.3%幅上がり、米国も1.1%幅上がって5.1%に、フランスは1.4%幅上がりました。
米国は連邦政府の債務が40兆ドルを突破し、国際通貨基金(IMF)の予測では、コロナ危機前に国内総生産(GDP)比2.8%だった利払いの負担が、2031年には5.7%に高まります。
先進国の利払い費はすでに年3兆ドルを超え、防衛費を上回る規模に達しています。
企業部門も同じ構図で、S&Pグローバル・レーティングスの試算では、世界全体の社債の償還額は2025年の2兆ドルから2026年に2.5兆ドルへと増え、2028年まで同じ水準が続きます。
コロナ危機時に調達した低金利のお金は、これから借り換えの時期のピークに入ります。
長期金利は、3つの構造的な上昇圧力にさらされているとしています。
1つは中央銀行の政策転換で、コロナ危機の時期に日米欧英の4中銀は10兆ドル規模の債券を買い入れましたが、その後はインフレ圧力の高まりで、量的緩和から量的引き締め(QT)に転じています。
2つ目はヘッジファンドの債券市場での台頭で、米国債のヘッジファンドの保有量は、2021年時点の全体の2〜3%程度から、2024年夏には11%まで上昇しました。
ヘッジファンドは短期売買を繰り返す傾向があり、債券市場の長期の安定を損ないます。
3つ目は、世界の金利のアンカー役だった日本の利回りの上昇です。
生保など国内の投資家は1〜9月に4兆円を超す外債を売り越しており、日本国債の利回り上昇で国内に資金を戻す動きが強まり、それが外債売りを誘って世界各国の金利を引き上げています。
政府と中央銀行の緩和政策で資金があふれた債券市場は、データセンターの投資ラッシュもあって、お金の奪い合いになるとしています。
IIFによると、2026年の借り換えのニーズは先進国で20兆ドル、新興国も過去最大の9兆ドルに達します。
お金は投資先の選別を強め、投資不適格級の社債の償還規模は2025年の2150億ドルから2028年には1兆ドルに急増します。
記事は、債務不安は始まったばかりだと結んでいます。
ポイント:借り換えの壁と、長期金利を押し上げる3つの圧力
👉 世界の官民債務は約5.7京円
コロナ危機の時期にゼロ金利で調達したお金が一斉に償還期を迎え、財政不安を抱える国や格付けの低い企業ほど利払いの負担が増えます。
👉 フランスは借り換えの急増で金利が急上昇
中長期債の償還額は2026年の1700億ユーロから2029年に2490億ユーロへ増え、10年債利回りは5.0%台に上がりました。
👉 長期金利には3つの構造的な上昇圧力
中央銀行の量的引き締め、ヘッジファンドの台頭、世界の金利のアンカー役だった日本の利回り上昇が重なっています。
👉 日本の10年債利回りは1年で1.6%から2.9%に
国内の投資家が外債を売り越して資金を国内に戻す動きが、世界各国の金利も引き上げています。
不動産との関係:借入の負担は、借りたときに加えて金利が見直されるときの水準で決まる
記事が伝えるのは、ゼロ金利の時期に借りたお金が、金利の上がった今、一斉に借り換えの時期を迎え、利払いの負担が増えるという構図です。
お金を借りる側の負担は、借りたときの金利だけでなく、金利が見直されるときの水準でも決まります。
これは国や企業に限らず、借入を使って不動産を持つ場合にも同じです。
不動産の借入でも、金利は借りたときに決まって終わりではありません。
変動金利は定期的に金利が見直され、返済額も一定の期間ごと、または金利が変わるたびに見直されます。
固定期間を選ぶ型は、固定期間が終わると、選び直した金利で返済額が決まります。
記事によれば日本の10年債の利回りもこの1年で1.6%から2.9%に上がっており、固定型の金利は長期金利の、変動型の金利は日銀の政策金利の動きを受けた銀行の基準金利の影響を受けるため、見直しの時期に金利がどこまで上がっているかで、その後の負担が変わります。
見直しの時期と返済額の決まり方は金融機関や商品によって異なるため、借りる前に契約の内容で確かめておくことが出発点です。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、フランスの財務相が「以前は金利ゼロで借りられたのに今では10年物は4〜5%の金利がかかる」と語り、中長期債の償還額が2026年の1700億ユーロから2029年の2490億ユーロへ増えるなかで、借り換えの大きさがそのまま負担の重さにつながっている点です。
低い金利で借りたお金でも、見直しの時期に金利が上がっていれば負担は増え、それは借入を使って不動産を持つ場合にもいえる仕組みです。
金利が見直されたときに、毎月の返済額がどう変わるかを仮の数字で見てみます。
○前提:借入の残りが3000万円、返済の残り期間が30年の元利均等返済とする
○金利0.5%のとき:毎月の返済額は約9.0万円
○金利1.5%に見直された場合:約10.4万円(毎月約1.4万円の増加)
○金利2.5%に見直された場合:約11.9万円(毎月約2.9万円の増加)
※金利は仮定です。
返済額を見直す時期や増え方の上限は商品によって異なり、ここでは見直し後の金利で単純に計算し直しています。
ONZAは投資用・住宅とも変動金利を主軸に考えていますが、変動金利は、見直しが定期的に来る借入でもあります。
借りるときは、いまの返済額で返せるかに加えて、見直しで金利が上がったあとの返済額でも余力が残る計画にしておくことが基本です。
変動金利を主軸にする理由と、上昇局面での考え方については変動金利を選ぶ理由 ── 金利上昇局面での選び方で整理しています。
まとめ
👉 記事内容の要点
世界的な金利上昇で、365兆ドル(約5.7京円)にのぼる官民の債務に借り換えの不安が生じ、コロナ危機の時期にゼロ金利で調達したお金が一斉に償還期を迎える
フランスは中長期債の償還額が2026年の1700億ユーロから2029年に2490億ユーロへ急増し、10年債利回りは10月2日に5.0%台へ上昇した
米国の利払い負担はGDP比2.8%から2031年に5.7%へ高まる見通しで、世界の社債の償還額も2026年に2.5兆ドルへ増え、2028年まで同じ水準が続く
長期金利は、中央銀行の量的引き締め、ヘッジファンドの台頭、日本の利回り上昇という3つの構造的な圧力にさらされ、お金は投資先の選別を強めている
👉 行動指針
借入を使って不動産を持つなら、金利と返済額がいつ・どう見直されるかを、契約の内容で確かめる
変動金利を主軸に、見直しで金利が上がったあとの返済額でも返せる余力をセットにしておく
固定期間を選ぶ場合は、期間が終わる時点の金利で返済額が決まることを前提に、その後の返済も含めて計画する
ご相談について
投資用でご検討の方
借入の負担は、借りたときの金利だけでなく、金利が見直されるときの水準でも変わります。
検討中・保有中の物件について、金利が見直された場合の返済額と収支を一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
金利が見直される局面では、買い手が借りられる額も変わり、買い手が考える価格にも影響します。
お持ちの物件の状況とご意向に合わせて、売り出しの時期と進め方を一緒に整理します。
居住用でご検討の方
住宅ローンは、借りたあとも金利が見直される仕組みがあります。
暮らしに合う住まいを、金利が上がっても無理なく返せる資金計画で一緒に考えていきましょう。
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