大津市のハザードマップと防災リスクを住む前に確認するーー琵琶湖・比良山系・浸水警戒区域の視点
住まいは長く使うものだからこそ、購入前にハザードの確認をしておきたいところです。
入居後の安心はもちろん、日々の暮らし方や建物側の備えを考えるうえでも重要になります。
大津市の場合、確認すべき項目はエリアによって変わります。
琵琶湖沿いの市街地、山が迫る斜面地、南部の谷筋と、地形が大きく異なるためです。
加えて、災害の種類ごとにマップが分かれていること、市のマップと県の最新情報を併せて見る必要があること、内水の想定区域図が未作成であることなど、大津市ならではの前提もあります。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、住所ごとに何をどの順で確認すればよいかを整理いたします。
大津市のハザードマップは種類ごとに分かれている
まず押さえておきたいのが、大津市はハザードマップを災害の種類で作り分けているという点です。
○ 土砂・洪水ハザードマップ:土砂災害と、大きな河川の洪水が対象
○ 水害ハザードマップ:中小河川や身近な水路の氾濫が対象
○ 農業用ため池ハザードマップ:ため池に関するもの
大津市公式によると、土砂・洪水ハザードマップの対象河川は、琵琶湖、瀬田川、大戸川、草津川です。
33の学区ごとにPDFが用意されており、住所に応じて該当する学区のマップを確認する形になっています。
つまり、1種類だけ見て安心できる構成ではありません。
大きな川の氾濫は問題なくても、近くの水路が影響する場合もあります。
検討する物件の住所について、複数のマップを確認しておく必要があります。
大津市全体の地形や成り立ちについては、別記事「大津市はどんな街?」でまとめています。
洪水のリスクをどう確認するか
洪水については、確認の際に注意していただきたい点があります。
大津市公式では、現在公開されている土砂・洪水ハザードマップは令和4年(2022年)3月作成と案内されています。
一方で同じく市公式の案内によると、令和8年(2026年)3月末日に滋賀県の洪水浸水想定区域が更新されました。
これを受けて、市は令和8年度中に新しいハザードマップを作成する予定としています。
つまり現時点では、公開されているマップは更新前の想定にもとづくものです。
物件を検討する際は、市のハザードマップに加えて、滋賀県が公表している最新の洪水浸水想定区域もあわせて確認しておくと安心です。
マップの更新状況は変わっていくため、最新の公表状況は大津市公式と滋賀県公式でご確認ください。
大津市には琵琶湖に加えて、瀬田川や大戸川といった河川があります。
確認する項目は、想定される浸水の深さ、浸水が続く時間、そして避難経路です。
「浸水想定区域に入っている=買ってはいけない」という単純な話ではありません。
想定される浸水深や建物側の対策によって、評価は変わってきます。
土砂災害のリスクをどう確認するか
大津市は市域の多くが山地で、比良・比叡・音羽・田上といった山に囲まれています。
市街地が湖岸の限られた平地に沿って続いているため、山が近い立地も少なくありません。
滋賀県により、市内には土砂災害警戒区域および土砂災害特別警戒区域が指定されています。
比良山系では、土石流や急傾斜地の崩壊に関する区域が指定されています。
この2つは意味が異なります。
○ 土砂災害警戒区域:土砂災害のおそれがあるとして指定される区域
○ 土砂災害特別警戒区域:建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域。建築物の構造に関する規制などがかかる
とくに特別警戒区域は、建て替えや増改築の際の制約につながります。
山が近い立地の物件を検討する場合は、区域の内外を住所単位で確認しておくことが欠かせません。
確認の役割分担としては、市のハザードマップで住所地の状況を一覧で把握し、指定範囲の詳細は滋賀県公式の土砂災害に関する情報で確認する形になります。
指定範囲は見直されることがあるため、最新の情報は滋賀県公式でご確認ください。
浸水警戒区域という制度がある
滋賀県では、流域治水の推進に関する条例に基づく「浸水警戒区域」が指定されています。
対象となるのは、200年に1回の割合で発生すると予想される降雨によって、想定浸水深がおおむね3mを超える土地の区域です。
この区域は建築基準法第39条第1項の災害危険区域にあたり、区域内で住居用建築物などを建築する際には知事の許可が必要になります。
大津市では、大石富川一丁目、二丁目および三丁目の一部地域が、令和3年(2021年)8月24日に指定告示されています(滋賀県公表)。
想定される水位や、建築に関する具体的な確認先は、滋賀県の流域治水政策室です。
最新の指定範囲や建築の条件については、滋賀県公式および大津市公式でご確認ください。
また、不動産の取引では重要事項説明でも該当区域の説明が行われます。
なお、指定があるからその地区が住めない場所という意味ではありません。
浸水のリスクが把握され、建築の際のルールが定められているということです。
制度を知ったうえで、該当するかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
内水と身近な水路
もうひとつ確認しておきたいのが、大きな川の氾濫以外の浸水です。
大津市公式によると、水防法に定められた浸水想定区域図のうち、洪水については作成済みですが、内水については未作成となっています。
そのため、中小河川や身近な水路については、水害ハザードマップで確認することになります。
内水に関する公表状況や水害ハザードマップの更新状況は、大津市公式で最新の情報をご確認ください。
大きな川の堤防が決壊しなくても、短時間の強い雨で排水が追いつかず、道路が冠水することはあります。
駅に近い市街地の物件でも、この確認は欠かせません。
検討中の物件が浸水警戒区域や土砂災害の区域に該当するかの確認は、購入・賃貸を問わずLINEからご相談ください。
まとめ:購入前のハザード確認チェックリスト
大津市で住まいを検討する際、次の順に確認していくと整理しやすくなります。
○ 市の土砂・洪水ハザードマップで、住所地の洪水・土砂災害の情報を確認する
○ 滋賀県が公表している最新の洪水浸水想定区域もあわせて確認する(市の新版は令和8年度中に作成予定)
○ 水害ハザードマップで、中小河川や身近な水路の影響を確認する
○ 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の内外を確認する(山が近い立地はとくに)
○ 浸水警戒区域に該当するかを確認する
○ 指定避難所までの距離と経路を、実際に歩いて確かめる
これらは「リスクがある物件は買えない」という話ではありません。
どのような想定があるのかを知ったうえで選ぶための確認です。
地形が多様な大津市では、同じ市内でも住所によって確認すべき項目が変わります。
なお、比良山系に近い湖西線北部のエリアについては、別記事「堅田駅・和邇以北に住むのはどう?」でも住環境を整理しています。
大津市での住まい探し(購入・賃貸)のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
気になる物件の住所をお知らせいただければ、確認すべきハザード情報を整理してご返信いたします。
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