大津市に住む前に確認したい“車依存”の実態ーーエリア別の必要度と家計への影響
「滋賀に住むなら車が要る」というイメージを持たれている方は多いと思います。
ただ、大津市に関しては、その実態は住むエリアと生活スタイルによって大きく変わります。
県庁所在地の大津は、新快速が停まる駅と京阪の路線を持ち、県内では「車を持たない・台数を抑える」選択もしやすい市だからです。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、大津市の“車依存”の実態をエリア別に整理し、車の台数の判断基準、家計への影響、車利用を抑えたい方の選択肢まで、住まい選びの前に確認しておきたいポイントをまとめます。
大津市の車事情ーー県全体は車社会、大津は選択肢が広い
まず前提として、滋賀県の1世帯当たりの自家用乗用車の普及台数は1.318台(自動車検査登録情報協会・令和7年3月末現在)で、全国平均の1.009台を上回ります。都道府県別では全国22位です。
車の所有を前提としたライフスタイルが定着している県だといえます。
そのなかで大津市は、京都駅まで新快速で約9分の大津駅、大阪駅まで乗り換えなしの約46分の石山駅に加え、びわ湖浜大津から三条京阪まで乗り換えなしの約22分という京阪京津線もあり、県内では公共交通の選択肢に恵まれた市です。
駅徒歩圏であれば、通勤の軸を電車に置き、車の利用を抑えた暮らしを選びやすいのが特徴です。
一方で、生活シーンごとに見ると、次のような場面で車の出番があります。
○ 通勤:駅徒歩圏の外から駅までの移動や、車通勤
○ 買い物:郊外型の大型店へのまとめ買い
○ 送迎:保育園・習い事・学校への送り迎え
○ 通院:医療機関へのアクセス
○ 週末:琵琶湖周辺や近隣市へのお出かけ
つまり「大津に住むと車が要るか」は市全体で一律に決まるのではなく、住むエリアと生活スタイル次第で必要度が変わる、というのが実態に近い見方です。
エリア別に見る大津市の車依存度
南北に長い大津市を、エリアごとに整理します。
中心部(大津駅・膳所駅周辺)
県庁などの行政機能に加え、ビエラ大津やフレンドマート大津駅前店など駅周辺に日常の買い物先がそろう市の中心で、買い物・手続き・通院を駅前で完結しやすいエリアです。
車1台、あるいは利用頻度を抑えた運用でも生活が成り立ちやすいのが特徴です。
南部(石山駅・瀬田駅周辺)
石山駅は新快速停車駅で駅前にスーパーがあり、大阪方面への通勤とも相性がよいエリアです。
瀬田は駅の近くなら生活利便がそろう一方、丘陵の住宅地に広がると買い物・送迎とも車が中心の暮らしになります。
湖西南部(大津京駅〜比叡山坂本駅周辺)
大津京駅の周辺は商業施設がそろい、京都へ約10〜12分という通勤利便もあります。
駅から離れて山側へ向かうほど、車への依存度が高くなります。
湖西北部・郊外・山手(堅田駅・和邇以北、山裾の住宅地)
堅田駅前はアル・プラザ堅田で買い物が完結しますが、エリア全体では車が生活の軸になります。
山裾の住宅地は坂が多く、日常の移動も将来の通院も車前提で考えておきたいエリアです。
このように、駅からの距離と沿線に応じて、車依存度はグラデーション状に変化するのが大津市の実態です。
駅から離れたエリアの注意点は、別記事「大津市で駅から遠いエリアに住むときの注意点」で詳しく整理しています。
大津市で車1台か車2台かを判断する基準
「我が家は車1台で足りるのか、2台必要か」は、住まい選びの前に整理しておきたいテーマです。
車1台で運用しやすいケース
・住まいが大津駅・石山駅などの駅徒歩圏
・夫婦のどちらか、または両方が電車通勤
・子どもの送迎が徒歩・自転車圏で完結
・平日の買い物先が駅前にある
車2台が現実的なケース
・住まいが駅から離れた郊外・山手
・共働きで夫婦とも車通勤、または勤務地が別方向
・保育園・習い事の送迎を並行して行う日常
・親世帯との近居・同居で送迎や通院のサポートがある
とくに共働き世帯では、片方が車を使っている間にもう一方が動けず不便を感じ、結果として2台目を持つケースが多くなります。
購入前の段階で、平日の朝夕の動線を具体的にシミュレーションしておくことをおすすめします。
車依存が家計に与える影響(年間維持費)
車の台数は、家計への影響が想像以上に大きい要素です。
車2台を維持する場合の年間コストの目安を整理します。
○ 自動車保険(2台):年15〜25万円
○ 自動車税(2台):年6〜10万円
○ ガソリン代(2台分):月2〜4万円(年24〜48万円)
○ 車検・整備:年10〜15万円(2台合計)
合算すると、標準的な組み合わせで年間50〜70万円程度が目安です(2026年時点。車種・年間走行距離・契約条件で変わります)。
10年間で500〜700万円になり、車両本体や買い替えの費用を加えると総額はさらに大きくなります。
住宅ローンの返済額に置き換えると、金利や返済期間で変わりますが、35年返済の概算では年間60万円(月5万円相当)は借入額にしておよそ1,500〜1,800万円分の返済余力に匹敵します。
つまり、車1台で暮らせるエリアを選ぶか、2台前提のエリアを選ぶかは、実質的に選べる物件のグレードにも影響する判断だといえます。
もちろん、車がもたらす移動の自由や生活の楽しさは数字だけでは測れません。
大切なのは、住まいの予算を「土地・建物の価格」だけでなく「住んだ後の車関連コスト」まで含めて考えることです。
ご家庭の条件での試算やエリア選びのご相談は、LINEからどうぞ。
車利用を抑えたい人の選択肢
「できれば車の利用は最小限にしたい」「将来は1台に集約したい」という方にも、大津市には選択肢があります。
主要駅の駅徒歩圏を選ぶ
大津駅・石山駅・大津京駅・堅田駅などは、駅前で日常の買い物が完結しやすく、新快速や京津線で京都・大阪への通勤も電車に任せられます(新快速が停まるのは大津・石山と、湖西線の大津京・比叡山坂本・堅田。膳所・瀬田は普通が基本です)。
近距離の移動は自転車で、遠出や荷物の多い日はカーシェアで補う方法もあります。
主要駅の周辺にはカーシェアのステーションがあり、大津市はシェアサイクル事業も展開していて2026年4月からは「チャリチャリ」として市内で利用できます(ポートの場所や料金は公式でご確認ください)。
バスの実情も知っておく
駅から離れたエリアの足となるバスは、2026年3月1日に京阪バスの大津営業所管内の路線が江若交通に引き継がれ、運行は維持されています。
ただし運転士不足など路線バスを取り巻く環境は全国的に厳しく、市も「第2次大津市地域公共交通計画」(令和8〜12年度)を策定して維持に取り組んでいる段階です。
本数は路線で差があるため、バス前提の立地を選ぶなら時刻表を実際に確認しておきましょう。
出口の観点から見た駅徒歩圏
車利用を抑えやすい駅徒歩圏は、将来の売却・賃貸でも選択肢が残りやすいエリアでもあります。
京都方面への通勤に加え、官公庁や市内事業所、大学と需要源が複数あり、買い手・借り手の候補が広がりやすいためです。
一方、駅から離れたエリアには「土地を広く取れる」「価格を抑えられる」「琵琶湖や山の自然環境が良い」という独自の魅力があり、車2台前提のライフスタイルを楽しめる方には良い選択になります。
どちらが優れているかではなく、自分たちの生活スタイルと将来設計に合うエリアを選ぶ視点が大切です。
まとめ:大津市での住まい選びの前に確認したいこと
大津市で住まいを選ぶ際に、“車”の観点から押さえておきたいポイントを整理します。
○ 滋賀県全体は1世帯当たり1.318台(全国平均1.009台)の車社会。ただし大津は新快速と京津線があり、駅徒歩圏なら車利用を抑えた暮らしも選びやすい
○ 車依存度は中心部→南部→湖西・山手へ、駅からの距離と沿線でグラデーション状に変わる
○ 車2台の維持は年間50〜70万円程度・10年で500〜700万円の家計負担となり、住宅予算に直結する
○ エリア選びは「価格・広さ」だけでなく「車の必要台数」も含めて総合判断する
○ 車を抑えたいなら駅徒歩圏+カーシェア・シェアサイクルの組み合わせ。バス前提なら本数を実際に確認する
購入時には「いま何台必要か」だけでなく、子育てフェーズの変化や定年後の生活、将来の住み替えの可能性まで含めて考えることをおすすめします。
5年後・10年後の生活動線を思い描いてエリアを絞り込むと、後悔の少ない選択につながります。
大津の街全体の特徴は、別記事「大津市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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