京都市で賃貸と購入はどちらがいい?ーー借りる・買うを判断するための比較軸を整理する
京都市では、住まいの約半分が持ち家、4割強が借家です。
中心部ほど借家が多く、周辺区ほど持ち家が多いという違いもあります。
家賃を払い続けることと、ローンを組んで持ち家にすること——どちらかが一方的に得というものではありません。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市で「借りるか買うか」を判断するための比較軸を、コスト・柔軟性・ライフステージの観点で中立に整理いたします。
家賃・価格・金利は2026年9月時点で確認した情報です。
京都市で「借りるか買うか」を考える前に
令和5年住宅・土地統計調査によると、京都市の居住世帯のある住宅のうち、持ち家は52.2%、借家は42.6%です。
行政区別では、持ち家の割合が最も高い右京区で58.0%、最も低い上京区で41.2%(借家53.5%)と、周辺区は持ち家、中心区は借家の割合が高い傾向があります。
エリアによって住まい方が分かれる街だからこそ、「借りるか買うか」も住む場所とセットで考えることになります。
決める前に、次の3点を自分の状況に当てはめてみると、判断の軸が定まりやすくなります。
○ 今後10年程度の住まいの見通し(転勤・住み替えの可能性)
○ 毎月無理なく払える住居費と、頭金・諸費用に回せる手元資金
○ 住まいを持ちたいか、身軽さを優先したいか
賃貸のメリットと注意点
賃貸のメリット
○ 住み替え・転勤・家族構成の変化に柔軟に対応できる
○ 初期費用が購入より軽く、まとまった頭金が要らない
○ 設備の故障や建物の大規模修繕は基本的に貸主の負担
○ 固定資産税や金利上昇の負担を負わない
賃貸の注意点
○ 家賃を払い続けても、住まいは手元に残らない
○ 高齢期は新しい契約の審査が厳しくなる場合がある
○ 間取り・設備の自由度が低く、更新料などの継続コストがかかる物件もある
京都では、更新料の条項がある賃貸契約もあります。
更新料は、契約書に明確に定められ、金額が高すぎるなどの事情がなければ有効とする最高裁判決(2011年)があるため、契約前に有無と金額を確認しておきましょう。
高齢期の住まい探しでは、高齢であることなどを理由に入居を拒まない賃貸住宅や協力店を登録している「京都市すこやか住宅ネット(京都市居住支援協議会)」も相談先になります。
購入のメリットと注意点
購入のメリット
○ ローン完済後は、月々の住居費が大きく軽くなる
○ 団体信用生命保険(団信)により、万一のときは残債が保障される
○ リフォームや間取り変更の自由度が高い
○ 住まいが手元に残り、将来は売却や賃貸という選択肢を持てる
購入の注意点
○ 頭金・諸費用の初期負担に加え、金利上昇・修繕費・固定資産税などの保有コストがかかる
○ 住み替えには売却や賃貸の手間がかかる
○ 細街路・景観地区など、京都ならではの物件条件を購入前に確かめる必要がある
購入後に転勤で家を空ける可能性がある場合は、京都市の空き家税(2030年度から課税予定)も知っておきたい点です。
所有者が賃貸や売却の予定を申告すれば課税されず(1年を過ぎても契約に至らない場合を除く)、転勤・海外赴任で一時的に住んでいない場合は、申請により5年間に限り減免を受けられます。
京都市の2LDK・3LDKの家賃相場と中古マンション価格を駅別に比べる
同じ駅の家賃と中古マンションの価格を並べると、次のとおりです。
| 駅 | 家賃(2LDK) | 家賃(3LDK) | 中古マンション(60〜80㎡) |
|---|---|---|---|
| 烏丸御池 | 23.1万円 | 29.9万円 | 8,380万円 |
| 京都 | 15.6万円 | 20.1万円 | 4,630万円 |
| 北大路 | 14.1万円 | 19.6万円 | 5,280万円 |
| 桂川 | 12.8万円 | 16.8万円 | 5,135万円 |
| 竹田 | 12.9万円 | 17.3万円 | 3,539万円 |
| 山科 | 13.0万円 | 16.6万円 | 2,135万円 |
家賃はSUUMOの駅別家賃相場で、新築かつ駅徒歩1〜5分のマンションという、もっとも条件の良い水準です。
築年数が経った物件や駅から離れた物件では、これより抑えた家賃帯も見つかります。
中古マンションはSUUMO掲載価格の中央値(駅徒歩15分以内・集計期間2025年7月1日〜2026年6月30日)で、成約価格ではありません。
家賃と価格は条件が違うため、金額を並べて優劣を決めることはできません。
ただ、駅による差は、中古マンションの価格(山科と烏丸御池で約4倍)のほうが、3LDKの家賃(同じ2駅で約1.8倍)より大きくなっています。
京都市の平均で比べるのではなく、住みたい駅の家賃と価格で比べることが大切です。
毎月の住居費と初期費用の違い
購入した場合の毎月の負担を、次の条件で試算します。
○ 借入額:4,000万円(頭金・諸費用は別途)
○ 借入条件:35年・元利均等返済・ボーナス返済なし
○ 金利:比較のため、変動金利を仮に1.2%とする
上記の例でいくと
○ ローン返済:約11.7万円
○ 管理費・修繕積立金:約2.5万円(全国平均の管理費11,503円・修繕積立金13,054円)
○ 固定資産税・都市計画税:月1万円前後(評価額で変わる仮置き)
合計でおおむね月15万円前後です。
※変動金利は今後の見直しで上がる可能性があり、金利・価格・管理費・税額で結果は変わる概算です。
マンションでは、修繕積立金が計画に比べて不足している管理組合が36.6%(国土交通省「令和5年度マンション総合調査」)あり、将来の値上げも見込んでおくと安心です。
大切なのは、金額の大小より構造の違いです。
購入は完済後に住居費が大きく軽くなり、住まいが手元に残ります。
賃貸は柔軟さと引き換えに、住み続ける限り家賃を払い続けます。
初期費用も異なります。
賃貸は敷金・礼金・前家賃・仲介手数料などで家賃の数か月分、購入は頭金に加えて諸費用が物件価格のおおむね6〜10%かかります(内訳は別記事「京都市で住宅購入にかかる諸費用と税金」)。
いまの家賃と希望条件をもとに住居費を比べたい方は、購入・賃貸を問わずLINEからお気軽にご相談ください。
ライフステージ・属性別の向き不向き
賃貸が向きやすい属性
○ 転勤の可能性があり、数年で住む場所が変わるかもしれない
○ 当面はまとまった頭金を使わず、手元資金を厚く保ちたい
○ 子どもの進学先などが固まっておらず、エリアを決めきれない
購入が向きやすい属性
○ この地域に長く住む見通しが立っている
○ 完済後の住居費を軽くし、住まいを手元に残したい
○ 間取りや設備を自分の暮らしに合わせて整えたい
子育て期に購入する場合は、京都安心すまい応援金や住宅ローン控除の上乗せといった支援も判断材料になります(別記事「京都市で30代・40代が住まいを選ぶときの判断軸」)。
たとえば「中心部で賃貸を選び、子どもの成長に合わせて周辺区で購入する」という組み合わせもありますが、これはあくまで一例で、優先順位に応じて検討できます。
まとめ:借りるか買うかの判断チェックリスト
○ 今後10年程度の住まいの見通し(転勤・住み替えの可能性)
○ 毎月無理なく払える住居費と、頭金・諸費用に回せる手元資金
○ 住みたい駅の家賃と購入価格(京都市の平均ではなく駅で比べる)
○ 賃貸なら、更新料の有無と、高齢期も含めた長期の住まいの見通し
○ 購入なら、保有コストと、転勤などで家を空ける場合の扱い
賃貸は柔軟性と初期負担の軽さ、購入は完済後の住居費の軽さと住まいが手元に残ることが強みです。
裏を返せば、賃貸は住まいが残らない点、購入は初期負担と保有コスト・金利変動という注意点があります。
どちらが上ということではなく、ご自身の家計とライフステージに合うのはどちらかという視点で選ぶことが大切です。
京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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