京都市

京都市で親世帯との近居・同居・二世帯住宅を考えるーー住まい方の選び方と実家を活かすときの確認点

親が高齢になってきた、共働きで子育ての手を借りたい、実家をこの先どうするか考えたい。
こうしたきっかけで、親世帯との住まい方を考え始める方は少なくありません。
京都市の65歳以上の割合は28.5%(2025年10月1日時点)で、市内の約3.5人に1人が高齢者です。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、近居・同居・二世帯という3つの住まい方と二世帯住宅の型、京都市で実家を活かすときの確認点、税制や支援制度までを整理いたします。
制度の内容は2026年9月時点のもので、最新は各公式情報でご確認ください。

近居・同居・二世帯の違いと「ほどよい距離感」

親世帯との住まい方は、大きく3つに分かれます。
○ 近居:別々の住まいで、行き来しやすい距離に住む
○ 同居:一つの住まいで一緒に暮らす
○ 二世帯住宅:一棟の建物に親世帯と子世帯が住む(型は3種類)

近居・同居は暮らし方、二世帯住宅は建物の形を指し、同居を二世帯住宅で実現する場合もあります。
どれが優れているということはありません。
生活リズム、来客の頻度、家事・育児・介護の分担、将来の相続まで含めて、家族ごとに答えは変わります。
たとえば京都市の学童クラブは18時30分が上限で延長の枠がないため、共働きの家庭では祖父母の手助けが支えになることもあります(別記事「
共働き世帯が京都市に住むときの注意点」)。
大切なのは、家族にとっての「ほどよい距離感」を言葉にしておくことです。

近居という選択ーー「乗換なしで行き来できるか」で距離を考える

近居は、それぞれが独立した住まいを持ちつつ、互いに行き来しやすい場所に住む選び方です。
京都市で近居先を考えるときは、直線距離よりも「乗換なしで行き来できるか」で測ると現実的です。
同じ地下鉄・鉄道の沿線や、同じ市バスの主要路線の沿線なら、親世帯が将来車を手放しても行き来しやすくなります。

○ 親世帯:通院・買い物を徒歩で済ませやすい、駅や市バスの主要路線に近いマンションへの住み替え
○ 子世帯:子育てに合った広さの戸建てやマンション
○ 孫の通学:京都市の小・中学校は学校選択制がなく住所で通学区域が決まるため、放課後に祖父母の家へ寄れる位置かも確かめる

賃貸で近居するなら、UR賃貸住宅の近居割も選択肢です。
親族が同じ団地や半径2km以内の別のUR団地などに住んでいる場合、新たに入居する住宅の家賃が5年間5%減額され、子育て世帯・若者夫婦世帯は対象の団地で所得などの条件を満たすと20%減額になります。
子世帯が市内で中古住宅を買う場合は、京都安心すまい応援金も確認しておきましょう。
未就学の子どもがいる世帯が、築5年以上・500万円(税抜)以上の市内の既存住宅を買って市内の事業者でリフォームすると基本100万円で、市外からの転入などの加算を含めて最大200万円です。

同居という選択ーー改修で使える制度と見落としやすい手続き

同居は、今の住まいや実家を活かして一緒に暮らす選び方です。
生活リズムのずれ、水回りの使い分け、将来の介護動線(階段・浴室・トイレの配置)を確認し、必要に応じて改修を考えます。
改修には、目的に応じて次の制度があります。

○ 多世帯同居改修の税額控除(所得税):キッチン・浴室・トイレ・玄関のいずれかを増設し、うち2つ以上が複数になる工事が対象。標準的な工事費用(上限250万円)の10%などを控除でき、2028年12月31日までの入居が対象(工事費50万円超・ローンなしでも可)
○ 介護保険の住宅改修:要支援・要介護の方の手すり・段差解消などに1人20万円まで(自己負担1〜3割)。工事前の申請が必要で、住民票のある住宅が対象
○ バリアフリー改修の固定資産税の減額(京都市):新築から10年以上たった住宅(床面積などの要件あり)で、65歳以上の方などが住み、工事費が50万円を超える場合、翌年度分の固定資産税(100㎡相当分まで)が3分の1減額。工事後3か月以内の申告が必要

同居では、次の2点も見落としやすいところです。
ひとつは保育の利用調整です。京都市の令和8年度の基準では、保育できる65歳未満の祖父母と同居していると、利用調整の指数が1点下がります(令和9年度の基準は2026年10月1日公表予定)。
もうひとつは、親世帯が実家を空ける場合です。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、居住用財産の3,000万円特別控除の対象になり得ますが、親子など特別な関係にある人への売却は対象外です。
空けたままにすると、市街化区域内では2030年度から課税予定の空き家税(非居住住宅利活用促進税)の対象になり得ます。

二世帯住宅の3つの型と選び方

二世帯住宅は、共有する範囲によって3つの型に分かれます。

完全分離型
玄関・水回り・リビングを世帯ごとに分ける型です。
独立性が高い一方、設備が2セットになり、必要な床面積も大きくなる傾向があります。

一部共有型
玄関や浴室など一部を共有し、ほかは分ける型です。
共有の範囲で費用も独立性も変わるため、家族の希望に合わせて調整しやすい中間の選び方です。

完全同居型
個室以外を共有する型です。
家事を分担しやすく床面積も抑えやすい一方、生活リズムや来客への配慮など、家族間のすり合わせが必要です。

型を選ぶときは、生活リズムと共有の範囲、来客や介護の動線、光熱費や家事の分担を家族で話し合っておくと整理が進みます。
京都では、敷地の広さに加えて高さや景観の基準で建てられる規模が決まるため、型の選択は敷地の条件と一緒に考えます。

京都市で実家を建て替える・二世帯化する前の確認点

実家の敷地に二世帯住宅を建てる場合、京都では次の条件が計画を大きく左右します。

○ 細街路:幅員4m未満(1.8m以上)の道に面する敷地は、建て替え時に道路の中心線から2m後退が必要で、使える敷地が狭くなる。行き止まりの路地(袋路)に面する場合は、建て替えに別の認定・許可が必要
○ 京町家:指定された京町家は解体の1年前までに届出が必要(2026年に条例の改正案が示され、改正に向けた手続き中)。建て替えではなく、改修で二世帯化する方法もある
○ 耐震:1981年5月31日以前に着工した木造住宅は耐震診断が自己負担なしで受けられ、耐震改修の補助は木造住宅200万円・京町家300万円が上限(拡充事業は2026年度限り)
○ 景観地区・風致地区:外観や色の変更にも手続きがあり、風致地区は建ぺい率2〜4割・高さ8〜15mに抑えられる
○ 埋蔵文化財:遺跡の範囲内は工事の60日前までに届出が必要。試掘調査の予約に7〜8か月かかることもある
○ 市街化調整区域:同じ敷地・同じ用途の建て替えは、延べ面積が既存の1.5倍以下なら許可が不要(住宅は1.5倍を超えても175㎡以下なら同じ扱い)。子世帯の家を別に建てる「分家住宅」は、本家が20年以上持つ500㎡以内の土地であることや、結婚・介護などの理由を条件に許可が必要
○ ハザード:2026年6月に移行した京都市防災情報マップで確認する

細街路や京町家、調整区域の詳しい確認点は、別記事「京都市で中古住宅を検討する際のポイント」で整理しています。
実家の敷地条件の確認は、購入・賃貸を問わず
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お金と制度で押さえる点ーー二世帯住宅の固定資産税・贈与・小規模宅地等の特例

二世帯住宅は床面積が大きく、設備が2セットになる型ほど建築費や将来の修繕費も大きくなる傾向があります。
仕様や敷地条件で金額が大きく変わるため、複数の見積もりで比べましょう。

固定資産税
玄関(共用の場合もある)・台所・トイレなどが世帯ごとにあり、世帯間が扉などで区切られて独立して生活できる構造の二世帯住宅は、住宅2戸として扱われることがあります。
その場合は住宅用地の特例(住宅1戸当たり200㎡まで)や新築住宅の減額(1戸当たり120㎡相当分まで)が戸ごとに適用されますが、判断は構造に基づいて行われるため、設計段階で市税事務所に確認しておきます。

住宅取得等資金の贈与税の非課税
父母や祖父母から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税で、2026年9月時点では2026年12月31日までの贈与が対象です。
配偶者の父母からの贈与は対象外で(養子縁組をしている場合を除く)、贈与を受けた人が住宅の所有者(共有持分を含む)になることや、翌年3月15日までの申告も必要です。

小規模宅地等の特例(相続税)
親が住んでいた宅地は、要件を満たせば330㎡までの評価額が80%減額されます。
二世帯住宅を世帯ごとに区分所有登記すると、対象が親の住んでいた部分に限られ、不利になることがあります。
固定資産税の戸数の扱いと相続税の特例は別々の要件で判断されるため、固定資産税は市税事務所、登記の方法と相続税は税理士などに、それぞれ確認しておくと安心です。

贈与や相続も見据えて、購入時の諸費用や税金を含めた資金計画を確認しておきましょう。
税や諸費用の全体像は、別記事「
京都市で住宅購入にかかる諸費用と税金」で整理しています。

まとめ:近居・同居・二世帯を考えるチェックリスト

家族で話し合うこと
○ 近居・同居・二世帯のどれを選ぶかと、その理由
○ 二世帯住宅なら型(完全分離・一部共有・完全同居)と共有の範囲
○ 実家を空けるなら、売る・貸す・残すの方針と時期

物件・敷地・制度で確認すること
○ 近居先は乗換なしで行き来できるか(同じ路線・市バスの主要路線)
○ 実家の細街路・京町家・景観・調整区域・埋蔵文化財・ハザード
○ 改修の税額控除・介護保険・固定資産税の減額と、保育の利用調整
○ 固定資産税の戸数の扱い、贈与税の非課税の期限、登記の方法

近居・同居・二世帯のどれを選ぶかよりも、家族にとっての「ほどよい距離感」を言葉にすることが出発点です。
そのうえで、京都市のどのエリア・どの住まいが合うかを、具体的な物件や実家の条件と照らし合わせて考えていきましょう。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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