京都市

京都市で住み替え・買い替えを進めるにはーー売却先行・購入先行の判断と全体の流れを整理する

子どもの独立を機に駅や市バスの主要路線に近い住まいへ移りたい、家族が増えて部屋が足りなくなった、通勤先が変わった。
暮らしの変化をきっかけに、今の住まいを売って次の住まいへ移る「住み替え(買い替え)」を考える方は少なくありません。
住み替えは「今の家を売る」と「次の家を買う」を同時に進めるため、購入だけのときよりも段取りと資金の組み立てが大切になります。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市で住み替え・買い替えを進める流れを、進め方の判断から資金計画・税金・相場まで順に整理いたします。
数値や制度は2026年10月時点で確認した情報です。

京都市で住み替え・買い替えを考える前に

京都市の中古住宅は、駅や物件による価格差が大きく、月ごとの平均も振れます。
そのため住み替えでは、「京都市の相場」よりも、今の住まいがいくらで売れそうかを個別に確かめることが出発点になります。

始める前に、次の3点を整理しておくと、進め方を選びやすくなります。
○ 今の住まいの住宅ローン残債と、売却で見込める金額
○ 次の住まいの予算と、住み替えに回せる自己資金
○ 仮住まいを挟めるか、引越しの時期に期限があるか

これらをもとに、「売るのを先にするか、買うのを先にするか」を決めていきます。

売却先行と購入先行ーーどちらで進めるか

住み替えの進め方は、大きく「売却先行(売り先行)」と「購入先行(買い先行)」に分かれます。

売却先行のメリット
○ 売却額が確定してから新居を探すため、資金計画を立てやすい
○ 売却の期限に追われにくく、価格の交渉に臨みやすい
○ 旧居と新居のローンの返済が重なりにくい

売却先行の注意点
○ 新居が決まるまで仮住まいが必要になる場合がある
○ 仮住まいの家賃や、引越しが2回になる費用と手間がかかる

購入先行のメリット
○ 時間をかけて次の住まいを選べる
○ 仮住まいが不要で、引越しが1回で済む
○ 旧居を空けた状態で内見に対応できる

購入先行の注意点
○ 旧居が売れるまで、二つの住まいのローンや維持費が重なることがある
○ 売却の期限が迫ると、価格を下げて売り急ぐことにつながりやすい

残債が少なく自己資金に余裕がある場合は購入先行、残債があり売却額を確かめてから購入予算を固めたい場合は売却先行が選びやすくなります。
どちらが正解ということはなく、ご自身の状況に合うほうを選ぶことが大切です。

購入先行で旧居を空けてから売る場合は、次の2点も意識しておきます。
○ 後述する3,000万円の特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件
○ 京都市では、市街化区域内の住む人がいない住宅に課税する空き家税(非居住住宅利活用促進税)が2030年度から始まる予定。売却や賃貸を予定して申告した住宅は課税が免除される(1年を経過しても契約に至らないものは除く)

売却の流れと媒介契約

売却は、おおむね次の流れで進みます。
○ 査定(複数社に依頼し、価格の根拠を確認する)
○ 媒介契約(売却を依頼する不動産会社と結ぶ)
○ 売り出し・内見の対応
○ 売買契約・引渡し

媒介契約には3つの種類があり、依頼の仕方と不動産会社の義務が異なります。
○ 一般媒介:複数の会社に依頼でき、自分で見つけた買主とも取引できる。レインズ(不動産会社間の物件情報網)への登録は任意で、定期的な報告の義務はない
○ 専任媒介:依頼は1社のみで、自分で見つけた買主とは取引できる。契約の翌日から7日以内(休業日を除く)にレインズへ登録し、2週間に1回以上の報告義務がある
○ 専属専任媒介:依頼は1社のみで、自分で見つけた買主との取引もできない。5日以内に登録し、1週間に1回以上の報告義務がある

専任媒介・専属専任媒介の有効期間は3か月以内で、更新は依頼者からの申し出によります。
レインズへの登録後は登録証明書が交付され、登録内容や取引の状況を売主自身で確認することもできます。

仲介手数料は売却と購入のそれぞれでかかるため、資金計画に入れておきます(物件価格が400万円を超える場合の上限は、3%+6万円に消費税)。
売る住まいの特徴や準備は、別記事「
京都市で売却しやすい住宅の特徴」で整理しています。

住み替えの資金計画ーー残債・売却代金と住み替えローン

資金計画の出発点は、今の住まいの住宅ローン残債と、売却で見込める金額の関係です。
売却額が残債を上回れば、差額を新居の頭金などに回せます。
売却額が残債に届かない場合は、不足分を自己資金で補うか、「住み替えローン」を使うかを検討します。

住み替えローンは、売却で返しきれない残債を、新居の借入に上乗せして借りる方法です。
○ 今の残債:例として3,000万円
○ 売却の査定額:例として2,600万円
○ 返しきれない残債:400万円
○ 新居の借入:新居4,000万円+400万円=4,400万円

借入額が新居の価格を上回るため、取り扱いや条件は金融機関で異なり、無理なく返せるかの確認がいっそう大切です。
購入先行では、旧居と新居の返済が重なる「ダブルローン」の期間が生じたり、売却代金が入るまでの「つなぎ融資」を使ったりすることがあり、いずれも負担や費用が増えます。
購入の契約に、期日までに旧居の売買契約が成立しなければ解除できる「買い替え特約」を付けられるかも確認しておきましょう。
ただし、特約は売主の合意が必要で、付けられない場合もあります。

金利タイプは、変動と固定のどちらにも向き不向きがあります。
変動金利は、元本がいちばん大きい返済の序盤に低い金利が効く一方、今後の見直しで金利が上がれば返済額も増えます。
固定金利は、返済額が最後まで変わらない安心感がある一方、当初の返済額は大きくなります。
住み替えで借入額が大きくなる場合は、金利が上がっても返せるかを確かめておきましょう(金利タイプの考え方は別記事「
京都市で30代・40代が住まいを選ぶときの判断軸」)。
残債・売却代金・新居の予算を合わせた資金計画のご相談は、
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マイホームの売却益・売却損にかかる税金の特例

今の住まいを売ったときの税金には、負担を軽くする特例があります。
売却益が出るか、売却損が出るかで、使える特例が変わります。

売却益が出る場合
○ 3,000万円の特別控除:所有期間にかかわらず、売却益から最高3,000万円まで控除できる。親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外
○ 軽減税率の特例:売った年の1月1日で所有期間が10年を超える場合に、税率が軽くなる。3,000万円の特別控除と重ねて使える
○ 買換え特例:居住期間10年以上・所有期間10年超(売った年の1月1日時点)・売却代金1億円以下などの要件で、売却益への課税を将来に繰り延べる(非課税になるわけではない)。2027年12月31日までの売却が対象

売却損が出る場合
○ 譲渡損失の損益通算・繰越控除:売却の損失をその年の給与所得などと相殺し、控除しきれない分は翌年以後3年間繰り越せる。新居に買い換える場合と、住宅ローンの残高を下回る価格で売る場合の2つの特例があり、所有期間5年超(売った年の1月1日時点)のほか、特例ごとに住宅ローンなどの要件がある。2027年12月31日までの売却が対象

注意したいのが、新居の住宅ローン控除との関係です。
売却益の特例(3,000万円の特別控除・軽減税率・買換え特例)を、新居に入居した年とその前2年、または入居の翌年から3年目までに旧居の売却で受けると、新居の住宅ローン控除は使えません。
一方、売却損の特例は住宅ローン控除と併用できます。
売却益が出る場合は、どちらが有利かを試算して選びます。
特例はいずれも確定申告が必要で、要件も細かく定められているため、国税庁の情報や税理士などで確認してください。
購入側の諸費用と税金は、別記事「
京都市で住宅購入にかかる諸費用と税金」で整理しています。

京都市の売却相場と査定の考え方

京都市の中古住宅の取引は、月ごとの振れが大きいのが特徴です。
近畿レインズによると、2026年8月の京都市の中古マンションの成約は105件・平均3,264万円(61.37㎡・築31.05年)、中古戸建ては91件・平均3,084万円(築33.05年)でした。
ただし直近13か月では、中古マンションの成約件数は月105〜168件、1㎡あたりの成約単価は53.19万〜72.72万円の幅で動いており、ひと月の平均だけで今の住まいの価格は判断できません。

駅による差も大きく、SUUMOの掲載価格の中央値では、中古マンション(60〜80㎡)がJR山科駅の2,135万円から烏丸御池駅の8,380万円まで約4倍、中古戸建て(建物80〜100㎡)が太秦天神川駅の2,389万円から出町柳駅の4,680万円までの開きがあります(集計期間2025年7月1日〜2026年6月30日・各駅徒歩15分以内。掲載価格で、成約価格ではありません)。

このため、売却の見通しは個別の査定で確かめるのが現実的です。
査定額はそのまま売れる金額ではないため、複数社の査定で価格の根拠(近い条件の成約事例など)を確認し、売り出し価格は相場と査定、売却の期限を踏まえて決めていきます。

まとめ:京都市で住み替えを進めるときのチェックリスト

○ 今の住まいのローン残債と、売却で見込める金額
○ 売却先行・購入先行のどちらが合うか(残債・自己資金・仮住まいの可否)
○ 媒介契約の種類と、売却・購入の両方にかかる仲介手数料
○ 住み替えローン・ダブルローン・つなぎ融資の負担と、買い替え特約の可否
○ 売却益か売却損かで変わる税の特例と、新居の住宅ローン控除との関係
○ 旧居を空ける場合は、3,000万円控除の期限と空き家税
○ 駅で差が大きい相場を踏まえ、複数社の査定で価格の根拠を確認

住み替えは、売ると買うのタイミングと資金をそろえることが鍵です。
残債・相場・自己資金を整理したうえで、ご自身の状況に合う進め方を選ぶことが、無理のない住み替えにつながります。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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