空き家にかかる税金まるわかり ── 固定資産税・住宅用地特例・売るとき貸すときの税

空き家は、住んでいなくても持っているだけで毎年税金がかかります。
さらに、放置の仕方によっては軽減が外れて税額が上がり、売る・貸す・相続するの各場面でも、それぞれ別の税金が関わってきます。
「結局、自分のケースでは何がいくらかかるのか」が見えにくいのが空き家の税金です。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、空き家にかかる税金を「保有中・軽減の仕組み・軽減が外れる場合・解体した場合・売る/貸す/相続」の順で、まるごと整理します。
税率・制度は国税庁・法務省・自治体の公表情報に基づく2026年7月時点のものです。税額は個別事情で変わるため、正確な計算は市町村・国税庁・税理士にご確認ください。

保有しているだけでかかる税金──固定資産税・都市計画税

空き家の保有中にかかるのは、固定資産税と都市計画税です。
・固定資産税:課税標準額×標準税率1.4%(税率は自治体で異なる場合があります)
・都市計画税:課税標準額×税率(上限0.3%)。市街化区域内の物件が対象
・納める人:毎年1月1日時点の所有者(年の途中で手放しても、その年度分はこの時点の所有者が納めます)
・確認方法:毎年4〜5月頃に届く納税通知書・課税明細書
評価額は3年ごとに見直され、直近は2024年度、次回は2027年度です。
まずは手元の課税明細書で、土地と家屋それぞれの評価額・税額を把握するところがスタートです。

空き家でも税負担を抑えている「住宅用地特例」

住宅が建っている土地には、税負担を大きく軽減する「住宅用地特例」があります(自治体の課税説明に基づく2026年7月時点の内容です)。
・小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡以下の部分):固定資産税の課税標準が1/6、都市計画税が1/3
・一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税が1/3、都市計画税が2/3
ポイントは、この特例は「住宅の敷地」に対するもので、空き家でも家が建っていれば原則として適用が続くことです。
「空き家を壊さず残しているのは税金のため」と言われるのは、この仕組みが理由です。
ただし次で見るとおり、空き家なら無条件でずっと続くわけではありません。

特例が外れる場合──管理不全空家・特定空家の勧告

放置が進んだ空き家は、住宅用地特例を失うことがあります。
2023年12月13日施行の改正空家対策特別措置法で、倒壊などのおそれがある「特定空家」に加え、放置すればそのおそれがある「管理不全空家」も、市町村から勧告を受けると特例の対象から外れるようになりました(国土交通省)。
特例が外れると、課税標準の1/6(または1/3)の軽減がなくなるため、土地の固定資産税は大きく上がります。
つまり「家を残しておけば税金は安いまま」は、管理されていることが前提の話になっています。
指定までの流れやリスクの全体像は、放置空き家のリスクを扱う記事で詳しく解説しています。

解体して更地にすると税金はどうなる──「6倍」の実際

「解体すると固定資産税が6倍になる」とよく言われますが、これは正確ではありません。
確かに、家を解体して更地にすると住宅用地特例は外れます。
ただ、住宅用地でなくなった土地には負担調整措置があり、課税標準額は評価額の70%が上限とされています(自治体の課税説明に基づく2026年7月時点の内容です)。
課税標準ベースの考え方を並べると次のとおりです。
・前提:同じ土地評価額・税率1.4%とした場合
・解体前(小規模住宅用地)の課税標準:評価額×1/6
・解体後(更地)の課税標準:評価額×70%が上限
※単純比較ではおよそ4倍前後の計算ですが、負担調整の状況や土地の評価で変わるため、実際には3〜4倍程度に収まる例が多いとされています。一律に「6倍」にはなりません
また、家屋分の固定資産税は解体すればなくなり、自治体によっては解体後も一定期間軽減を続ける条例もあります。
思い込みで判断する前に、自分の土地でいくら変わるかを課税明細書ベースで確かめる価値があります。

解体か売却か迷う場合は、LINEで状況を共有いただくと、確認すべき税金と費用の項目を整理できます。

売るとき・貸すときの税金

空き家を動かすときの税金も押さえておきましょう。
売るときは、利益(譲渡所得)に所得税・住民税がかかります(国税庁に基づく2026年7月時点の内容です)。
・譲渡所得:売却価格−(取得費+譲渡費用)
・税率:売却した年の1月1日時点で所有期間5年超なら長期譲渡所得20.315%、5年以下なら39.63%
・相続した空き家:親などが取得した時期と取得費を引き継ぐため、相続後すぐ売っても長期の税率になるケースが多いです(取得費が不明なら売却価格の5%を概算取得費にできます)
・軽減の特例:要件を満たせば、相続した空き家の売却で譲渡所得から3,000万円を控除できる特例もあります(詳しくは相続空き家の売却を扱う記事で解説しています)
貸すときは、家賃収入から固定資産税・修繕費・減価償却費などの必要経費を差し引いた不動産所得に、所得税・住民税がかかります。
賃貸に出しても土地の住宅用地特例は続くため、税負担を抑えた形を保ちながら、家賃で維持費をまかなう組み立てができるのが賃貸活用の税面の特徴です。

相続したときの税金と手続き

実家などを相続して空き家になった場合は、次の2つを押さえます。
・相続税:遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に課税されます(国税庁)
・相続登記:2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の登記申請が必要です(法務省)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり、義務化前に相続した不動産も2027年3月31日までの申請が必要です
そして相続した後は、この記事で見てきた毎年の固定資産税・都市計画税が自分にかかってきます。
「とりあえず名義もそのまま」の放置は、登記義務の面でも税の面でも不利になっていくため、相続をきっかけに活用・売却・解体の方針を決めるのが実務的です。

まとめ

空き家の税金は、①保有中は固定資産税・都市計画税、②住宅用地特例で軽減されているが、勧告や解体で外れ得る、③売る・貸す・相続にはそれぞれ譲渡所得税・不動産所得・相続税と登記義務、と整理できます。
「6倍になる」のような極端な話に振り回されず、まず課税明細書で自分の評価額・税額を把握し、特例の続く形で維持するか、売却・解体まで進めるかを比べるのが着実です。
税額の正確な計算や特例の適用可否は、市町村・国税庁・税理士にご確認ください。

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