空き家を賃貸に出す ── 戸建て賃貸の需要・費用・貸すまでの流れ

空き家の使いみちとして、売る前に一度考えたいのが「貸す」という選択です。
持ち続けながら毎月の家賃収入を得られ、人が住むことで換気や通水がなされ、建物の傷みも抑えられます。
一方で、初期費用や契約形態、税金など、貸す前に知っておきたいポイントもいくつかあります。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、空き家を賃貸に出す判断材料を、需要・費用・流れ・契約・税金の順に整理します。
制度・税金の内容は2026年7月時点の情報にもとづくもので、最新は国税庁・国土交通省でご確認ください。

戸建て賃貸の需要と、貸せる空き家の条件

賃貸市場に出ている物件はアパート・マンションが大半で、戸建ての賃貸は供給が構造的に少なめです。
同じ敷地なら複数戸貸せる共同住宅のほうが効率が良く、貸すためだけに戸建てが新しく建つことは多くないためです。
その分、庭付きや駐車場付き、子どもの足音を気にしない住まいを探すファミリー向けを中心に、戸建て賃貸には一定の需要があります。
学区を変えたくないなどの理由から、入居期間が長くなりやすいとも言われています。

とはいえ、どんな空き家でも貸せるわけではありません。
目安になるのは次の2点です。
・立地:駅からの距離、買い物や学校などの生活利便、賃貸の募集が実際に動いているエリアか
・建物の状態:雨漏りやシロアリなど大きな不具合がないか、水回りが使える状態か
加えて安全面では、1981年5月以前に建てられた旧耐震基準の建物かどうかも確認したい点で、該当する場合は貸す前に耐震診断・補強の検討が入ります。

貸すまでの流れと期間の目安

空き家を貸すまでの流れは、おおむね次のとおりです。
・賃料査定:不動産会社が周辺相場と物件の状態から想定家賃を出す(1週間程度)
・修繕・クリーニング:貸せる状態に整える(2週間〜2か月程度)
・管理会社選び:管理委託契約を結ぶ
・管理会社で入居者募集:ポータルサイト掲載・内覧対応(1〜3か月程度)
・入居審査・賃貸借契約:審査を通過したら契約、引渡し
スムーズに進んだ場合でも、全体で2か月から半年程度かかるのが一般的です(2026年7月時点の実務上の目安で、物件の状態や時期により変わります)。
春の引越しシーズンなど、需要の動く時期から逆算して準備を始めると、募集期間を短くしやすくなります。

費用と管理──初期費用・管理委託・原状回復

初期費用の中心は、クリーニングと修繕、水回りを中心とした設備の手入れです。
金額は建物の状態によって大きく変わるため、賃料査定とあわせて「どこまで直せば貸せるか」を不動産会社に見てもらうのが現実的です。
フルリフォームが前提になるとは限らず、状態の良い家なら最小限の手入れで募集に出せることもあります。

入居後の管理(家賃の集金、入居者対応、退去時の立会いなど)は、管理会社への委託が一般的です。
委託料は家賃の5%程度が相場とされます(業務範囲により幅があり、2026年7月時点の業界相場の目安です)。
遠方の空き家や本業のある方でも、管理を任せることで貸し続けやすくなります。

退去時の原状回復は、国土交通省のガイドラインで考え方が整理されています。
経年変化や通常の使用による損耗の修繕は貸主負担、借主の故意・過失による傷みは借主負担、という区分が基本です。
「貸したら退去のたびに全額自己負担で直すことになる」わけではない一方、時間の経過による傷みは貸主側で見込んでおく、と押さえておくと収支のイメージがずれません。

契約形態──普通借家と定期借家の使い分け

空き家を貸すうえで大きな分かれ道が、契約形態です。

普通借家契約は、更新を前提とした一般的な契約です。
借主の保護が強く、貸主の側から更新を断るには「正当事由」という高いハードルがあり、貸主の都合だけでは終了しにくい契約です。
長く貸し続ける前提なら、入居者を集めやすいこの形が基本になります。

定期借家契約は、定めた期間の満了で確定的に終了する契約です。
更新はなく、続ける場合は双方の合意で再契約します。
成立には、書面での契約に加えて「期間満了で終了する」ことの事前説明が必要です。
いずれ自分や家族が住む可能性がある、数年後に改めて使いみちを考え直したい、という場合は、期間を区切れる定期借家が選択肢になります。
そのぶん借主からは敬遠されやすく、賃料や募集期間の面では普通借家より条件が緩みやすい点とのバランスで選びます。

税金──不動産所得の申告と必要経費

家賃収入は不動産所得として課税されます。
不動産所得は「総収入金額−必要経費」で計算し、給与所得者でも、給与以外の所得の合計が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です(国税庁)。
必要経費には次のようなものが含まれます。
・固定資産税・都市計画税
・火災保険などの損害保険料
・建物の減価償却費
・修繕費
・管理委託料
・入居者募集の広告費
家賃がそのまま手取りになるわけではない一方、空き家のままでもかかっていた固定資産税や保険料が経費になる、という見方もできます。
税制は改正されることがあるため、申告の際は最新を国税庁サイトや税理士でご確認ください。

賃料の目安や契約形態で迷ったら、こちらのLINEから概要だけでも確認できます。

貸す前に確認したいこと──売却との比較も

最後に、貸すと決める前に確認しておきたい点です。
相続した空き家の場合、売却時に使える3,000万円特別控除(令和9年12月31日までの譲渡)は、一度でも貸すと使えなくなります。
いずれ売る可能性が少しでもあるなら、貸す前に売却した場合との比較を済ませておくと、後悔がありません。
また、貸している間は自由に使えず、普通借家なら戻ってもらうことも基本的に難しくなります。
それでも、賃貸需要のある立地で建物の状態が良ければ、家賃収入を得ながら建物を維持できる「貸す」は、空き家の有力な活かし方です。
売る・住む・解体との比べ方は、空き家の選択肢を整理した別記事でも解説しています。

まとめ

空き家の賃貸は、供給の少ない戸建て賃貸の需要を活かし、家賃収入と建物の維持を両立できる選択肢です。
判断のポイントは、賃貸需要のある立地か、建物の状態、初期費用と管理委託、普通借家か定期借家か、そして税金と3,000万円控除との関係です。
迷ったら、賃料査定と売却査定を並べて比べるところから始めるのが着実です。

空き家の賃貸活用・売却・管理のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
立地と建物の状態を踏まえて、貸す場合の賃料の目安から一緒に整理いたします。
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