空き家をどうする?ーー活用・売却・解体の選び方と判断の順番
実家を相続した。親が施設に入り、住んでいた家がそのまま空き家になりそう。
こうした場面でまず知っておきたいのは、「決めないまま放置する」ことが、実はいちばんコストの高い選択になりやすいという点です。
全国の空き家は900万2千戸、空き家率13.8%と、いずれも過去最高を更新しました(総務省・令和5年住宅・土地統計調査、2023年10月1日現在、確報集計2024年9月25日公表)。
このうち、賃貸用や売却用、別荘などを除いた「居住目的のない空き家」も385万6千戸にのぼり、5年前から増え続けています。
国も対策を強めており、放置のコストとリスクは制度の面でも年々重くなっています。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、相続した空き家や所有する空き家を「活用する・売る・解体する」の選択肢で中立に整理します。
どれが正解ということではなく、立地・建物の状態・ご家族の事情で答えが変わるテーマとして、判断の材料と考える順番をお伝えします。
まず押さえたい——空き家は「放置」がいちばん高くつく
選択肢を考える前に、放置のリスクから整理します。
「とりあえずそのまま」が、後で大きな負担になりやすいためです。
固定資産税の優遇が外れる
住宅が建つ土地は、固定資産税の住宅用地特例で税負担が抑えられています(200㎡以下の部分は課税標準が1/6)。
ところが2023年12月施行の改正空家対策特別措置法により、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」も、市区町村の指導・勧告の対象になりました。
勧告を受けるとこの特例が外れ、土地の固定資産税負担が大きく上がります。
さらに「特定空家」に認定・勧告されると、小規模住宅用地の特例が外れた場合で最大約6倍になり得ます(国土交通省)。
運用や対象は自治体・時点で変わるため、最新は国土交通省・各市区町村の公式情報で確認してください。
維持費と劣化
人が住まない家は傷みが早く、通風・通水・庭木の手入れといった管理が欠かせません。
固定資産税に加え、火災保険や管理の手間・費用が毎年かかり続けます。
近隣への影響
瓦の落下や草木の越境は、近隣トラブルや損害賠償につながりかねません。
放置せず「動かす」ことが、結局は負担を軽くします。
相続した空き家で最初にすること——登記と現状把握
相続した空き家でまず整えたいのが名義です。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要になりました。
正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省)。
施行前に相続した不動産も対象で、こちらは2027年3月31日が期限です。
3年内に遺産分割が整わない場合は、相続人申告登記でいったん義務を果たす方法もあります。
登記が済んでいないと、売却・解体・賃貸のいずれの手続きでも支障が出やすくなります。
あわせて現状を把握します。
押さえておきたいのは次の5点です。
・建物の傷み具合(雨漏り・シロアリ・傾き)
・建築時期(1981年5月以前か以降か)
・名義と相続人の数
・隣地との境界
・残っている荷物の量
ここを押さえておくと、後の判断が速くなります。
選択肢①活用する——貸す・住む・リフォーム・空き家バンク
相続した空き家を手放さずに活かすなら、貸す・住む・リフォーム・空き家バンクといった方法があります。
貸す場合に向くのは、駅に近いなど賃貸需要の見込める立地で、建物の状態が良いケースです。
戸建て賃貸は供給が少なく、立地と状態次第で借り手が見つかりやすい物件もあります。
得られるのは毎月の家賃収入で、持ち続けながら収益を得られるのが強みです。
注意点として、貸す前にリフォーム・修繕の初期費用と、入居後の管理(管理会社への委託が一般的)を見込む必要があります。
また、後述の相続空き家3,000万円特別控除は一度貸すと使えなくなるため、いずれ売る可能性があるなら、貸す前に売却との比較を済ませておくことが大切です。
自分や家族が住む、リフォームして使うのも選択肢です。
立地が通勤・通学と合い、建物の状態が良ければ有力で、1981年5月以前の建物は旧耐震基準のため、耐震診断・補強やリフォーム費用を見積もったうえでの判断になります。
活用希望者とつなぐ空き家バンクを使う方法もあります。
国が推進する全国版空き家・空き地バンク(LIFULL・アットホームが運営)から、各自治体の情報を横断的に探せます。
選択肢②売る——売り方の種類と3,000万円控除
家族で使う予定がなく、所有を続ける負担を減らしたい場合は、売却も有力な選択肢です。
売り方は大きく、建物を残したままの「現況渡し」、解体後の「更地渡し」、「古家付き土地」、不動産会社による「買取」があります。
急がず条件を狙うなら仲介、早く確実に手放したいなら買取、と目的で選び分けます。
相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(国税庁)。
判断に関わる主な要件を、建物・利用状況・期限と金額に分けて挙げます。
【建物の要件】
・昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)
・被相続人が相続の直前に一人で居住していたこと
【利用状況の要件】
・相続から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと(一度貸すと使えない)
【期限と金額の要件】
・相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡
・譲渡対価の合計が1億円以下
令和6年1月以降の譲渡では、相続人が3人以上だと1人あたりの控除は2,000万円になります。
2024年1月以降は、買主が引渡し後の翌年2月15日までに耐震改修や取壊しを行う方法も認められ、使いやすくなりました。
要件が細かく市区町村の確認書も必要なため、最新の内容は国税庁サイトや税理士に確認することが前提です。
選択肢③解体して更地にする——費用と税の注意
建物の傷みが激しい場合は、解体して土地として活かす選択肢もあります。
向くのは、老朽化が進みリフォーム費用が見合わない場合や、建物付きでは買い手が付きにくい立地のケースです。
更地にすると土地として売りやすくなり、駐車場などの活用も視野に入ります。
解体費用は構造・延床面積・前面道路の広さ・残置物の有無で変わります。
公的統計ではなく一般的な目安ですが、木造で1坪あたり4〜5万円程度とされることがあり、アスベストの有無や時期・地域でも上下するため、最新の見積もりで確認してください。
複数社の相見積もりで条件を比べることが前提です。
また、建物を解体すると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税は上がります。
解体のタイミングは「次にどう使うか・いつ売るか」とセットで決めることが大切です。
自治体によっては解体や改修への補助制度があるため、所在地の市区町村に確認しておくと費用を抑えられる場合があります。
空き家の扱いに迷ったら、こちらのLINEからお気軽にご相談ください。
判断の順番——どこから考えるか
最後に、迷わないための順番を整理します。
・まず相続登記(取得を知った日から3年以内・過去分は2027年3月31日まで)
・建物の状態・建築時期(1981年5月前後)・名義・境界を把握する
・売る可能性があるなら、3,000万円控除の要件(貸すと使えない・2027年12月31日期限)を先に確認する
・放置だけは避ける(勧告で固定資産税の優遇が外れるリスク)
立地・建物の状態・家族の利用予定・税制の期限を並べて、活用・売却・解体を同じ土俵で比べることが出発点です。
どれかが上ということではなく、条件によって最適が変わります。
まとめ
空き家は、思い出のある資産だからこそ判断を先延ばしにしがちです。
ですが、期限のある制度(相続登記・3,000万円控除)と立地の実情を踏まえ、早めにご家族で方向性を話し合うことが、何よりの対策になります。
空き家の活用・売却・解体・住み替えのご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
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