空き家の近隣トラブル ── 雑草・倒壊・不法投棄・害獣と所有者の責任

遠方の実家などを空き家のまま持っていると、ある日「隣から苦情が来た」と連絡が入ることがあります。
雑草が越境した、塀が傾いて危ない、といった近隣トラブルは、住んでいない所有者ほど気づきにくく、対応も遅れがちです。
やっかいなのは、こうしたトラブルで他人に損害を与えたとき、空き家の所有者が法的な責任を負い得ることです。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、空き家で起きやすい近隣トラブルの類型、所有者の責任、そして具体的な対処と予防を、オーナー視点で整理します。
制度・法令の内容は2026年7月時点のもので、個別の判断は自治体・専門家にご確認ください。

空き家で起きやすい近隣トラブルの類型

まず、どんなトラブルが起きやすいかを押さえます。
・雑草・樹木:庭木や雑草が伸びて隣地へ越境し、枝・落ち葉・根が迷惑になる
・建物・塀の劣化:屋根材・外壁・ブロック塀・カーポートが傷み、倒壊・落下・飛散のおそれ
・不法投棄・放火:ごみを捨てられたり、放火や不審火の温床になったりする
・害獣・害虫:ネズミ・ハクビシン・アライグマ・スズメバチ・シロアリなどのすみかになる
・悪臭・防犯:ごみや動物による悪臭、不審者の侵入といった不安
参考までに、総務省の令和5年住宅・土地統計調査では全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高で、長期に放置されやすい「その他の住宅」も増えています(2024年4月公表)。
放置された空き家が増えるほど、こうした近隣トラブルは身近になっています。

所有者の責任──「住んでいないから」では済まない

近隣トラブルで一番おさえたいのが、所有者の法的責任です。
建物や塀などの土地の工作物の設置・保存に欠陥(瑕疵)があり、それで他人に損害を与えた場合、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が、損害賠償の責任を負います(民法717条)。
ポイントは、所有者の責任には占有者のような免責の規定がなく、無過失責任とされることです(個別の判断は専門家にご確認ください)。
つまり、自分が住んでいなくても、「知らなかった」「過失はない」では免れにくく、前の所有者の代からの傷みでも責任を問われ得ます。
たとえば、空き家のブロック塀が倒れて通行人にケガをさせれば、所有者が賠償を求められることがあります。
さらに、放置が進むと空家対策特別措置法上の「管理不全空家」「特定空家」に指定され、指導・勧告で固定資産税の住宅用地特例が外れるリスクもあります(詳しくは放置空き家のリスクを扱う記事で解説しています)。

越境した木の枝・雑草は誰が切るのか

「隣の家に枝が伸びている」という雑草・樹木のトラブルは特に多く、ルールも2023年に変わりました。
2023年(令和5年)4月1日施行の改正民法で、越境された側は、次のいずれかのときに、自らその枝を切り取れる場合があります。
・竹木の所有者に切除を催告したのに、相当の期間内に切除されないとき(相当の期間は事案によりますが、2週間程度が一例とされます)
・竹木の所有者やその所在が分からないとき
・急迫の事情があるとき
これは裏返せば、空き家を放置していると、隣地の所有者に枝を切除される場面も出てきたということです。
とはいえ、原則として、竹木を所有する側(=空き家の所有者)が管理・切除するのが基本です。
トラブルの元は自分で早めに手を打つことが、余計な軋轢を避けます。

害獣・害虫と防犯──専門家に頼る場面

次に、所有者だけで抱え込みにくい害獣・害虫と防犯を確認します。
ハクビシンやアライグマなどの野生鳥獣は、鳥獣保護管理法により許可なく捕獲できないことがあり、自治体や専門業者への相談が基本です。
スズメバチの巣やシロアリも、無理に自分で対応せず専門の駆除業者に依頼するのが安全です。
防犯面では、施錠・郵便物の停止・庭の見通しの確保などで「人が管理している」状態を保つと、不法投棄や侵入の抑止になります。
これらは遠方からでは手が回りにくいため、次の管理の仕組みづくりが効いてきます。

具体的な対処と予防──管理と保険で備える

トラブルを防ぐ土台は、定期的な管理です。
・見回り・清掃:通気・通水、郵便物の整理、庭の草刈り・剪定
・点検・補修:屋根・外壁・塀のぐらつきや劣化を早めに直す
・管理代行の活用:遠方なら、民間・NPO・シルバー人材センターなどの見回りサービスを使う(見回りのみか草刈り・通水まで含むかで変わり、月額数千円〜1万円台が見られることもあります。必ず見積りで確認を)
・近隣への配慮:連絡先を伝えておくと、異変にすぐ対応できる
もし空き家に苦情が来たときは、慌てず、現地の確認→近隣への連絡→応急の対応、の順で動くのが基本です。
あわせて、保険での備えも確認しておきましょう。
空き家は火災保険で住宅用ではなく一般物件として扱われ、料率や加入条件が変わることがあります。
他人にケガや損害を与えた場合に備える個人賠償責任保険・施設賠償責任保険もあわせて検討すると安心です。

遠方で管理が難しい、苦情が来て困っているという場合は、LINEで空き家の状況を送っていただくと、管理や対処の入口を整理できます。

トラブルを根本から避けるには

管理を続けても、使わない空き家を持ち続ける限り、トラブルの芽はゼロにはなりません。
根本的に避けるには、「放置し続けない」こと──活用(賃貸など)、売却、解体のいずれかへ、早めに舵を切ることです。
どれが向くかは、建物の状態、立地、費用、家族の意向で変わります。
迷ったまま時間が経つほど、傷みも税負担もトラブルのリスクも重くなりがちです。
まずは今の状態を把握し、活用・売却・解体の手取りを並べて比べるところから始めるのが、遠回りに見えて近道です。

まとめ

空き家の近隣トラブルは、雑草・倒壊・不法投棄・害獣など多岐にわたり、しかも所有者は「住んでいない」「知らなかった」では責任を免れにくい立場です。
まずは定期的な管理と保険で備え、越境や害獣は専門家・自治体に頼る。
そのうえで、活用・売却・解体のどれかへ早めに動くことが、トラブルを根本から減らす一番の近道です。

空き家の管理・活用・売却・解体のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
物件の状態と立地を踏まえて、まず何から手を打つかを一緒に整理いたします。
購入・賃貸のご相談も承っています。

ONZA Estate | 滋賀・京都エリアの不動産仲介

空き家・売却に関するご相談は、LINEからお気軽にどうぞ。毎日7:00〜21:00、無料で対応しています。