媒介契約と不動産会社の選び方 ── 一般・専任・専属専任の違いと囲い込み対策
家を売ると決めたら、最初に結ぶのが「媒介契約」です。
どの契約タイプを選ぶかで、依頼できる会社の数や報告の受け方が変わります。そして媒介契約とセットで悩むのが「どの不動産会社に頼むか」です。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、媒介契約3種類の違い、状況別の選び方、知っておきたい「囲い込み」と2025年からの規制強化、不動産会社・担当者の選び方、契約後の実務までを整理します。
制度の内容は2026年7月時点のものです。
媒介契約とは──一般・専任・専属専任の3種類
媒介契約とは、売却の仲介を不動産会社に依頼する契約のことで、宅地建物取引業法で3種類が定められています。まず違いを一覧で押さえます。
| 契約タイプ | 内容 | 主なルール・義務 |
|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数の会社に同時に依頼できる。自分で買主を見つけて直接契約すること(自己発見取引)も可能 | レインズ登録・業務報告は法律上の義務なし(任意で定めることは可能)。有効期間の法定制限もなし |
| 専任媒介 | 依頼は1社のみ。自己発見取引は可能 | レインズ登録は契約から7日以内(休業日を除く)。業務報告は2週間に1回以上。有効期間は3か月以内 |
| 専属専任媒介 | 依頼は1社のみ。自己発見取引も不可(自分で見つけた買主とも、依頼した会社を通して契約する) | レインズ登録は契約から5日以内(休業日を除く)。業務報告は1週間に1回以上。有効期間は3か月以内 |
※宅地建物取引業法34条の2(2026年7月時点)
表に出てくるレインズ(REINS)とは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社間の物件情報ネットワークです。
登録されると全国の不動産会社があなたの物件を検索でき、「依頼した1社」だけでなく、買主を探す全国の会社が販売に関わる状態になります。
専任・専属専任では、この登録が法律上の義務になっているわけです。
整理すると、一般媒介は「広く任せて縛りが少ない」、専任・専属専任は「窓口を1社に絞る代わりに、登録と報告の義務で販売活動の状況を把握しやすい」という構図です。
媒介契約はどれを選ぶ?──状況別の考え方
3種類に一律の正解はありません。ご自身が何を優先するかで選びます。
・複数社の提案や動きを比べたい/立地や条件に強みがあり、複数社が積極的に動きそうな物件→一般媒介も選択肢です。ただし報告義務がないため、進捗が見えにくい面は理解しておきます
・窓口を1社に一本化して、定期報告で進捗を把握しながら進めたい→専任媒介が候補になります。自己発見取引もできるため、親族・知人に売る可能性を残せます
・最短でのレインズ登録と最も高い報告頻度を求めたい→専属専任媒介が候補になります。ただし自己発見取引ができないため、身近に買主候補がいる可能性が少しでもあるなら不向きです
迷った場合は、「親族・知人が買う可能性はあるか」「進捗報告をどれくらい細かく受けたいか」の2点から絞ると考えやすくなります。
なお、専任・専属専任の契約期間中に他社へ重ねて依頼すると、契約違反として費用の請求につながる場合があります。切り替えは有効期間の満了に合わせるのが基本です。
囲い込みとは──仕組みと2025年からの規制強化
媒介契約を調べると必ず出てくるのが「囲い込み」です。仕組みから整理します。
仲介手数料は、売主側・買主側それぞれの仲介会社が受け取ります。1つの会社が売主と買主の両方を仲介すると、双方から手数料を受け取れます(両手仲介と呼ばれます。それ自体は違法ではありません)。
囲い込みとは、この両手仲介を狙って、他社から「その物件を紹介したい」と問い合わせが来ても「商談中」などと偽って断り、自社で買主を見つけるまで物件を抱え込む行為です。
売主にとっては、買主を探す間口が狭まり、売却が長引いたり売れる価格の機会を逃したりする不利益につながります。
この問題には規制強化が入っています。
レインズには物件ごとに取引状況(ステータス)を登録する仕組みがあり、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のいずれかを実態どおり示すルールです。
2025年1月からは、この取引状況を実態と異なる形で登録する行為(囲い込み)が、是正の指示や監督処分の対象になることが国土交通省の制度改正で明確化されました(2026年7月時点)。
売主側にも確認の仕組みが用意されています。
・専任・専属専任では、レインズ登録時に「登録証明書」が売主に交付されます
・登録証明書に記載されたID・パスワードで、自分の物件の登録内容と取引状況をレインズ上で確認できます
・定期の業務報告(問い合わせ数・案内数)とあわせて見れば、販売活動が実際に動いているかを把握できます
「登録されているか」「ステータスが実態と合っているか」を売主自身が確認できる、と知っておくだけで十分です。
不動産会社・担当者の選び方──査定額の高さで選ばない
契約タイプと並んで大事なのが、どの会社・担当者に頼むかです。確認したいポイントを挙げます。
・査定額の高さだけで選ばない:査定額は「この価格で売れる保証」ではなく意見価格です。高い査定額で媒介契約を取り、後から値下げを提案する営業手法もあるため、金額よりも根拠(近隣の成約事例・物件の評価点)の説明が具体的かを見ます
・販売計画を聞く:レインズ登録に加えて、どのポータルサイトに載せるか、写真や図面にどれだけ手をかけるか、どんな買主の属性を想定するか。計画を具体的に語れるかは分かりやすい判断材料です
・その物件・エリアでの実績:会社の規模(大手か地場か)よりも、売りたい物件の種別・エリアでの取引実績が判断材料になります。大手は広域の集客網、地場は地域の買主情報と、強みの出方が違うだけで優劣ではありません
・担当者の対応:質問への回答の速さ・正確さ、メリットだけでなく注意点も説明するか。売却は数か月の付き合いになるため、担当者との相性は結果に響きます
複数社の査定を受けると、金額だけでなく説明の質も比べられます。比較したうえで、任せたい1社に絞るか(専任・専属専任)、複数社に並行で頼むか(一般)を決める、という順番が自然です。
媒介契約や会社選びで迷ったら、LINEでご相談ください。物件の状況に合わせて考え方を整理できます。
契約後の実務──報告の見方と3か月ごとの見直し
媒介契約は結んで終わりではなく、契約後の運用で結果が変わります。
・業務報告の見方:問い合わせ数・内覧(案内)数・検討状況を確認します。「問い合わせはあるが内覧に進まない」「内覧はあるが申込みがない」など、どの段階で止まっているかが分かれば、価格や見せ方など打ち手の相談が具体的になります
・有効期間は最長3か月:専任・専属専任の有効期間は3か月以内で、更新は売主からの申出が必要です(自動更新はできません)。3か月は「活動を評価して続けるか決める区切り」として機能します
・見直しの判断:報告の中身が薄い、動きの説明がない、登録内容が実態と合っていない場合は、更新のタイミングで契約タイプや依頼先の変更を検討します
・費用の前提:仲介手数料は成約時に発生する成功報酬で、上限は売買価格×3%+6万円+消費税です(売買価格400万円超の場合の速算式・国土交通省の報酬告示)。800万円以下の物件には別の上限特例があります。媒介契約の締結自体に費用はかかりません
3か月ごとに立ち止まって評価できる仕組みと捉えると、最初の契約タイプ選びで悩みすぎる必要もなくなります。
まとめ
媒介契約と会社選びは、次の順で整理できます。
・3種類の違いを押さえる:一般は複数社OK・縛りが少ない、専任・専属専任は1社に絞る代わりにレインズ登録と定期報告が義務
・選び方に一律の正解はない:親族・知人が買う可能性と、報告をどれだけ受けたいかの2点から絞る
・囲い込みは仕組みで確認できる:2025年1月から規制が強化され、売主は登録証明書とステータス確認・業務報告で販売活動を把握できます
・会社は査定額でなく根拠と計画で選ぶ:規模より物件・エリアでの実績、そして担当者の対応
・3か月ごとに評価して見直す:報告の中身を見て、更新・変更を判断
契約の形より、「実態が見える状態で売却を進められるか」が本質です。仕組みを知って、納得して任せられる形を選んでください。
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