空き家の解体・改修に使える補助金の探し方 ── 申請の流れと注意点
空き家の解体や改修を考えたとき、多くの方が「補助金はないのか」と調べ始めます。
結論から言えば、空き家の解体(除却)・改修への補助金は多くの市区町村にあります。ただし、内容・金額・条件・募集時期は自治体ごとに全く違います。
だからこの記事では、個別の制度の一覧ではなく、「自分の空き家で使える制度の探し方」と「多くの自治体で共通する申請のルール」をお伝えします。この2つを押さえれば、どの地域の空き家でも自力で確認できるようになります。
本記事では、ONZA Estate代表の飯田の視点から、空き家補助金の仕組み、主なタイプ、探し方の手順、申請の注意点、そして補助金と解体・売却判断の順番までを整理します。
内容は2026年7月時点の一般的な情報です。個別の制度は必ず物件所在地の自治体で最新の情報を確認してください。
空き家補助金の仕組み──窓口は市区町村
まず全体の構造です。
空き家の解体・改修補助金の実施主体は、物件がある市区町村です。
国(国土交通省)には空き家対策総合支援事業など自治体の空き家対策を財政支援する枠組みがあり、自治体はそれらを財源の一部にして、地域の実情に合わせた独自の補助制度を設けています。
この構造から、2つのことが言えます。
・制度の内容は自治体ごとに違う:補助の対象・金額・条件・募集時期はバラバラです。「全国共通の空き家解体補助金」は存在しません
・探す場所は「物件所在地」の自治体:自分が住んでいる市ではなく、空き家がある市区町村の制度を調べます。遠方の実家なら、実家のある自治体です
国の事業の枠組みも年度で見直されるため、「いま・その自治体で・何があるか」を確認するのが唯一確実な方法です。
空き家の解体補助金・改修補助金の主なタイプ
自治体ごとに違うとはいえ、よくあるタイプは共通しています。探すときの当たりを付けるために整理します。
| タイプ | 内容 | よくある条件 |
|---|---|---|
| 解体(除却)補助 | 老朽化して危険な空き家の解体費の一部を補助 | 自治体の老朽度・危険度判定で一定基準に該当すること、旧耐震(1981年5月以前着工)の建物であることなど、対象を絞る自治体が多い |
| 改修(リフォーム)補助 | 空き家を住める状態にする改修費の一部を補助 | 空き家バンク(自治体が運営する空き家の売買・賃貸情報サイト)への登録物件が対象、移住・定住や賃貸に出すことが条件、などの型が多い |
| 家財処分・清掃補助 | 家財道具の処分費用を補助 | 空き家バンク登録や売却・賃貸の前提とセットの自治体もある |
| 耐震診断・耐震改修補助 | 旧耐震住宅の診断・改修費を補助 | 空き家専用ではなく住宅一般の制度。改修して使う場合に併用を検討 |
金額や補助率は自治体によって異なり、年度で変わります。ここでは「こういう型がある」とだけ押さえて、具体額は次の探し方で確認します。
探し方の手順──3ステップ
探し方はシンプルです。
・「自治体名+空き家+補助金」で検索し、市区町村の公式サイトを確認する(物件所在地の自治体名で。まとめサイトではなく市区町村の公式サイトを確認します)
・自治体の空き家対策窓口に電話で確認する(制度がサイトに載っていない・今年度の受付状況が分からない場合も、窓口で「空き家の解体(改修)に使える制度はありますか」と聞けば案内してもらえます。空き家バンクの窓口が兼ねている自治体もあります)
・横断検索サイトで補完する(一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、自治体のリフォーム系支援制度を地域から検索できます)
一例を挙げると、滋賀県長浜市には空き家の改修に最大20万円・家財処分に最大10万円の補助の例があります(2026年7月時点の確認例。対象要件・受付状況は市の最新情報で確認してください)。このように、派手ではなくても実用的な制度を設けている自治体は各地にあります。
大事なのは、金額の大小より「自分の物件が対象要件に当てはまるか」を早めに確認することです。
申請の共通ルール──いちばんの落とし穴は「先に着工」
制度の中身は自治体ごとに違っても、申請のルールは多くの制度で共通しています。ここがこの記事の核です。
・交付決定前の契約・着工はNG:補助金は「申請→自治体の審査→交付決定通知(自治体が補助対象と認めた通知)→契約・着工」の順番が原則です。募集要領で定める時点より前に工事契約や着工をすると、対象外になります。見積もりを取った段階で申請に進み、審査期間(自治体により数週間程度かかることがあります)を見込んでスケジュールを組みます
・年度予算と募集期間:補助金は単年度予算で、先着や抽選が多く、予算がなくなり次第終了します。募集は年度初め(4月頃)に始まる自治体が多く、使うつもりなら早めに動きます
・完了実績報告まで:工事後に写真や領収書を添えた実績報告を提出し、審査を経てはじめて金額が確定・振り込まれます。報告を忘れると受け取れません
・要件の細部:建物の年代・立地・税の滞納がないこと・解体後の土地の管理方法など、細かな条件が付きます。着手前に当該年度の募集要領を読み、不明点は窓口に確認します
「業者と契約してから補助金に気づいた」が、実務でいちばん多いすれ違いです。順番だけは先に覚えておいてください。
補助金ありきで決めない──判断の順番
最後に、補助金との付き合い方です。
補助金は「解体(改修)すると決めた人の負担を軽くする制度」であって、「解体すべきかどうか」を決めてくれるものではありません。判断の順番を整理します。
・解体すると土地の固定資産税が上がり得る:住宅が建つ土地は固定資産税の住宅用地特例(小規模住宅用地で課税標準1/6等)で軽減されており、解体すると特例が外れます。補助金で解体費を抑えても、その後の土地の税負担が続く点まで含めて考えます
・売却前提なら「現況のまま売る」との比較を先に:古家付き土地として現況で売る、買取業者に売るなど、解体せずに手放す選択肢もあります。買主側で解体する取引も多く、「売るために解体が必要」とは限りません
・活用前提なら改修補助の条件を確認:空き家バンク登録や賃貸に出すことが条件の補助は、活用プランと相性が良い一方、一定期間の用途縛りが付くことがあります
解体・売却・活用の方針をまず決め、その方針に合う補助金があれば使う──この順番なら、制度に振り回されずに済みます。
なお、解体を実行する場合の実務(延床80㎡以上の建物の解体は建設リサイクル法の届出を工事7日前までに発注者が行う等)は、別記事(解体して更地活用)で整理しています。
解体・現況売却・活用の比較は、LINEでも整理できます。
まとめ
空き家の補助金は、次の順で確認すれば整理できます。
・仕組みを押さえる:実施主体は物件所在地の市区町村。内容・金額・募集時期は自治体ごとに違い、年度で変わります
・タイプの当たりを付ける:解体(除却)・改修・家財処分・耐震の4タイプが代表格。解体は老朽度や旧耐震で対象を絞る自治体が多め
・探す:「自治体名+空き家+補助金」で公式サイト→窓口に電話→横断検索サイトで補完
・申請の順番を守る:申請→交付決定→契約・着工が原則。先に契約すると対象外。年度予算の先着と完了報告も忘れずに
・判断が先、補助金は後:解体すれば住宅用地特例が外れ土地の税負担は変わります。現況売却などの選択肢と比べて方針を決め、方針に合う制度だけ使います
補助金は使えれば心強い制度です。ただ、それ以上に大事なのは空き家をどうするかの方針です。方針から一緒に考えていきましょう。
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