円安が止まらない――為替介入の限界と、"円で貯金"のリスクが高まる理由|ONZA的市況ニュース
2026-05-15

記事内容
2026.5.15の日経新聞で、「円買い介入『155円の壁』 輸入企業のドル需要が上昇阻む、円じり安、限界あらわ」と題した記事が掲載されました。
政府・日銀による円買い介入の効果が、早くも失われつつあります。
4月30日および5月1〜6日に実施されたとみられる円買い介入により、円は一時急騰しました。
しかし介入で一時的に円買いが進んだものの、輸入企業のドル需要と米金利高止まり観測が再び円売りを強め、14日の東京外国為替市場では円が対ドルで158円目前まで下落。
介入直前につけた160円70銭台からの上げ幅をすでに半分以上埋めた状態です。
市場関係者の記憶に強く残ったのが、円の急騰局面でも1ドル="155円を突破できなかった"ことです。
円高になると、輸入企業が「今のうちにドルを買っておこう」と動くため、円高が続きにくい構造があります。
りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストによると、1日と7日には輸入企業によるドル買い予約が"普段の15倍"にも膨らんだといいます。
また、2024年ほど「円安に賭ける投資家」が積み上がっていなかったため、介入による円高の勢いが続きにくかったとも考えられています。
米国側の要因も加わっています。
今週発表された米物価指標がいずれも3〜4年ぶりの高い伸びを示しており、米国でインフレ再燃への警戒が強まっています。
その結果、FRB(米連邦準備理事会)が利下げしにくくなっており、米金利の高止まりが続く見通しです。
日米の金利差が縮まらない限り、ドルを選ぶ動きは続きやすくなります。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘マーケッツ本部長は「155円を突破すればさらにドル買いは積極化するだろう」と述べており、SBIFXトレードの斎藤裕司氏も「頻繁に介入はできない。次は155円を超えて円高に持っていくような規模になるだろう」と指摘しています。
円安基調に歯止めをかける道のりは険しい状況です。
ポイント
① 介入の効果が限定的だった理由
今回の介入が効きにくかった理由は主に二つです。
一つは、輸入企業が「円高になった今のうちにドルを買おう」と一斉に動いたこと。
もう一つは、2024年ほど「円安に賭ける投資家のポジション」が積み上がっていなかったため、介入をきっかけに円買いの勢いが広がりにくかったことです。
② 「155円の壁」とは何か
155円とは政策的に設定された数字ではなく、輸入企業が「このくらいまで円高になったらドルを仕入れよう」と考える水準が自然に集まった結果として生まれた壁です。
円高局面では必ずこうした実需の買いが入り、円高進行を阻む構造があります。
③ 米インフレ再燃という追い風
米国でインフレ再燃への警戒が強まったことで、FRBが利下げしにくい環境になっています。
米金利が高止まりすると、投資家はより金利の高いドル資産を選びやすくなるため、円売り・ドル買いの動きが長引く可能性があります。
円安が続くと、不動産市場はどう動くか
建築コストの高止まりが価格を下支えする
円安が続くことで、輸入に頼る建築資材(木材・鉄鋼・設備機器など)のコストが高止まりします。
建築費上昇で新築供給が抑えられると、その分中古物件へ需要が流れやすくなります。
結果として、中古物件の価格水準も下支えされる可能性があります。
不動産は"円安・インフレ局面で価値が下がりにくい実物資産"として見られることがある
介入の効果が一時的であることが繰り返し示される中、円建て現金だけに資産を偏らせるリスクは、以前より意識されやすい環境になっています。
不動産はインフレや円安局面で、相対的に価値が下がりにくい実物資産として見られることがあります。
特に都市部の不動産は国際的な投資対象にもなりうるため、円安局面で海外投資家の購買力が相対的に高まり、需要の下支えになるとも考えることができます。
ローンを活用して現金を温存する考え方
不動産はローンを活用することで、手元の現金を温存しながら実物資産を保有できるという特徴があります。
”預金は日本円という通貨に投資している”とも言えます。
その円の価値が緩やかに下がる可能性がある今、資産の一部を実物資産に振り向けるという視点は、資産形成を考える上で一つの選択肢になり得ます。
ONZAとしての整理
「介入で円高」は一時的。円安は長期化しやすい要因に支えられています。
今回の記事が伝えているのは、為替介入という政策手段の限界です。
輸入企業のドル需要や、米金利の高止まり観測が円安を支えており、政策だけで止めることが難しくなっています。
円安が長期化する可能性がある中、円建て現金だけに偏るリスクが意識され始めています。
実物資産・インカム収入・複数の資産軸を組み合わせることが、こうした環境での資産形成の基本になると考えています。
焦る必要はありませんが、「今の資産配分でいいか」を一度確認するきっかけにしていただければと思います。
まとめ
政府・日銀の円買い介入効果は限定的で、円は158円目前まで下落
155円水準では輸入企業の旺盛なドル買いが壁となり、円高が阻まれた
米インフレ再燃でFRBの利下げ確率が低下し、米金利高止まりが続く見通し
円安が長期化する可能性があり、円建て現金だけに偏るリスクが意識され始めている
行動指針
自分の資産が円建て現金に偏っていないか、一度資産配分を確認してみる
円安が続く環境では建築コストが下がりにくく、不動産価格の水準感を改めて確認しておく
投資用不動産を検討している方は、ローンを活用して現金を温存しながら実物資産を持つという選択肢を検討してみる
為替・株・不動産など複数の資産軸を持つことで、一つの資産の下落リスクを分散できるか確認してみる
ご相談について
投資用でご検討の方
円安局面では「現金を円だけで持つリスク」を意識される方が増えています。
ローンを活用しながら現金を温存し、家賃収入という安定したインカムを得る形を一緒に考えます。
売却をご検討の方
建築費高騰で中古価格が支えられている今、市況確認の相談が増えています。
売り時・買い替えのタイミングも含めてお気軽にご相談ください。
居住用でご検討の方
円安・資材高が続く中、新築価格は下がりにくい状況が続いています。
いつ・どのエリア・どの物件を選ぶかという判断を、市況と合わせて整理するお手伝いをします。
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