タワマン最上階6割が現金購入ーー都心マンション高騰と、金利上昇で分かれる"実需"と"値上がり期待"|ONZA的市況ニュース
2026-06-22

記事内容
2026.6.22の日経新聞で、東京・大阪の都心タワーマンションの最上階で、購入の約6割が「現金一括」だったと報じられました。
日経が東京都心6区と大阪都心3区にある20階以上の高層マンション303棟を対象に、2025年12月時点の不動産登記簿を調べたところ、最上階の全1867戸のうち、56%にあたる1051戸が、住宅ローンを使わない現金一括での購入だったとのことです。
現金購入の比率は都心ほど高く、東京では千代田区が69%、港区が60%、新宿区・渋谷区が59%、最も低い中央区でも52%に達しています。
大阪の都心3区でも50〜53%と、いずれも半数を超えました。
渋谷区・港区では、タワマン全戸の平均販売価格が、70㎡(ファミリー向けの標準的な広さ)に換算して約3億円に上るとされています(不動産情報会社調べ)。
買い手の多くは資金力のある富裕層や経営者で、海外居住者が持つ住戸も100戸(最上階の5%)ありました。
記事では、登記簿の名前から外国人が所有するとみられる住戸は、これとは別に170戸(9%)に上ると指摘しています。
タワマン市場に詳しいオラガ総研(東京・千代田)の牧野知弘代表は「マネーゲームのように転売して遊んでいる感覚。超富裕層の間で転売が繰り返されればどんどん価格は上がっていく」と解説しており、希少な最上階をめぐる値上がり競争が、都心の不動産高騰の一因になっていると整理されています。
ただし記事は、金利上昇などの影響で先行きには不透明感が出てきたとも触れています。
実際に日銀は2026年6月の会合で政策金利を1.0%へ引き上げており(1995年以来、約31年ぶりの水準)、住宅ローンや長期金利にも上昇圧力がかかっています。
不動産仲介のFJリアルティ(東京・中央)の藤田祥吾社長は「値上がり期待が減少し、投資商品としての魅力は減ってきている」と話しています。
ポイント
👉 都心タワマン最上階の約6割が現金一括購入
東京6区・大阪3区の303棟・最上階1867戸を調査し、56%(1051戸)がローンを使わない現金購入でした。
👉 都心ほど現金比率が高い
東京は千代田69%・港60%、大阪3区も50〜53%。資金力のある富裕層・経営者が中心です。
👉 海外マネーと"タワマンコレクター"
外国人が所有するとみられる住戸は170戸(9%)。セカンドハウスや投資用に複数所有する層も指摘されています。
👉 値上がり競争が高騰の一因
希少な最上階を取り合う"マネーゲーム"が、都心の価格を押し上げている可能性があります。
👉 金利上昇で潮目が変わりつつある
日銀の利上げで投資としての魅力が薄れ、「先行き不透明」という慎重な見方も出てきています。
不動産価格・市場の見方
都心タワマン最上階の現金購入は、一見、一般的なマンションや賃貸を検討する人には縁遠い話に見えます。
ですが「別世界の話」で片づけると判断を誤ります。
いくつかの経路で、市場全体とつながっているからです。
👉 ① 金利という"共通の天井"
今回いちばん効くのが金利です。
都心の投機が冷えはじめた理由は金利上昇ですが、同じ金利上昇は一般の物件にも効きます。
ローンを使って買う人の返済負担が増え、買える価格の上限が下がるため、価格には調整圧力がかかり得ます。
都心の高額物件も一般の物件も、同じ金利という天井の下にある、ということです。
👉 ② 価格・資金の"二次的な波及"
海外マネーや富裕層マネーそのものは、主に都心の大型・高級物件に集中していて、一般的な区分マンションや賃貸には直接は流れ込みにくい領域です。
ただし「都心が高すぎて買えない」層や投資マネーの一部が、価格に割安感のある別エリアの好立地へ向かう動きは起こり得ます。
都心の過熱は、回り回って都市部の需給を引き締める方向に働く可能性があります。
👉 ③ 二極化はどこでも同じ
「希少で実需のある物件だけが強い」という構図は、都心も地方都市も共通です。
同じエリアのなかでも、中心部の駅徒歩圏と郊外の駅遠とでは、これから価格の差が開いていく可能性があります。
そのうえで、一般の物件で「影響を受ける部分」と「守られる部分」を切り分けておくと判断しやすくなります。
影響を受けるのは、価格と買い手の購買力、そして売却の出口です。金利が上がれば、ローン前提の買い手は予算を絞らざるを得ず、強気すぎる価格は通りにくくなり、売るまでの時間や値付けにも差が出ます。
一方で守られやすいのは、家賃です。家賃を決めるのは、その地域に住む人・借りる人の数、つまり実需です。投機マネーの過熱とは、そもそも動く理由が違います。単身世帯の流入や通勤需要が続くエリアでは、相場が荒れても家賃の土台は崩れにくいと考えられます。
だから見るべき指標はシンプルです。検討するエリアの賃料指数(都市部は近年、上昇基調)、空室率、駅からの距離や単身世帯数・人口の動き――これらを確認すれば十分です。指標が安定していれば、都心のマネーゲームが過熱しても冷えても、その物件の土台は揺らぎにくいと判断できます。
ONZAとしての整理
今回の話を抽象化すると、不動産の価格には「値上がり期待で支えられた価格」と「実需(家賃)で支えられた価格」があり、その二つは性格がまったく違う、ということだと考えています。
金利がほぼゼロのあいだは、この差は表に出にくく、どちらも同じように上がっていきます。
ところが金利が上がると、値上がり期待で膨らんだ価格は支えを失いやすく、実需で説明できる価格は土台が残ります。
金利のある世界とは、"その価格が何に支えられていたか"があぶり出される局面だと言えます。
だから私たちは、「この価格は何が支えているのか」を見抜くことを、物件を見るときの出発点に置いています。
支えが実需であれば、相場が荒れても土台は残ります。支えが値上がり期待だけであれば、金利や買い手心理が変わった瞬間に崩れやすい。
ニュースの華やかさや数字の大きさに引きずられず、価格の"土台"がどこにあるかを確かめる――これが、どんな市況でもぶれない判断軸になると考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
東京・大阪の都心タワマン最上階は、約6割(56%)が現金一括購入
富裕層・経営者・外国人による"値上がり期待"の購入が、都心高騰の一因とされる
金利上昇で「投資商品としての魅力は減ってきている」との見方も出始めた
👉 行動指針
「都心最上階のマネーゲーム」と「実需で動く一般物件」は、分けて読む
金利のある世界では、値上がり期待より"実需で家賃が説明できるか"を軸にする
検討エリアの賃料指数・空室率・駅距離・単身世帯/人口の動きを確認する
長期保有でも、手放すとき(出口)に次の借り手・買い手がつく物件に絞る
ご相談について
投資用でご検討の方
家賃という実需で採算が立つ物件かどうかは、金利のある世界で長く持つうえでの軸になります。
賃料指数・空室率・出口まで含めて、収支を一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
買い手の厚みは、その物件を実際に必要とする人がいるか、そして価格帯や融資環境にも左右されます。
今の市況でお持ちの物件がどう評価されるか、需要と流動性の面からお伝えします。
居住用でご検討の方
金利上昇の局面では、購入のタイミングやローンの組み方しだいで、長期の負担が大きく変わります。
暮らしやすさと周辺の需要を踏まえて、ご家族に無理のない選び方を一緒に考えます。
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