オフィス空室率が6年ぶり1%台ーー出社回帰が支える、都市の賃貸需要|ONZA的市況ニュース
2026-07-10

記事内容:オフィス空室率が6年ぶりに1%台
2026.7.10の日経新聞で、東京都心のオフィス需給の逼迫感が強まっていると報じられました。
都心のオフィス空室率は6年ぶりに1%台まで低下しました。
人手不足のなかで、企業が人材確保に向けて本社などを移転する意欲は旺盛で、社員が交流できる空間を増やす動きが、オフィスの獲得競争に拍車をかけています。
オフィス仲介大手の三鬼商事が発表した6月の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.08ポイント低い1.99%でした。
3カ月連続で下がり、2%を下回るのは2020年6月以来6年ぶりです。
空室率は5%が需給均衡の目安とされ、1%台は借りたい企業にとって選択肢がかなり限られる、不足感の強い状態です。
都心の空室率は、働き方改革に伴うオフィス整備の需要で2020年2月に1.49%まで下がったあと、コロナ禍での在宅勤務の広がりと大規模オフィスの供給が重なって6%台まで上昇していました。
コロナ禍が収束し、出社回帰や企業の業容拡大で需要が回復すると、空室率は低下に転じました。
6月は、同じビル内で空き区画を借り増したり、近隣に分室を新設したりする動きが相次ぎ、空室面積は前月比で約6900坪(1坪は約3.3平方メートル)減りました。
仲介の現場からは、提案できる物件が限られ、需要の受け皿がない状況だとの声が出ています。
コロナ禍を経て、オフィスの役割が広がったことも需要を押し上げています。
製造業向けコンサルティングのSOLIZE Ureka Technologyは、1月から東京駅に近いビルに新本社を構えました。
社員の議論を増やすために会議室を充実させ、オンライン会議向けの1人用個室やブースも整備。
出張の前後にオフィスへ寄って打ち合わせや雑談をする機会が増え、出社率も高まったといいます。
ケンコーマヨネーズは2月に本社を拡張移転し、6フロアに分かれていた執務スペースを2フロアに集約しました。
部署を越えた交流が生まれやすくなり、カフェやテラスも設けています。
オフィス設計大手のイトーキによると、経営層では、社員にチームで働いてもらうことを意識した空間づくりへの関心が高まっているとのことです。
空室率の低下は、賃料も押し上げています。
都心5区の6月の平均募集賃料(貸主が募集時に提示する賃料で、市場の勢いを見る目安になります)は、前月比0.65%高の1坪あたり2万2993円と、29カ月連続で上昇しました。
1年間の上昇率は10.14%(2116円)にのぼります。
新宿区の平均募集賃料も2万円を上回り、5年8カ月ぶりに都心5区すべてが2万円台に乗せました。
賃料が高くても好条件のビルを借りたい企業はコロナ禍の前より多くなっているとの指摘があり、2026年に完成するビルの内定率は既に9割に達しています。
完成しても入居先がほぼ決まっているため、空室として市場に出る面積は限られ、拡張の需要を吸収しにくい状態が続きます。
需給の引き締まった状況は、今後3年ほど続きそうだとの見方です。
ポイント:都心オフィスの需給
👉 空室率1.99%、6年ぶりの1%台
3カ月連続で低下し、需給均衡の目安とされる5%を大きく下回る不足感です。
👉 出社回帰とオフィスの役割拡大が需要を押し上げ
交流の場や快適な空間づくりへの投資が、借り増しや拡張移転につながっています。
👉 賃料は29カ月連続で上昇
1年で10%超上がり、都心5区すべてで1坪2万円台に乗せました。
👉 引き締まりは今後3年続く見通し
2026年完成のビルは内定率が既に9割で、新たな空室が市場に出にくい状態です。
オフィスに人が戻ると、住まいの需要はどう動くか
オフィス空室率の低下は、働く場所の話にとどまりません。
オフィスと住宅は別の市場ですが、出社の頻度が上がるほど、通勤時間や駅からの距離を重視する動きが強まりやすくなります。
企業が都心に拠点を集め、社員の出社が戻る流れは、通勤しやすい場所に住みたいという職住近接の需要を通じて、通勤圏の住宅・賃貸需要を支える土台になります。
東京以外でも、企業の拠点や雇用が集まる都市部では、同じ構図が働きやすい面があります。
もう一つ、今回の記事は、需給が価格を動かす仕組みの分かりやすい実例でもあります。
空室率5%が均衡の目安とされるなか、1%台まで下がった市場では、賃料が29カ月連続で上がりました。
住宅の家賃も、物件の条件や地域の所得を映しながら、最終的には需要と供給のバランスに大きく左右されます。
見るべきは将来の視点です。
需要の側は、通勤の利便や人の流入、地域の賃金と家賃の見合いが続くかどうか。
供給の側は、そのエリアに新しい物件が増える余地がどれだけあるか。
駅に近い好立地ほど土地は限られ、供給の余地が小さいぶん、希少になりやすい構造があります。
賃料が高くても好条件のビルを借りたい企業が増えているように、立地と質への需要は底堅く、これは住まい選びにも通じる流れです。
ONZAとしての整理
需給が締まる場所では、賃料は静かに、しかし着実に動きます。
今回のオフィス市況は、需要が戻り、供給が限られる場所で何が起きるかを、そのまま見せてくれていると整理しています。
不動産を持つとき、選ぶときに見るべきは、目先の相場よりも、その立地の需要が将来も続くか、供給が増えすぎないかです。
需給の構図を読む目が、長期保有の土台になると考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
東京都心5区の6月のオフィス空室率は1.99%と、2020年6月以来6年ぶりに2%を下回った(均衡の目安は5%)
出社回帰と企業の業容拡大に加え、交流の場としてのオフィスの役割拡大が需要を押し上げている
平均募集賃料は1坪2万2993円と29カ月連続で上昇し、1年で10.14%上がった
2026年完成のビルは内定率9割で新たな空室が出にくく、需給の引き締まりは今後3年ほど続くとの見方
👉 行動指針
家賃や賃料は需給で動く前提で、空室率や募集状況といった需給のデータに目を向ける
賃貸需要は将来視点で確かめる(通勤の利便・人の流入・地域の賃金と家賃の見合い)
供給の側も見る(駅に近い好立地ほど新規供給の余地が限られ、希少になりやすい)
出社回帰による職住近接の流れは、都市部の賃貸需要の追い風として押さえておく
ご相談について
投資用でご検討の方
需給の締まったエリアでは、賃料の底堅さが収支を支えます。
検討中の物件の周辺で、賃貸需要が将来も続くか、新しい供給が増える余地はどれだけあるか、想定家賃が相場に見合っているかまで、一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
需給が締まる局面は、貸す・売るの選択肢を広げます。
保有物件の周辺の需給と相場を踏まえ、いま売るべきか、貸して保有を続けるべきかを一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
そのうえで、通勤のしやすさや周辺の需要が続くエリアかどうかも、長く住む安心につながります。
資金計画と合わせて、一緒に整理していきましょう。
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