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オフィス好況は通常より長くーー欧州の運用会社が見る日本の不動産市況、住宅系はなお割安|ONZA的市況ニュース

2026-08-18

オフィス好況は通常より長くーー欧州の運用会社が見る日本の不動産市況、住宅系はなお割安|ONZA的市況ニュース

記事内容:欧州の運用会社が語る、日本の不動産市況の現在地

2026.8.18の日経新聞で、日本の不動産市況を評価するインタビュー記事が掲載されました。
国内外の金利上昇が重荷となり、不動産株や不動産投資信託(REIT)の投資口価格はさえない中、オランダ大手運用会社ヴァン・ランスホット・ケンペンのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ルーカス・ヒュールマンス氏が現状の見方を語っています。

まず、オフィス市場の評価です。
同氏は、日本の不動産株やREITの業績の中でも特に好調なのがオフィス市場だとし、都心では空室率が2%台まで低下していると指摘します。
オフィス市況にはおおむね5〜7年おきに好不調を繰り返すサイクルがあり、現状はその2〜3年目あたりに位置するとの認識です。
そのうえで、今回の好況は通常より長く続く"スーパーサイクル状態"に入ったとみています。
理由は供給側にあります。
建築費の高騰などによって、都心では少なくとも2030年までは大型物件の新規供給が乏しい見通しで、さらに先送りになる場合も想定されます。
新しいビルが増えにくい一方で需要は根強いため、「実際に需要が根強いなかで賃料の上昇基調は当面続くだろう」と述べています。

注目する銘柄と、REITの評価です。
日本の不動産株では三井不動産に注目しています。
同氏は、保有資産の含み益を加えた純資産であるNAV(ネット・アセット・バリュー)を独自に算出して割安かどうかを測り、経営の資本効率も重視する手法をとります。
三井不動産は魅力的なオフィスや商業施設を保有するのに加え、資本効率改善の取り組みが好印象で、NAV対比で現状の株価は割安とみて、経営陣には自社株買いの強化を提言しています。
三菱地所も保有物件は魅力的としつつ、過去1年の株価上昇で割安感は薄れたとの評価です。
J-REIT市場については、オフィス系の投資口価格は一定程度上昇して割安感に乏しい一方、「住宅系はまだ割安で投資機会が大きい」とみています。

金利上昇との向き合い方も語られています。
関連株が軟調に推移する中でも、現時点ではインフレを追い風にした賃料増という収益の成長性が金利の重荷を上回っているとの見方です。
不動産の賃料は、一般的にインフレとの相関関係が強いとされます。
物価が上がる局面では、募集や更新を通じて賃料にも物価上昇が反映されやすいためです。
長期契約が多い物流施設でも、消費者物価指数(CPI)の上昇に連動した賃料体系を取り入れる動きが増えていると同氏は指摘します。
リスク指標として意識しているのは、企業の借り入れコストと、不動産の取得利回り(キャップレート)との利回り差です。
借入コストが上がるか取得利回りが下がって差が縮めば、借りて投資する妙味が薄れるため、目を配っているとしています。
また、J-REITには金利以外の構造的な割安要因もあるとし、小規模な銘柄が多く規模のメリットを生かしにくいこと(M&Aの活性化が必要との指摘)、スポンサーの資産売却の手段として使われ、引き渡される物件の質が相対的に弱い印象があること、英文の情報開示が十分でないことを挙げています。

グローバルでは、データセンターに強気です。
大規模クラウド事業者による過剰設備投資の懸念はあるものの、現時点では旺盛な需要が確認できるとし、運用ファンドでは小規模のリース契約を多く持つ米エクイニクスを多く保有しています。
日本では25年に金融庁がREITにデータセンターを組み入れやすくするよう規定を改定しており、こうした進展は好ましいとして、データセンターを組み入れたり特化したりするREITの誕生に期待を示しています。

ポイント:プロの市況評価

👉 オフィス好況は通常より長い"スーパーサイクル"

都心の空室率は2%台で、建築費高騰により2030年までは大型物件の新規供給が乏しい見通しです。

👉 賃料の上昇基調は当面続くとの見立て

供給が乏しい一方で需要が根強く、賃料はインフレとの相関も強いとされます。

👉 住宅系REITはまだ割安と評価

オフィス系の投資口価格は上昇して割安感に乏しい一方、住宅系には投資機会が大きいとみています。

👉 リスク指標は借入コストと利回りの差

利回り差が縮めば投資妙味が薄れるため、注視していると述べています。

供給が乏しく、需要が根強いーー賃料が上がる仕組みを物件選びに引きつける

このインタビューの骨格は、とてもシンプルです。
供給が乏しく、需要が根強いから、賃料の上昇が続く。
この需給の軸は、住宅の家賃を見るときにも使えます。
もちろん、オフィスと住宅では需要のなかみが違います。
住宅で確かめるのは、通勤や通学の利便、単身者や世帯の流入といった、暮らしの需要です。
そのうえで、需要がこれからも持続するか、供給がこれから増える余地はどれくらいか。
この2つが、家賃の先行きを考える主要な軸になります。
建築費の高騰が新規供給を絞るという記事の構図は、住宅にも同じ方向に働きやすい力です。
そして供給の増えにくさは、場所によって差があります。
駅の近くなど、建てられる土地が限られたエリアは、もともと供給が増えにくい場所です。
需要の持続と供給の余地という目でエリアと物件を見ることが、家賃の見通しを立てる出発点になります。

もう一つ、家賃とインフレの関係です。
記事のとおり、不動産の賃料は一般的にインフレとの相関が強く、物流施設ではCPI連動の賃料体系も広がっています。
住宅の家賃も、物価が上がる局面では、募集や更新のタイミングで実勢を映していきます。
物価上昇の局面で収益が追随しやすいことは、家賃という収益の大切な性質です。
加えて、プロの目から住宅系REITがまだ割安で投資機会が大きいと評価されていることは、住宅賃貸の需給を見るうえでの参考材料の一つです。
ただし記事のとおり、REITの価格には規模や開示といった物件以外の要因も影響するため、個別の物件の家賃の見通しとは分けて受け取ることが大切です。

ONZAとしての整理

同氏がリスク指標に挙げた、借り入れコストと取得利回りの差は、個人の不動産投資でもそのまま使える視点です。
借入金利と物件の利回りの差が、投資の余地をつくります。
金利が上がる局面では、この差がどれだけ残るかを試算し、金利が上がっても返せる余力とあわせて確かめる。
プロが市場全体で見ている数字を、個人は自分の物件の収支で確かめられます。
また、同氏がNAVという資産の裏付けで株価の割安さを測るように、物件も価格だけでなく、家賃という収益と実需の裏付けで価値を測ることが基本になります。

もう一つ、サイクルの視点です。
オフィス市況が5〜7年の周期を繰り返してきたように、不動産の市況にも波があります。
波の途中の上下は誰にも当てられません。
一方、家賃は募集や更新のタイミングで動くため、日々値が付く金融市場とは動き方が異なります。
だからこそ、市況の波を乗り切る前提は、家賃収入で長く持てる物件を選ぶことです。
需要の持続、供給の余地、家賃の裏付け、返済の余力。
この4つを確かめて長期で構えることが、サイクルとの付き合い方だと考えています。

まとめ

👉 記事内容の要点

欧州の運用会社は、日本のオフィス好況が通常より長い"スーパーサイクル"に入ったと評価している

都心の空室率は2%台で、建築費高騰により2030年までは大型供給が乏しく、賃料の上昇基調は当面続くとの見立て

賃料はインフレとの相関が強く、物流施設ではCPI連動の賃料体系も広がっている

J-REITではオフィス系より住宅系がまだ割安で、投資機会が大きいと評価されている

👉 行動指針

家賃の先行きは、需要の持続と供給の増える余地という需給で見る

住宅の需要は、通勤・通学の利便や単身者・世帯の流入といった暮らしの需要で確かめる

借入金利と物件利回りの差を試算し、金利が上がっても返せる余力とあわせて確かめる

市況の波は当てられないと押さえ、家賃収入で長く持てる物件を選ぶ

ご相談について

投資用でご検討の方

需要の持続と供給の余地は、エリアと物件ごとに異なります。
検討中の物件について、家賃の裏付けや周辺の募集状況、金利上昇時の収支まで含めて、一緒に確認いたします。

売却をご検討の方

海外のプロが日本の不動産市場に注目していることは、買い手の裾野を考える材料の一つです。
保有物件の状況とご意向に合わせて、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を一緒に確認します。

居住用でご検討の方

住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
市況のニュースに急かされず、返せる額を軸に一緒に整理していきましょう。

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