新築不足時代の住宅選びーー人口対比の着工は1960年代以来の水準、立地や資金計画の見直しを|ONZA的市況ニュース
2026-08-29

記事内容:新築不足時代の住宅選び、立地や資金計画の見直しを
2026.8.29の日経新聞で、国内の住宅供給に不安が広がっていると報じられました。
新築が落ち込む一方、中古の改修もままならない状況です。
中東情勢の余波による供給混乱もありますが、それ以上に人手不足など構造的な要因が大きく、価格の高止まりも予測されると記事は伝えています。
持ち家購入を検討する30代夫婦の「新築は高すぎて、最初から予算的に候補にも入らない。でも、中古は古くて夏は暑く、冬は寒い物件ばかり。改修したいが、その費用も高額だ」という声も紹介されています。
日本の新築住宅着工は2025年に前年比6.5%減の約74万戸に落ち込みました。
20年前より約4割少なく、人口対比では1000人当たり約6戸と、1960年代初め以来の少なさです。
25年は住宅の省エネ規制強化など特殊要因が着工減につながり、26年は一定の回復傾向があるものの、さくら事務所の田村啓氏は「特殊要因は国内住宅が抱える課題の顕在化を加速させただけだ。特殊要因がなくなっても人手不足は基本的に変わらず、新築が本格的に上向くことはない」と分析します。
人口減のなか、建設人材の不足は深刻で、特に大工は2020年までの20年間でほぼ半減して30万人を切りました。
芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は「35年前後には15万人も割り込む見込みで、人数回復の可能性はほぼゼロ」と指摘します。
供給制約は国際的な現象でもあります。
新型コロナ禍の住宅ブームが去った後、欧米でも人口対比の新築は落ち込み、欧州は建設人材の先細りを補ってきた移民の受け入れが政治的な困難に直面し、米国も人手不足と資材高騰で手ごろな価格の新築を拡大できる状況にないと専門家の見方が紹介されています。
そのうえで、この制約は日本に特に重くのしかかります。
住宅供給全体に占める新築の比率が、欧米では2割前後が多いのに対し、日本は最新の23年で8割程度に上るためです。
人口は減少していても、住宅需要の基礎単位である世帯数はなお拡大しており、新築の落ち込みで需給がタイトになると、足元の住宅価格高騰が加速しかねないと記事は指摘します。
中古の活用にも課題があります。
23年時点で空き家は約900万戸あり、このうち売買や賃貸などの目的が決まっていない、その他空き家は約386万戸に上ります。
国土交通省によれば、その約7割は耐震性が不足するか、耐震性はあっても壊れたり腐ったりして修繕が欠かせません。
ここでも大工などの減少が影を落とします。
劣化の度合いや作業環境が現場ごとに異なる修繕には、木材の事前加工など新築で普及している省人化技術も導入しにくく、空き家が多い地方郊外は人材不足が特に深刻です。
田村氏は「空き家も含む中古住宅のすべてを活用するのは現実的に困難だ」とみています。
新築は増えにくく、中古も快適に住める状態への修繕が難しい。
そして修繕不要な状態の良い中古は、価格が高止まりする。
これが記事の描く構図です。
そのうえで記事は、今後の住宅確保の構えを3つ挙げています。
まず、立地の選択肢を広げて物件を探すこと。
次に、購入の資金計画は価格の値上がりだけでなく、修繕費が今後上昇していくことも含めて立てること。
最後に、新築や修繕の契約前に、着工後のコスト上昇や工事遅延の場合の条項を確認し、不十分なら交渉して修正することです。
賃貸に住み続ける場合も、修繕費の高騰はいずれ家賃に転嫁される可能性が高いため、資金準備が必要になるとしています。
蟹澤氏は「今後の住まい探しは、物件選び以上に相談できる相手を見つけることが重要になる」とし、工務店や販売会社、第三者の専門家など、信頼できる助言が可能な相手の確保を勧めています。
ポイント:住宅供給を巡る現在地
👉 新築着工は構造的な減少局面
2025年は約74万戸と人口対比で1960年代初め以来の少なさで、特殊要因が消えても人手不足は残るとの分析です。
👉 大工の減少が新築と修繕の両方を制約
2020年までの20年間でほぼ半減して30万人を切り、2035年前後には15万人を割り込む見込みとされます。
👉 空き家900万戸も活用は容易でない
目的の決まっていない約386万戸のうち約7割は、耐震性の不足か修繕が欠かせない状態です。
👉 構えは3つ、そして相談相手の確保
立地の選択肢を広げる、修繕費上昇込みの資金計画、契約条項の確認に加え、信頼できる相談先の重要性が指摘されています。
供給が細る時代の住まい選びーー3つの構えを実務に落とす
記事の構図を需給で整理すると、こうなります。
需要の単位である世帯数はなお増えている。
一方、供給は、新築が人手不足で細り、中古の再生も同じ人手不足で進みにくい。
つまり、住める状態の住宅というストックの増える余地が、構造的に細くなっています。
新築と改修済み中古の選択肢が限られると、追加の修繕をかけずに住める物件や、利便の良い物件に検討者が集まりやすくなります。
世帯数が増えている地域では、こうした物件の価格も家賃も支えられやすくなります。
買う側には厳しい時代ですが、裏を返せば、良い立地の物件を持っている側には、競合する供給が増えにくい環境でもあります。
記事の3つの構えは、実務に落とすとこうなります。
1つ目の、立地の選択肢を広げることは、エリアや沿線の幅を広げて探すという意味ですが、広げるときも、通勤や生活の利便、将来も需要が続くかという軸は保つことが大切です。
価格の安さだけで選んだ立地は、売る・貸すの場面で選択肢が狭くなります。
2つ目の資金計画は、購入価格に加えて、マンションなら修繕積立金の値上げ予定、戸建てなら屋根・外壁・水回りの更新時期と概算を、あらかじめ見込んでおくことです。
3つ目の契約条項は、見積もりの内訳と、着工後にコストが上がった場合・工期が延びた場合の取り決めを、署名の前に確認することに尽きます。
いずれも、確認する相手がいてはじめて実行できる構えです。
ONZAとしての整理
今回の記事で目を引くのは、新築比率8割という日本の特殊性です。
住宅供給全体の8割を新築が占めてきた日本では、新築の減少を中古だけで補うことが難しく、依存度が高い分、影響は相対的に大きくなりやすいと考えられます。
だからこそ、これからの住まい選びでは、すでに建っている物件の立地と状態を見る目が、いっそう問われます。
需要がこれからも続く場所か。
管理や修繕で状態が保たれているか。
この2つを満たす物件は、供給が細る時代には希少性が増していきます。
価格の高止まりが予測されるなかで買う判断は迷いますが、自宅は、暮らしに合うか、無理なく返せるかで決めるのが基本です。
この軸で選んだ住まいは、相場がどちらに動いても暮らしの土台として機能します。
もう一つ、蟹澤氏の、物件選び以上に相談できる相手を見つけることが重要になる、という指摘は、この市場の性質をよく表しています。
住宅は、建物の状態や修繕の範囲、追加費用の条項を、買う側だけで見抜くことが難しい買い物です。
だからこそ、誰に相談するかが、どの物件を選ぶかと同じくらい結果を左右します。
見積もりの根拠を説明できるか、コスト上昇時の取り決めまで話してくれるか、売った後の修繕や賃貸の相談にも乗れるか。
相談相手を選ぶ目安は、この記事の3つの構えを一緒に確認してくれるかどうかだと考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
新築着工は2025年に約74万戸と人口対比で1960年代初め以来の少なさで、人手不足という構造要因は特殊要因が消えても残る
大工は20年間でほぼ半減して30万人を切り、新築だけでなく空き家・中古の修繕も進みにくい
空き家約900万戸のうち目的未定の約386万戸は約7割が耐震不足か要修繕で、状態の良い中古は価格が高止まり
住宅確保の構えは、立地の選択肢を広げる・修繕費上昇込みの資金計画・契約条項の確認の3つに、相談相手の確保が加わる
👉 行動指針
立地の幅を広げて探すときも、通勤・生活の利便と将来も需要が続くかという軸は保つ
資金計画には購入価格だけでなく、修繕積立金の値上げ予定や屋根・外壁・水回りの更新費用まで見込む
新築・修繕の契約前に、コスト上昇時と工事遅延時の取り決めを確認し、不十分なら交渉する
物件探しと並行して、見積もりの根拠や契約条件まで一緒に確認できる相談相手を確保する
ご相談について
投資用でご検討の方
新築や改修済みの供給が限られる時代は、状態と立地の良い物件の比較優位が高まりやすくなります。
検討中の物件の需要の裏付けと、修繕費まで含めた収支を一緒に確認いたします。
売却をご検討の方
新築が増えにくい環境は、状態の良い中古が選ばれやすくなる環境でもあります。
保有物件の状況とご意向に合わせて、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
立地の選び方から修繕費込みの資金計画、契約前の確認まで、一緒に整理していきましょう。
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