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ナフサ不足で競争力に差ーー原料を"選べる"中国と、デフレ輸出への警戒|ONZA的市況ニュース

2026-07-17

ナフサ不足で競争力に差ーー原料を"選べる"中国と、デフレ輸出への警戒|ONZA的市況ニュース

記事内容:ナフサ不足が競争力の差を浮き彫りに

2026.7.17の日経新聞で、中東の混乱によるナフサ不足が、東アジアの石油化学産業の競争力の差を浮き彫りにしていると報じられました。
ナフサは粗製ガソリンとも呼ばれ、プラスチックなど石化製品の基礎原料です。
日本や韓国が中東以外からのナフサ調達に追われる一方、中国はエタンガスなど多様な原料を使いこなし、高水準の生産を維持しています。

まず、価格の動きから確認します。
アジアの石化企業は、原料とするナフサの多くを中東からの輸入に頼っています。
ホルムズ海峡の再封鎖で原油高と供給不安が再燃し、ナフサのスポット(随時契約)価格は16日時点で1トン836ドルと、6月の直近安値から3割ほど上昇しました。
危機勃発直後の3月には1208ドルと、約18年ぶりの高値を付けています。

日本と韓国は、対応に追われています。
米国など中東以外からの代替調達に奔走し、4〜6月のナフサ輸入量は前年同期の7割程度にとどまりました。
同時に、原料不足に対応するため国内供給を優先し、石化製品の輸出を抑えています。

一方、アジア最大の石化生産能力を持つ中国は、状況が異なります。
4〜6月のナフサ輸入量は前年同期の35%にとどまったのに対し、エチレン(プラスチックの元になる基礎化学品)の生産は12%増えました。
ポリ袋などに使うポリエチレンの5月の輸出量は前年同月の6倍、ポリプロピレンも8割ほど増えています。
輸入が大きく減ったのに生産と輸出が増えるという、一見不思議な動きです。

これを可能にしたのが、原料の多様さです。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の研究者は、中国の強みは中東産ナフサ以外の原料を選べることにあると指摘します。
特に増えているのが、天然ガス由来の米国産エタンです。
中国のエタン輸入量は、2026年1〜5月に前年同期比で65%伸びました。
中国ではここ数年、民間企業を中心に、エタンからエチレンを生産するエタンクラッカーと呼ばれる設備の整備が進んでいます。
調査会社によると、中東危機下でもエタンクラッカーはおおむねフル操業を維持し、ナフサを使う設備の稼働率が10〜15%程度低下したのとは対照的でした。
国内の製油所も支えになりました。
中国政府が国内供給を優先する方針のもと、製油所はガソリンや軽油の生産を減らしてナフサの生産を増やし、5月のナフサ生産量は前年同月比で約83万トン増えて、輸入の減少分の9割を補いました。
このほか石炭や液化石油ガス(LPG)も石化原料に活用しており、ナフサ主体の日本や韓国とは原料構成が大きく異なります。

原料を選べる強みは、調達が細ったときの生産維持と、高騰した原料を避けたコスト抑制の、両方に効きます。
エタンなど比較的安価な原料を使える中国勢は、ナフサが高騰した局面でもコストの上昇を抑えやすくなります。
対照的に、日韓メーカーは高値のナフサ調達を迫られ、さまざまな製品の値上げを余儀なくされました。
そして、不動産不況に直面する中国では、内需を上回る石化製品の生産が続いています。
コストの安い製品がアジア市場に流入すれば、日本国内の製品価格の下押し圧力になりかねないと、合成樹脂を扱う商社関係者は警戒しています。
中東危機を経てもなお、中国発のデフレ輸出は収まらないと記事は結んでいます。

ポイント:ナフサ不足と石化の競争力

👉 ナフサ価格は直近安値から3割上昇

ホルムズ海峡の再封鎖で供給不安が再燃し、3月には約18年ぶりの高値を付けました。

👉 日韓は調達に追われ輸出を抑制

4〜6月のナフサ輸入量は前年同期の7割程度で、国内供給を優先しています。

👉 中国は原料を選べる強みで生産維持

エタンや石炭、LPG、国内製油所の増産まで動員し、エチレン生産は12%増えました。

👉 デフレ輸出への警戒が続く

不動産不況下の中国では内需を上回る生産が続き、安価な製品の流入が価格の下押し圧力になりかねないと警戒されています。

不動産との関係:ナフサ高は、住まいのコストにも波及し得る

ナフサからつくられる石化製品は、住まいの至るところで使われています。
給排水の塩ビ管、ビニールクロスの壁紙、断熱材、床材、塗料、接着剤、電線の被覆。
住宅の内側には、樹脂でできた部材が数多く組み込まれています。
記事のとおり、日本のメーカーは高値のナフサ調達でさまざまな製品の値上げを余儀なくされており、値上げが続けば、建築資材の価格を通じて住宅の建築費や修繕費に波及し得ます。

影響の出方は、2つの面で考えられます。
1つ目は新築側です。
資材コストの上昇は建築費を押し上げ、新築価格の上昇圧力になります。
2つ目は保有側です。
外壁塗装や防水、配管の更新といった樹脂系の資材を使う修繕工事は、資材価格の動きの影響を受けやすい部分です。
一方で、中国から安価な石化製品が流入すれば、資材価格の下押しに働く面もあり、影響の方向は一様ではありません。
確かなのは、資材価格が動く前提で、購入や修繕の資金計画に余裕を持たせておくことが備えになるという点です。

ONZAとしての整理

原油やナフサの値動きは、遠い市場の話に見えて、建築費や修繕費という形で住まいのコストにつながっています。
資材コストで新築価格が押し上げられる局面では、新築に比べ価格が抑えられた中古住宅に目が向きやすくなるという、需給への影響も考えられます。

資材価格の波は、自分では動かせません。
動かせない部分は、修繕積立の余裕や資金計画の余力で受け止める。
ナフサのようなニュースを、住まいのコストにつながる動きとして眺めておくことに価値があると考えています。

まとめ

👉 記事内容の要点

中東の混乱によるナフサ不足で、ナフサのスポット価格は直近安値から3割上昇し、3月には約18年ぶりの高値を付けた

日本と韓国は代替調達に追われ、4〜6月のナフサ輸入量は前年同期の7割程度にとどまり、石化製品の輸出を抑えた

中国はエタンや石炭、国内製油所の増産など原料を選べる強みで、エチレン生産を12%増やしポリエチレン輸出を6倍にした

不動産不況下の中国では内需を上回る生産が続き、中国発のデフレ輸出への警戒が収まらない

👉 行動指針

ナフサや原油の価格は、建築資材を通じて建築費・修繕費に波及し得ると押さえておく

新築の購入や大きな修繕を控えている場合は、資材価格が動く前提で資金計画に余裕を持たせる

修繕やリフォームは、見積もりの時期や資材の動向で費用が変わるため、内容と時期を比較して決める

建築費が新築価格を押し上げる局面では、築年の異なる物件も含めて比較する

ご相談について

投資用でご検討の方

物件の収支は、家賃だけでなく修繕費などのコスト側でも変わります。
資材価格の影響を受ける修繕まで含めて、無理のない収支と資金計画になっているかを、物件の見極めから一緒に整理いたします。

売却をご検討の方

建築費の上昇は、新築の供給価格を通じて中古市場の相場にも影響します。
保有物件のいまの価値と、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を、市場の状況を踏まえて一緒に確認します。

居住用でご検討の方

住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
月々の返済と手元に残す余力のバランスを軸に、一緒に整理していきましょう。

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