住宅ローンの"超長期"返済が拡大ーー36年以上が3人に1人、月々と借り方をどう設計するか|ONZA的市況ニュース
2026-07-04

記事内容:住宅ローンの"超長期"返済が拡大
2026.7.4の日経新聞で、住宅ローンの返済期間の長期化が報じられました。
一般的に35年が最長とされてきた返済期間が足元で急速に延びており、住宅ローン比較診断サービスを運営するMFSの調査では、2026年5月時点で返済期間36年以上の借り入れが全国ベースで約33%と、3人に1人に達しています。
長期化の動きは、各種の民間調査で確認できます。
リクルートが首都圏の新築マンション購入者を対象にした調査では、2025年は返済期間36年以上が全体の32.6%と、2024年の11.6%から一気に約2.8倍になりました。
全体の平均返済期間も36.4年(2024年は34.5年)に延びています。
三井住友トラスト・資産のミライ研究所が過去20年を5年単位で分けた調査でも、2021〜25年は36年以上の比率が9.1%と、以前の1〜2%台から急伸しました。
しかも36年以上を選ぶ比率は、東京・大阪・名古屋の三大都市圏以外の地域で特に高く、資材高や人手不足による住宅価格の上昇が全国に及ぶなかで、地域を問わない動きになっています。
背景にあるのは、住宅価格と金利の両方の上昇です。
住宅価格が上がると必要な借入額が増え、金利が上がると同じ借入額でも毎月の返済は重くなります。
そこで、月々の支払いを無理のない範囲に抑える手段として、返済期間を延ばす選択が広がっています。
MFSによると、7月時点で主要銀行の変動型金利は1%以上となり、この1年で0.4ポイント程度上がりました。
借入1億円・金利1%・元利均等で計算すると、毎月の返済額は35年返済で28万円超、50年返済なら21万円程度と、期間を延ばせば月々は7万円ほど軽くなります。
その一方で、返済期間が長いほど利息を払う期間も延びるため、総利息は膨らみます。
貸す側の変化もあり、住宅金融支援機構の2025年6月時点の調査では、回答した金融機関の57.5%が変動型で最長50年の商品を用意し、この割合は1年で約24ポイント高まりました。
一方で、記事は注意点も指摘しています。
元利均等返済では、返済当初ほど毎月の返済のうち利息に回る割合が大きく、期間が長いほど元本の減り方はゆっくりになります。
そのため、急病や失業などで返済が難しくなった際、物件の価値が下がっていると、売却しても残債を返し切れない"オーバーローン"に陥る恐れがあります。
返済が長い分、金利変動の影響を受ける期間も長くなります。
また、20代で50年返済を選ぶと完済は年金生活の時期にかかるため、専門家は、教育費や老後資金も踏まえ、就労収入があるうちに完済できる計画や、計画的な繰り上げ返済の重要性を指摘しています。
ポイント:超長期返済の広がり
👉 36年以上の返済が3人に1人に
2026年5月時点の全国調査で約33%に達し、平均の返済期間も延びています。
👉 背景は住宅価格の高騰と金利の上昇
借入額が増え、毎月の返済も重くなるなかで、月々を抑える手段として期間を延ばす選択が広がっています。
👉 月々は軽く、総利息は多く
借入1億円・金利1%の試算で、35年返済は月28万円超、50年返済は21万円程度。
期間が長いほど総利息は膨らみます。
👉 当初は元本が減りにくい
元利均等では当初の元本の減りがゆっくりで、売却時に残債が上回る場合もあると記事は指摘しています。
住宅ローンの超長期返済とどう付き合うか:月々と借り方をどう設計するか
返済期間は、月々の負担を調整する道具です。
買えるかどうかは月々の返済額で決まるように見えますが、返し続けられるかは家計の余力で決まります。
月々を軽くしたいのか、総支払いを抑えたいのか、老後に返済を残したくないのか、住み替えの自由度を持ちたいのか。
何を優先するかで、同じ道具でも組み方は変わります。
優先順位が決まれば、教育費や老後資金との並走、金利が上がっても返せるかを含めて、返せる額と借り方を逆算できます。
そのうえで、期間を長めに取って月々を抑え、浮いた分を繰り上げ返済に回すのか、手元の貯蓄や運用に回すのか。
使い道まで含めて決めれば、長い期間は家計の選択肢を広げる道具になります。
元本の減らし方にも、全員共通の正解はありません。
頭金や繰り上げ返済で残債を早めに減らし、身軽さを優先する組み方もあれば、金利が低いうちは元本の減りを急がず、浮いた月々を運用や教育費に回して手元を厚くする組み方もあります。
残債が物件価値を上回る局面も、返済が続けられていて売る予定がなければ、それ自体が直ちに問題になるわけではありません。
売却や住み替えを視野に入れるなら、いま売ったら残債を消せるか、残債と物件価値の差を把握しておく。
それぞれの優先順位に合わせて、無理のない形を選ぶことが大切です。
ONZAとしての整理
今回の記事から見えるのは、返済期間の選び方が、家計の設計そのものになっているということです。
出口は完済だけではなく、売却も、退職金での繰り上げも、無理なく払い続けることもあります。
だからこそONZAでは、何を優先するかを起点に、無理なく返せる設計になっているかを判断の中心に置いて整理しています。
期間は、その設計のための道具にすぎません。
月々が軽くなれば、買える物件の幅は確かに広がります。
広がった選択肢のなかから暮らしに合う住まいを選び、余力を残した返済計画を組めるかどうか。
それが、10年後、20年後の暮らしの安心につながると考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
返済期間36年以上の住宅ローンが全国で約33%と、3人に1人に達した(2026年5月・MFS調査)
背景は住宅価格の高騰と金利上昇で、主要銀行の変動型金利は1%以上に
借入1億円・金利1%の試算では、35年返済で月28万円超、50年返済で21万円程度と月々は軽くなる一方、期間が長いほど総利息は増える
超長期返済は当初の元本が減りにくく、売却時に残債が上回るオーバーローンの恐れも指摘されている
👉 行動指針
何を優先するか(月々・総支払い・老後・住み替えの自由度)を決め、返せる額を逆算する
金利が上がっても返済を続けられるか、余力を確認しておく
浮いた月々の使い道(繰り上げ返済・貯蓄・運用)を優先順位で決める
頭金を入れて借入額を抑える選択肢も検討する
ご相談について
投資用でご検討の方
住宅ローンとは条件の異なる投資用ローンでも、借入期間と金利の組み方は収支と出口を左右します。
金利上昇への備え方、返済期間と手元資金のバランス、長期保有を前提にした無理のない借入の組み立てを、物件選びと合わせて一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
住み替えや売却では、いまの残債と売却価格の関係が出発点になります。
ローンが残っていても売却できるか、売却までにかかる時間も含めて、進め方を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
返済期間や頭金の入れ方、変動か固定かに、全員共通の正解はありません。
月々の軽さ・総支払い・老後・住み替えの自由度など、何を優先するかの整理から、金利が上がっても返せる余力まで、暮らしやすさを軸にした無理のない資金計画を一緒に整理していきましょう。
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