住宅ローン、固定への借り換えが前年比3.4倍――変動か固定か、判断のポイントは|ONZA的市況ニュース
2026-05-16

記事内容
2026.5.16の日経新聞で、「住宅ローン、固定に借り換え――金利割引や期間延長が前提」と題した記事が掲載されました。
変動金利の住宅ローンから、全期間固定金利の"フラット35"への借り換えが急速に増えています。
背景にあるのは、日銀の政策金利引き上げによる変動金利の上昇で、将来の返済負担増を避けたいという需要の高まりです。
住宅金融支援機構によると、2025年度のフラット35への借換申込件数は1,684件と、前年度の約3.4倍に急増しました。
そのうち約6割が変動型からの借り換えとされています。
住信SBIネット銀行は2025年9〜12月にフラット35(買取型)の借換時融資手数料を約半分にする割引を実施し、担当者は「金利上昇に危機感を持つ人が想定以上に多い」と話しています。
SBIアルヒでも2025年のフラット35借換相談数が前年比約2.5倍に増え、3月にはオンライン借換専用の相談窓口を開設しました。
固定型に切り替えると完済までの返済額が確定する一方、通常は変動型より固定型の金利が高いため、借り換え後は毎月返済額が増えやすい点もあります。
これを補う選択肢として、フラット35では子どもの数に応じて当初一定期間の金利が下がる"子育てプラス"を借換時にも利用可能にするなど、制度面での補完が進んでいます。
記事では、約3年前に4,500万円を当初年0.4%の変動型で借りたケースを試算しています。
3年目に年0.8%、4年目に年1.05%、その後も年0.5%ずつ上昇する想定では、毎月返済額は当初5年で約11.5万円、6年目以降は約14.4万円、11年目以降は約15.7万円まで膨らむ見通しです。
ニッセイ基礎研究所の福本美樹氏は「変動型なら適用金利が2〜3%になっても返済が続くような資金を準備すべきだ」と指摘しています。
一方、返済3年目時点でフラット35(金利年2.7%、子育てプラスで当初5年は0.5%下がる前提)に借り換えた場合、借入期間を残り32年とすると毎月返済額は約15.5万円、6年目以降は約16.5万円。
制度拡充で借入期間を35年に延ばせば、毎月返済は約14.6万円、6年目以降は約15.7万円まで抑えられ、変動型の上昇シナリオより低くなる場面もあるとしています。
ただし期間延長は総返済額の増加に直結する点には注意が必要です。
借り換えにはローン残高の約2%程度の融資手数料に加え、担保設定などの登記費用も別途発生します。
ポイント
👉 変動金利の上昇局面でフラット35への借り換えが前年比3.4倍に急増
住宅金融支援機構の集計では2025年度の借換申込が1,684件、その約6割が変動型からの乗り換えです。
👉 "子育てプラス"の借換適用が制度拡充の中心
子どもの数に応じて当初一定期間の金利が下がる仕組みで、子育て世帯の月額負担を抑える狙いがあります。
👉 借入期間を延ばすと月額は抑えられるが、総返済額は増えやすい
毎月の家計はラクになっても、最終的に支払う総額は増える可能性が高いというトレードオフが残ります。
👉 借り換えには手数料・登記費用がかかる
ローン残高の約2%程度の融資手数料に加え、抵当権設定など登記関係の費用も別途発生します。
住宅ローン金利と不動産選びへの接続
価格への影響
固定金利の上昇は、住宅取得層の月々の返済余力を直接圧迫します。
同じ年収・同じ頭金でも借りられる総額が下がれば、購入できる物件の上限価格も下がりやすくなります。
背景としては、固定金利は長期金利に連動し、長期金利は29年ぶりの高水準が続いている局面でもあるため、当面は高止まりの可能性もあると考えることができます。
需要の変化
「金利が上がってから動こう」と待っていた層が、実際の変動金利の上昇を実感したことで、固定への借り換え・新規借入の前倒しに動き始めている、という構図が見て取れます。
取得需要そのものが消えるというより、"いつ動くか"の判断が前倒しになりやすい局面とも考えることができます。
投資マインドへの影響
キャッシュで物件を買える層を除けば、不動産取得は基本的にローンとセットです。
金利動向は実需・投資の両面で物件選びの判断軸を変えます。
都市部の駅近・流動性の高いエリアは、金利上昇局面でも価格が崩れにくい傾向があるとも言われており、"価格が高い=資産性が高い"ではなく、いざ売るときに買い手がつくかを軸に選ぶ重要性が増しているとも考えることができます。
ONZAとしての整理
固定への借り換えが増えているという見出しを表面的に読むと、「やっぱりこれからは固定だ」と結論づけたくなるかもしれません。
ただ記事をていねいに読むと、変動の総返済額の方が少ないケースもあること、固定借り換えが向くのは子育て割引の恩恵が大きい人や月額返済額を抑えたい人、と対象を絞って書かれています。
つまり"全員が固定に乗り換えるべき"という話ではなく、自分の借入残高・残期間・家族構成・将来の収入見通しによって答えが変わるテーマだということです。
ONZA Estateとして大切にしている考え方は、月々の返済額だけで判断せず総支払額で見ること、そして"返済に回さない現金をどう運用するか"までセットで考えることです。
変動金利は元本が大きい初期に低金利で返せるという構造的なメリットがあります。
浮いた返済余力を運用に回す前提なら、変動型の合理性は今も残っているとも考えることができます。
一方で、お子さんが多くて子育てプラスの恩恵が大きい方や、収入のブレが大きく月々の返済を確定させたい方にとっては、固定型への切り替えが現実解になる場面もあります。
まとめ
👉 行動指針
すでに変動金利でローンを組んでいる方は、適用金利が2〜3%まで上がった場合の毎月返済額を試算し、家計が耐えられる水準かを確認しておく
借り換えを検討する場合は、月額返済額だけでなく総返済額・融資手数料・登記費用までを含めた"トータルコスト"で比較する
子育て世帯は"子育てプラス"などの優遇制度の対象になるかを、住宅金融支援機構や取扱金融機関の最新情報で確認する
借り換えで毎月返済が下がる場合、その差額を運用や繰上返済に回すかを最初に決めておく
これから物件を買う方は、金利だけでなく"その物件が将来も売りやすいか"という資産性・流動性まで含めて選ぶ
数字や制度は今後も変わりやすい局面です。
「どちらが正解か」を一度で決めるのではなく、半年〜1年に一度、自分の返済計画を見直すスタンスが現実的だと考えることができます。
ご相談について
投資用でご検討の方
金利上昇局面では、表面利回りより"借入金利との差"や空室時のキャッシュフロー耐性がより重要になります。
流動性と返済余力をセットで見たうえで、物件選びと借入条件を整理します。
売却をご検討の方
変動から固定への借り換えが増えるタイミングは、買い手側の購買余力が変動しやすい局面でもあります。
市況を踏まえた査定と、売り出しタイミングのご相談もお気軽にどうぞ。
居住用でご検討の方
固定か変動か、借り換えか継続か、いつ動くか。
同じ物件でもローンの組み方で生涯の支払総額が大きく変わります。
家計とライフプランを踏まえた住宅ローン・物件選びのご相談を一緒に整理します。
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