生保解約に拍車、返戻金は最高ペースーー金利上昇、高利回りの投信へシフト|ONZA的市況ニュース
2026-07-29

記事内容:解約返戻金が4割増、お金が動き始めた
2026.7.29の日経新聞で、生命保険の契約を見直す動きが広がっていることが報じられました。
生保各社が解約時に契約者へ渡す解約返戻金は、2026年1〜5月に6兆円を超え、上半期としても過去最高になりそうです。
一部の契約者は、より高い利回りを求めて投資信託に資金を移しており、各社は顧客の引き留めを急いでいます。
規模を数字で確認します。
生命保険協会によると、国内生保41社合計の解約返戻金は1〜5月に6兆190億円と、前年同期比で39%増えました。
同期間としては、データをさかのぼれる2020年以降で最高です。
2025年9月以降は9カ月連続で解約返戻金が1兆円を超えており、このペースが続けば1〜6月は計7兆円を超え、半期ベースでも過去最高となる公算が大きいとされます。
背景にあるのは、金利の上昇です。
生保各社は、国債の運用利回りの向上などを背景に、保険商品の予定利率(保険契約者に約束する利回り)を引き上げています。
すると、低い利率の時代に入った既存の契約は相対的にうまみが少なくなり、顧客は契約の見直しに動きます。
一般的には、利率が上がった新しい保険契約に切り替えることが多いのですが、1〜5月の新規契約額は前年同期比1.2%増の26兆9249億円と、解約返戻金の伸びに比べれば緩やかです。
一部の契約者は保険契約そのものを見直し、他の金融商品に資金を移している可能性があります。
記事では、数年間加入していた個人年金保険を解約し、為替リスクはあるものの5%の金利が魅力の米国企業の社債を新たに買った、という大阪府在住の50代女性の事例が紹介されています。
主な競合相手は、投資信託です。
本来、生命保険は病気や介護、死亡など万が一の事態に備える保障が主な機能で、元本割れのリスクがある投資商品とはすみ分けがありました。
足元では資産形成も兼ねた貯蓄性の保険商品が増え、利回り競争に陥りやすくなっています。
個人に資産運用の助言をする会社の代表は、保障と貯蓄を分けて考え、保障は掛け捨て型の保険、貯蓄は投資信託に加入する人が増えていると説明します。
資産運用業協会によると、公募株式投信(ETFを除く)の純資金流入額は1〜6月に12兆2867億円と、前年同期比52%増えました。
税制メリットのある新NISA(少額投資非課税制度)の需要で、運用が好調な株式投信への資金流入が続いています。
この流入には新NISAによる新規の積み立ても含まれ、生保の解約資金だけを示す数字ではありません。
生保各社も手を打っています。
富国生命保険は、予定利率引き上げ前に加入していた契約者に配当金を多く出し、契約者負担の公平性を訴えています。
契約の流出度合いを示す解約失効率は、2025年度に3.12%と前の年度の3.39%から下がりました。
太陽生命保険は、利回り競争に陥りやすい銀行窓口向け商品の販売比率を徐々に落とし、日ごろから顧客と接する営業職員のチャネルで貯蓄性商品などを販売しています。
解約の増加は、生保の経営にとっても重い課題です。
生保は将来の保険金支払いに備え、主に償還までの期間が20年以上の超長期国債で運用しています。
解約が想定外に増えると、返戻金を支払うために資産を売却して現金化する必要に迫られます。
金利の上昇に伴い、超長期国債の時価は購入時の簿価を下回る含み損の状態が続いており、売却で損失が実現すれば利益の圧迫要因になります。
予定利率の引き上げにも、運用利回りが予定利率を下回る逆ざやのリスクという限界があります。
1980年代ごろには過度な利回り競争に陥り、バブル崩壊後の運用難で経営破綻に追い込まれる生保も出た、と記事は過去の教訓に触れています。
ポイント:生保解約の急増
👉 解約返戻金は6兆190億円、前年比39%増
1〜5月として2020年以降で最高となり、半期でも過去最高となる公算が大きいとされます。
👉 背景は金利上昇と予定利率の引き上げ
新しい契約の利率が上がったことで、既存契約の見直しに動く人が増えています。
👉 競合の中心は投資信託、純流入52%増
保障は掛け捨て、貯蓄は投信と分けて考える人が増え、新NISAも追い風になっています。
👉 生保経営には含み損と逆ざやの課題
解約増で超長期国債の売却を迫られると損失が実現し、利回り競争には逆ざやのリスクが残ります。
不動産との関係:利回りで比べられる時代の、不動産の見方
解約返戻金の増加は、契約の見直しが広がっていることを示す材料です。
その一部では、記事の事例のように、より高い利回りを求めた資金移動も起きているとみられます。
金利のある世界では、保険や債券、投資信託といった資産の利回りが、比べ直されやすくなっています。
予定利率、米国社債の5%、投資信託の運用成績。
数字が並ぶほど、利回りの差は意識されやすくなります。
そして、実物資産である不動産を検討するときも、この物差しと無縁ではいられません。
賃貸物件の利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割ったものが基本で、保険や債券の利回りと同じ率の形で表示されるためです。
ただし、比べるときには中身の違いを知っておく必要があります。
広告などで目にする表面利回りは、満室を前提に家賃収入を価格で割っただけの数字です。
実際の手取りは、管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費と、空室の期間を差し引いた実質の利回りで見ます。
また、債券の利回りが発行体への信用に支えられるのに対し、不動産の利回りの源泉は家賃です。
それを支えるのは、駅からの距離や周辺の募集賃料、入居者の層といった、そのエリアに住みたい人の実需です。
数字の高さだけで選ぶと、空室が続いて、計算どおりの利回りにならないこともあります。
利回りの数字は入り口であり、その裏付けを確かめることが本質です。
ONZAとしての整理
記事にある、保障と貯蓄を分けて考えるという整理は、資産づくり全体に通じる考え方だと受け止めています。
万が一に備えるお金、すぐ使えるお金、長く育てるお金。
目的ごとに置き場所を分ければ、商品ごとの役割もはっきりします。
不動産は、この整理でいえば長く育てるお金の置き場所であり、家賃という収入を生む実物資産という役割を担います。
金利のある世界では、お金の置き場所を選び直す動きは自然なことです。
大切なのは、動くときの物差しを利回りの数字だけにしないことです。
その利回りは何に支えられているのか。
不動産なら、家賃の裏付けとなる実需と、経費や空室まで含めた実質の収支。
数字の奥にある裏付けを確かめて選ぶことが、置き場所を変えた後も安心して持ち続けられる条件になると考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
生保の解約返戻金は2026年1〜5月に6兆190億円と前年同期比39%増え、半期ベースでも過去最高となる公算が大きい
背景には金利上昇による予定利率の引き上げがあり、うまみが減った既存契約を見直す動きが広がっている
競合の中心は投資信託で、純資金流入は52%増と、保障は掛け捨て・貯蓄は投信と分ける考え方が増えている
解約増は超長期国債の含み損を抱える生保経営の課題でもあり、利回り競争には逆ざやのリスクという限界がある
👉 行動指針
金利のある世界では商品が利回りで比べ直されると押さえ、保有する金融商品の役割を目的別に棚卸しする
保険の見直しは、保障の空白や解約時の元本割れの可能性まで確かめてから動く
不動産の利回りは表面でなく、経費と空室を含めた実質で見る
利回りの数字だけでなく、家賃を支える実需という裏付けを確かめて選ぶ
ご相談について
投資用でご検討の方
不動産の利回りは、家賃の裏付けがあってこその数字です。
検討中の物件の想定家賃が駅からの距離や周辺の募集賃料で説明できるか、経費や空室まで含めた実質の収支の試算から、一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
お金の置き場所を選び直す動きが広がるいまは、保有物件の位置づけを確かめる機会でもあります。
保有物件の実質利回りと、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を、手取りの試算まで含めて一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
金利が上がったときの返済額まで含めて、返せる額を軸に一緒に整理していきましょう。
お気軽にお問合せください。
不動産に関するご相談は、LINEからお気軽にどうぞ。毎日7:00〜21:00、無料で対応しています。