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個人向け国債の相続税軽減案に批判ーーNISA組み入れは特別扱いとの声、富裕層の節税色強く|ONZA的市況ニュース

2026-08-03

個人向け国債の相続税軽減案に批判ーーNISA組み入れは特別扱いとの声、富裕層の節税色強く|ONZA的市況ニュース

記事内容:個人向け国債の税優遇案、期待と批判が交錯

2026.8.3の日経新聞で、個人向け国債の税優遇を巡る議論が報じられました。
財務省は2026年中にも個人向け国債の商品性見直しの具体案をまとめます。
与野党からは相続税を軽減する案が浮上しており、年末の税制改正で論点となる可能性があります。
家計の金融資産の底上げにつながるとの期待がある半面、投資対象の偏りや不公平な税優遇を招くといった批判が生じています。

経緯を確認します。
片山さつき財務相は7月14日の記者会見で「やっぱりやっていく時じゃないか」と述べ、個人向け国債の購入促進策を検討する姿勢を示しました。
国民民主党は7月、少額投資非課税制度(NISA)の対象に国債を加え、利子や売却益、相続税を非課税とする法案を参院に提出しました。
国債はいま、NISAの対象から外れています。
株式や投資信託などリスク資産に偏る対象商品を見直し、預貯金を多く持つ高齢者の投資を促す狙いです。
自民党の中西健治衆院議員も6月18日、個人向け国債にかかる相続税を減免すべきだと提起しました。
世代を超えて保有しやすくなり、高齢者層による購入を促進できるとの説明です。

与野党が税制優遇を求める背景には、国債に家計の資金を取り込む余地の大きさがあります。
日銀の資金循環統計によると、家計が持つ国債が発行残高に占める比率は、26年3月時点で1.7%にとどまります。
日銀の政策金利引き上げに伴って市場の金利水準が上がり、新たに購入する個人向け国債で得られる利率も上がりやすくなったため、預貯金などと比べて運用先として選ばれやすくなっています。
そして日銀は、異次元緩和からの脱却に伴い国債の買い入れ額の減額に動いています。
これまで大きな買い手だった日銀が買う量を減らすため、国債を安定して消化するには代わりの買い手が必要になり、家計マネーがその受け皿として期待されている、という流れです。

一方で、実現には課題が多いと記事は伝えます。
日本証券業協会の日比野隆司会長は7月29日の記者会見で「貯蓄から投資、企業に成長資金を流すというNISAの趣旨を踏まえ、慎重に考えていただく必要がある」と、慎重な検討を求めました。
NISAでは、対象となる株式や投資信託の売却益や配当にかかる所得税・住民税が非課税となる一方、相続税は非課税の対象に入っていません。
国債だけ相続税を軽くすれば、ほかの商品より選ばれやすくなり、特別扱いになるとの声が証券会社から出ています。
公平性の面でも課題があります。
相続税の課税対象となるのは、亡くなった方(被相続人)ベースで約1割にとどまります。
例えば配偶者と子ども2人の家庭では相続財産4800万円超から課税対象となり、配偶者は1億6000万円までか法定相続分に収まれば課税されません。
このため、軽減の恩恵は課税対象となる資産規模の大きい層に偏りやすく、富裕層優遇との批判につながっています。
節税商品として、高齢者を中心に国債を持つ動機が相当高まるとの見方もあります。
財務省の幹部も「個人向け国債だけ相続税を優遇する理由が見つからない」と話し、税収が大幅に減る可能性への懸念もあります。
相続税収は、資産価格の上昇を背景に25年度に3.8兆円と過去最高を更新しています。
全国銀行協会の加藤勝彦会長は「貸し出しの原資となる銀行預金から個人向け国債への資金シフトが過度に進めば、成長資金の供給に影響が出る可能性がある」と指摘しました。

記事は、相続税における資産ごとの扱いの差にも触れています。
相続税対策では、原則時価で評価される有価証券よりも、実勢価格より低く算定されるケースの多い不動産が有利とされます。
大和総研の是枝俊悟主任研究員は「金融資産と不動産の相続税上の扱いの差を是正するのであれば、NISAに入る資産全般への相続税の優遇を検討する余地がある」とみています。

ポイント:国債の税優遇案

👉 個人向け国債の相続税軽減案が浮上

財務省が2026年中に商品性見直しの具体案をまとめ、年末の税制改正の論点となる可能性があります。

👉 背景は家計マネーの取り込み

家計が持つ国債は発行残高の1.7%にとどまり、日銀の買い入れ減額で新たな受け皿づくりが課題です。

👉 特別扱い・不公平との批判

相続税の課税対象は被相続人ベースで約1割にとどまり、軽減の恩恵は富裕層に偏るとの指摘があります。

👉 不動産との扱いの差も論点

時価評価の有価証券に対し、不動産は実勢価格より低く算定されるケースが多く、扱いの差の是正論もあります。

不動産との関係:相続では、資産ごとに評価のルールが違う

今回の議論が不動産に関わるのは、記事の最後にある評価の差です。
相続税は、資産を金額に置き直した評価額をもとに計算されます。
有価証券が原則として時価で評価されるのに対し、不動産は実勢価格より低く算定されるケースが多い。
この差が、不動産が相続税対策で有利とされる理由になっています。
今回の国債優遇案は、金融資産の側にも税の軽減をつくろうという方向の議論であり、是枝氏の指摘のとおり、資産間の扱いの差をどうするかという論点につながっています。
制度がどう決まるかによって、相続の場面での資産の持ち方の比較が変わる可能性があります。
不動産を持つ方や相続を考える方にとっても、年末の税制改正に向けた議論は確認する価値のある動きです。
相続対策を考えるときは、評価額の差だけでなく、受け取ったご家族がその資産を持ち続けられるか、活用できるかを分けて確認することが大切です。

ONZAとしての整理

相続対策のご相談では、評価額の差だけで組み立てないことが大切だと考えています。
不動産の評価が実勢より低く算定されるとしても、その資産を家族が持ち続けられるかは別の問題だからです。
駅からの距離や周辺の募集状況といった実需に裏付けられ、家賃を維持しやすい物件であれば、相続した後も収入を生む資産として役割を果たしやすくなります。
逆に、節税の数字だけで選んだ物件は、入居者がなかなか決まらない、想定した家賃を下げざるを得ないといった形で、受け取る家族に負担を残す可能性もあります。
評価の差は入り口であって、物件そのものの力を確かめることが本質です。

もう一つ、今回の議論そのものが教えてくれることがあります。
税制は、議論によって変わり得るということです。
国債の扱いが変われば資産間の比較が変わるように、いまの優遇の枠組みを前提にした組み立ては、制度の変更で前提ごと動く可能性があります。
だからこそ、税制だけに依存せず、資産そのものの裏付けで選んでおくことが、制度変更の影響を相対的に受けにくい構えにつながります。
制度の行方は、年末の税制改正に向けた議論で順に確認できます。

まとめ

👉 記事内容の要点

財務省は2026年中に個人向け国債の商品性見直しの具体案をまとめ、与野党から相続税軽減やNISA組み入れの案が浮上している

背景には家計保有比率1.7%という取り込み余地と、日銀の買い入れ減額に伴う受け皿づくりの課題がある

相続税の課税対象は被相続人ベースで約1割にとどまり、特別扱い・富裕層優遇との批判や税収減への懸念が出ている

相続税対策では実勢価格より低く算定されるケースの多い不動産が有利とされ、資産間の扱いの差の是正論もある

👉 行動指針

制度は議論の途中と押さえ、年末の税制改正に向けた動きを確認する

相続対策は節税の数字だけでなく、家族が持ち続けられる資産かどうかで考える

不動産は評価額の差に加え、家賃と実需の裏付けまで含めて検討する

税制は変わり得るため、優遇の枠組みだけに依存しない資産の組み立てを心がける

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