相続税の課税割合が初の1割超えーー生前贈与と特例、いまからできる備え|ONZA的市況ニュース
2026-07-11

記事内容:路線価上昇で高まる相続税への備え
2026.7.11の日経新聞で、路線価の上昇を受けた相続税への備え方が解説されました。
国税庁が公表した2026年分の路線価(1月1日時点)は、全国の標準宅地の平均が前年比2.9%上昇し、5年連続のプラスでした。
路線価は、主要な道路に面する土地の1平方メートルあたりの価格で、国税庁が毎年7月に公表し、国土交通省の公示地価の8割が目安とされています。
路線価が上がれば土地の評価額も上がり、相続税の負担が増える可能性があるため、生前の対策が重要になります。
相続税は、引き継いだ財産の課税上の評価額に応じて税額を計算する仕組みで、土地の評価額は路線価に基づいて算定するのが一般的です。
相続財産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を上回ると課税の対象になり、例えば法定相続人が子2人なら基礎控除額は4200万円です(実際の税額は、債務などを差し引いた遺産総額や財産の内訳、相続人ごとの取得額で変わります)。
土地や株式など資産の価値上昇に伴い、課税対象になる人は増えています。
2024年に相続税の課税対象になった人の割合(課税割合)は死者全体の10.4%と、初めて10%を超えました。
想定より税額が増えるケースも相次いでいます。
記事で税理士が挙げる例では、都内の土地や現金を持つ母と子2人の家族で、3年前の試算では財産の評価額が約1億円・相続税額は約700万円の見込みでした。
ところが足元の地価上昇などで評価額は約1億5000万円に増え、税額は約2000万円へ膨らむ見込みだといいます。
備えの第一歩は、現状の把握です。
保有財産の棚卸しと、相続税額の試算がまず重要だと専門家は指摘します。
土地の評価額は、路線価×補正率×土地面積で概算できます。
路線価は国税庁のウェブサイトの路線価図で確認でき、例えば300Eと書かれた道路なら1平方メートルあたり30万円です。
間口10メートル・奥行き18メートル(180平方メートル)の土地なら、30万円×1.00(奥行きの補正率)×180平方メートルで、評価額は5400万円になります。
数値に併記されたアルファベットは借地権割合を示すもので、借地権がなければ考慮は不要です。
そのうえで、生前の備えの選択肢になるのが生前贈与と特例の準備です。
贈与の制度は近年大きく変わりました。
相続時精算課税は、累計2500万円の特別控除の範囲内なら贈与税がかからない制度で、2024年には年110万円の基礎控除枠が新設されました。
一般的な暦年課税の贈与では、亡くなる前の一定期間の贈与額を相続財産に足し戻す必要がありますが、相続時精算課税の基礎控除の範囲内の贈与は、タイミングを問わず加算が不要です。
ただ、老後には治療費など想定外の出費もあるため、まずは長生きした場合に必要な資金を見積もるライフプランニングが大切だと専門家は助言しています。
また、亡くなった人が住んでいた土地の評価額を最大80%下げられる小規模宅地等の特例は、生前の同居など適用の要件を満たす準備が肝心です。
住民票を移すだけでは足りず、同居の実態が問われます。
同居していなくても適用できる家なき子の扱いには、亡くなる前の3年間に持ち家に住んでいないことなどの条件があります。
ポイント:相続税への備え
👉 路線価は5年連続上昇、課税割合は初の1割超え
2026年分は全国平均で2.9%上昇し、2024年の相続税の課税割合は10.4%になりました。
👉 想定より税額が増えるケースも
税理士の試算例では、3年前に約700万円だった見込み税額が、地価上昇などで約2000万円に増えています。
👉 まずは財産の棚卸しと試算
土地の評価額は路線価×補正率×面積で概算でき、路線価は国税庁のサイトで確認できます。
👉 生前贈与と特例が選択肢に
相続時精算課税の年110万円枠や、自宅の評価を最大80%下げる小規模宅地等の特例があります。
土地・実家の相続に、いまからできる備え
今回の記事の流れを整理すると、備えは3つの段階に分けられます。
1つ目が現状の把握、2つ目が必要資金の見積もり、3つ目が生前贈与や特例の準備です。
不動産が絡む相続では、最初の把握がとくに効きます。
土地や実家の評価額は路線価の更新で毎年動き、財産全体に占める割合も大きくなりやすいためです。
路線価は地域や道路ごとに動きが異なるため、数年前に試算したことがある土地でも、最新の路線価図で確かめ直す価値があります。
評価額が分かれば、基礎控除を超えそうか、税額はどの程度になりそうかの見当がつき、その先の対策を落ち着いて選べるようになります。
不動産ならではの論点も押さえておきたいところです。
相続税は原則、現金で納めるため、財産に不動産の占める割合が大きいほど、納税資金をどう用意するかが論点になります。
生前のうちに、実家や土地を売る・貸す・持つのどれで引き継ぐかを家族で話しておくと、いざというときの選択肢が広がります。
自宅を家族が引き継ぐ予定なら、小規模宅地等の特例の要件を生前から確認して整えておくことが、記事の指摘のとおり大切です。
また、土地の評価額と実際に売れる価格は別物です。
路線価は税額を計算するための基準である一方、実際の売却価格は駅からの距離や土地の形、周辺の取引、買い手の需要で決まるため、両者は一致しないことがあります。
使う予定のない土地や空き家は、評価と市場価格の両方を早めに知っておくと、判断がしやすくなります。
ONZAとしての整理
相続の備えは、知っているかどうかで差がつく分野だと整理しています。
評価・納税資金・誰が住むか使うか。
この3つを同じテーブルに載せて確かめることが出発点で、贈与や特例といった制度の選択は、そのあとに自然と絞られてきます。
評価額の把握も、制度の準備も、家族の話し合いも、生前にしかできないことばかりです。
備えが早いほど選択肢は多く、売り急ぎや手続きの慌ただしさも避けやすくなります。
まず現状を知ることから始める価値が、これまで以上に上がっていると考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
2026年分の路線価は全国平均2.9%上昇と5年連続のプラスで、2024年の相続税の課税割合は10.4%と初めて1割を超えた
地価上昇で想定より税額が増えるケースがあり、税理士の試算例では3年で見込み税額が約700万円から約2000万円に増えた
土地の評価額は路線価×補正率×面積で概算でき、まずは財産の棚卸しと試算が重要
生前贈与は相続時精算課税の年110万円枠が使いやすくなり、自宅は小規模宅地等の特例(最大80%減)の要件準備が肝心
👉 行動指針
実家や土地の評価額を路線価の計算式で概算し、相続税の見込みを把握する
長生きした場合の必要資金を見積もったうえで、生前贈与の活用を検討する
自宅を引き継ぐ予定があるなら、小規模宅地等の特例の要件(同居の実態など)を生前から確認する
実家や土地を売る・貸す・持つのどれで引き継ぐか、家族で早めに話しておく
ご相談について
投資用でご検討の方
受け継いだ物件や実家を貸すという選択肢は、賃貸需要のある立地かどうかで成り立ちが変わります。
駅からの距離や周辺の入居者層によって、入居者の見つけやすさや家賃の維持しやすさが変わるためです。
想定家賃が周辺の相場に見合っているか、修繕や管理まで含めて、無理のない活用の形を一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
相続にともなう売却は、納税の期限がある分、時間との勝負になりやすいものです。
評価額と実際の売却価格の違いや、売買が成立するまでの時間も踏まえて、売り急ぎにならない進め方を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
実家に住む、住み替える、家族に引き継ぐ。
どの形でも、評価の把握と資金計画を早めに整えておくと、選択肢に余裕が生まれます。
暮らしやすさと無理のない計画を軸に、一緒に整理していきましょう。
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