ふるさと納税の点検と会社員の節税ーー"節税目的で不動産"はなぜ危ういか|ONZA的市況ニュース
2026-06-29

記事内容:ふるさと納税の制度が点検されている
2026.6.29の日経新聞(経済教室)で、ふるさと納税の制度の点検が論じられました。
ふるさと納税の寄付額は2024年度に1兆2000億円を超え、その成長を支えてきたのが、返礼品選びや支払いを簡単にする民間の仲介サイトです。
一方で、自治体がサイトに支払う手数料の高さが、以前から問題視されてきました。
仲介サイト経由の寄付に占める、広告の掲載料や決済手数料の割合(経費率)は11.5%、金額にして1379億円にのぼります。
注目されたのは、30社以上あるとされる仲介サイトのうち、大手4社のシェアが91%という寡占の実態です。
サイト運営は規模が大きいほどコストが下がりやすく、大手ほど強い交渉力を持つため、手数料が下がりにくいと見られています。
さらに総務省は、かつての携帯料金のように業務改善を命じる権限をサイトに対して持たず、有効な交渉カードを欠いているのが実情です。
2026年度の税制改正で地方税法が改正され、本年10月以降、4年かけて全経費率の上限が50%から40%へ引き下げられます。
ただ、サイトの経費や送料がすぐに下がらないと、自治体は返礼品に回す原資を削るしかなく、返礼品に回す割合(返礼率)は直近で25.2%と、上限の30%を下回っています。
制度の見直しが、寄付者にとっての魅力をかえって下げかねない構図です。
もう一つ見落とせないのが、ふるさと納税は国全体で見ればゼロサムだという指摘です。
ある自治体が寄付を集めれば、別の自治体の住民税が減る、いわば自治体間での住民税の取り合いだからです。
会計検査院も、住民税の控除額と経費の合計が寄付総額を863億円上回り、全体ではマイナスになっていると警鐘を鳴らしています。
制度の費用と便益を、多角的に検証すべき段階に来ています。
ポイント:ふるさと納税の点検
👉 寄付額は2024年度に1兆2000億円超
返礼品選びを担う民間の仲介サイトの存在が、成長を支えてきました。
👉 手数料の高さと大手4社の寡占が論点
経費率は11.5%、大手4社でシェア91%。
手数料が下がりにくい構図です。
👉 経費率の上限は40%へ、返礼率は低下
経費がすぐ下がらないと返礼品の原資が削られるため、返礼率は30%を下回る25.2%です。
👉 国全体ではゼロサムとの指摘も
自治体間の住民税の取り合いで、全体ではマイナスとの試算もあります。
不動産との関係:会社員の節税と、"節税目的で不動産"の危うさ
ふるさと納税は、寄付した分が税金から控除され、実質2000円ほどの負担で返礼品を受け取れる、会社員が使える"お得な制度"の一つです。
こうした"税の負担を軽くしたい"という入口で、会社員が考えやすいもう一つの手段が、不動産です。
会社員が自分で動かせる節税は限られ、金額の大きさが見えやすい代表例が、このふるさと納税と不動産(投資)になります。
不動産では、建物の減価償却などを経費に計上して不動産所得を会計上のマイナスにし、給与所得と合算(損益通算)することで、課税される所得を抑えられる場合があります。
ただし、ふるさと納税と違い、不動産は資産価格や借入、空室のリスクをともなう点が大きく異なります。
ここで大切なのは、"節税を目的に不動産を決めるのは危険"だということです。
節税になるからと勧められるまま、家賃では割に合わない物件を選んでしまうと、肝心の家賃収入が細く、資産として成り立たないことがあります。
減価償却による節税は、売却時の税負担として戻ってくる面もあり、償却が終われば効果も薄れます。
効果の大きさも、所得や物件によって変わり、誰にとっても得とは限りません。
順番はむしろ逆で、まず家賃と立地で"資産として成り立つか"を確かめ、節税はあくまで結果として付いてくるメリットとして見るのが安全です。
ONZAとしての整理
ふるさと納税も不動産も、"お得"や"節税"という言葉が先に立ちやすい分野です。
ただ、ふるさと納税が制度の枠内で損得を整える話であるのに対し、不動産は借入や空室、売却まで含めて、資産そのものを選ぶ話です。
見かけの数字のお得さだけで飛びつくと、とくに金額の大きい不動産では、家賃で回らない物件をつかみかねません。
不動産で見るべきは、まず家賃を支える立地と実需が続くかどうかです。
具体的には、駅距離や通勤・通学のしやすさ、周辺の単身世帯やファミリー層の厚み、地域の賃金に家賃が見合っているか、賃貸の入退去が一定あるか、といった点です。
そこが成り立っていれば、節税はそれに付いてくるおまけとして、無理なく受け取れます。
まとめ
👉 記事内容の要点
ふるさと納税は2024年度に寄付額1兆2000億円超で、仲介サイトへの手数料の高さと、大手4社(シェア91%)の寡占が論点
2026年度の税制改正で全経費率の上限が40%へ下がり、返礼率は30%を下回る25.2%まで低下
国全体で見ればゼロサム(自治体間の住民税の取り合い)で、会計検査院は全体でマイナスと警鐘
会社員が自分で動かせる節税は限られ、金額が大きく見えやすい代表例がふるさと納税と不動産
👉 行動指針
ふるさと納税は、控除の上限や返礼率、手数料の動きを見ながら、無理なく使う
不動産は"節税になるから"で決めない=節税目的の物件選びは危険
まず家賃と立地で資産として成り立つかを確かめ、節税は結果として付くメリットと考える
お得・節税という言葉だけで、制度や物件に飛びつかない
ご相談について
投資用でご検討の方
不動産の節税は、物件が家賃で成り立っていてこそ意味を持ちます。
節税の効果だけでなく、想定家賃が実需に見合うか、立地に賃貸需要が続くか、借入や収支に無理がないかまで含めて、資産として成り立つ組み立てを一緒に整理いたします。
売却をご検討の方
減価償却を使ってきた物件は、売却時の税負担まで含めて手残りが変わります。
価格だけでなく、保有中の収支や税、売買が成立するまでの時間も踏まえて、出口の進め方を一緒に確認します。
居住用でご検討の方
住まいは、節税や制度の損得よりも、暮らしやすさと無理のない返済計画を軸に考えると、長く納得して住めます。
住宅ローン控除なども含めて、ご希望に合わせて整理していきましょう。
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