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農地の相続分散に歯止めーー農水省が信託の解禁を検討、所有者不明・不在は全国の農地の2割|ONZA的市況ニュース

2026-08-26

農地の相続分散に歯止めーー農水省が信託の解禁を検討、所有者不明・不在は全国の農地の2割|ONZA的市況ニュース

記事内容:農地の相続分散に歯止め、農水省が信託の解禁を検討

2026.8.26の日経新聞で、農林水産省が農地を農家以外の親族に譲りやすくする検討に入ったと報じられました。
念頭にあるのは信託の解禁です。
相続で権利が分散して貸借などの合意形成が進まない事態を避け、耕作放棄地が増えないようにする狙いがあります。
農地の権利移転を規制する農地法の改正を視野に入れ、贈与や相続の際の納税猶予の対象拡大につながる可能性もあるため、2027年度の税制改正要望に反映されます。
改革の詳細は年末にかけて政府・与党内で調整される見通しです。

現在、農地を親から子などに生前贈与できるのは、相手が自ら営農している場合に限られます。
今回検討されるのは、農家以外の親族にも権利を譲れる新たな仕組みです。
有力とされるのが信託の解禁で、契約を結べば管理や運用、処分の権利を移転でき、認知症などによる将来の判断能力の低下にも備えられます。
農業に理解のある相続人に生前から委ねられれば、意欲のある担い手への貸し付けなどを円滑に進められると記事は伝えています。

背景には、農地が動かせなくなる構造があります。
現行法では所有者が亡くなると、通常の相続と同様に、営農の有無を問わず配偶者や子どもなどに権利が移ります。
農地は一般に宅地より資産価値が低いことから、十分な協議がないまま多数の相続人に権利が分散するケースが少なくありません。
そして農地を貸す場合は権利所有者の過半、売る際は全員の合意が必要です。
親族間で協議が進まなかったり、相続人が不明確だったりすると農地は塩漬けになり、耕作放棄に至るリスクが高まります。
農地の貸借で多い農地中間管理機構(農地バンク)を通じた契約は10〜15年の期間が中心で、相続を経て塩漬けになると更新がままならず、生産基盤が失われる可能性もあります。

担い手の減少も進んでいます。
農業経営体の数はこの20年ほどで6割減り、個人経営の農家のうち7割の約70万人が65歳以上で、平均年齢は68歳に迫ります。
相続する子世代が非農家である比率は高まっており、農業への関心が低い人が相続で農地を保有するケースは増える流れにあります。
農水省によると、2025年3月末時点で全国の農地の2割にあたる106万ヘクタールで、所有者が不明か近隣に不在の状態でした。
現役の担い手に集約して生産性を上げる取り組みの障壁になっています。

一方で、信託の解禁は特効薬ではないとの指摘も紹介されています。
東京大学の安藤光義教授は「農地は負の不動産になりやすく信託の受け手が出てくるか懸念がある。
農業で高い収益をあげられるようにしなければ耕作放棄は減らせない」と指摘します。
記事は、農地制度の改革と合わせて担い手の確保や農産品の需要開拓も重要になると結んでいます。

なお、同日の用語解説によると、農地法は1952年制定で、農地の権利移動や転用を許可制とし、耕作する意向がない人の権利取得は認めていません。
売買や貸借は原則として各自治体の農業委員会が許可し、優良農地の住宅や工場への転用は原則認められない一方、市街地などでは転用が原則許可されます。
耕地面積は1961年のピーク時から3割減り、2025年時点で424万ヘクタールとなっています。

ポイント:農地相続を巡る現在地

👉 農水省が信託の解禁を検討

農家以外の親族にも農地の権利を譲れる仕組みを探り、農地法改正を視野に、2027年度の税制改正要望に反映されます。

👉 相続で権利が分散すると動かせない

貸す場合は権利所有者の過半、売る場合は全員の合意が必要で、協議が進まないと塩漬けになり耕作放棄につながります。

👉 全国の農地の2割で所有者が不明・不在

2025年3月末時点で106万ヘクタールに上り、担い手への集約と生産性向上の障壁になっています。

👉 信託は特効薬ではないとの指摘も

農地は負の不動産になりやすく受け手が出てくるか懸念があるとして、収益性の向上や担い手確保の必要性が指摘されています。

動かせない不動産にしないーー実家・自宅の相続に、生前からできる備え

この記事の核心にある、権利が分散すると動かせなくなるという構造は、農地に限った話ではありません。
住宅でも、共有名義の不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です。
実家を相続で兄弟の共有名義にしたまま次の相続を迎えると、共有者はさらに増えます。
売却のように全員の同意が必要な判断のほか、賃貸や修繕も内容に応じて共有者間の調整が要ります。
協議がまとまらないまま時間が過ぎ、誰も住まない家が残る。
農地と住宅で制度は異なりますが、相続で権利者が増えるほど合意形成が難しくなるという構造は共通で、空き家が生まれる典型的な経路のひとつもこの形です。

記事で検討されている信託は、住宅や宅地ではすでに信託契約(いわゆる家族信託)として使える仕組みです。
農地は農地法の規制で権利の移転に許可が必要なため、今回はその解禁自体が論点になっています。
管理や処分の権限をあらかじめ家族に託しておくことで、認知症などで判断能力が低下した後も、託された家族が賃貸や売却、修繕の判断を進められます。
生前からできる備えには、次のような選択肢があります。

手段できること注意点
遺言誰にどの財産を引き継ぐかを指定できる形式に不備があると無効になりえます
生前贈与元気なうちに名義を移せる贈与税や登記などの費用の確認が必要です
家族信託管理・処分の権限を託し、認知症にも備えられる契約の設計は専門家と行うのが現実的です

どの手段が合うかは、家族構成や財産の内容、何を優先したいかによって変わります。
大切なのは、共有名義を安易に増やさないこと、そして判断できるうちに家族で方針を話しておくことです。
合意形成は、関わる人数が増えるほど、そして時間が経つほど難しくなります。

ONZAとしての整理

今回の記事で印象的なのは、農地が動かせなくなる理由として、"宅地より資産価値が低いことから十分な協議がないまま分散する"と書かれている点です。
裏を返せば、需要に裏付けられた不動産は、相続の場面で選択肢が多いということです。
住みたい人・借りたい人がいる立地の家なら、売る・貸すの相手を探しやすく、相続人が検討できる選択肢を持ちやすくなります。
安藤教授の言う、受け手が出てくるかという懸念は、需要のない不動産に共通する問題です。
不動産を持つ・選ぶときに、将来も需要が続くかという目で立地を見ることは、自分のためだけでなく、次の世代に選択肢を残すことでもあります。

もう一つは、順番の問題です。
記事の信託が、生前から委ねておく仕組みであるように、相続の備えには、判断能力があるうち、そして相続人が増える前にしか選べないものが多くあります。
本人の意思で遺言や家族信託を整えることは、相続が起きた後にはできません。
相続後は相続人全員での遺産分割協議が中心になり、関わる人が多いほど時間がかかりやすくなります。
実家や自宅について家族で話すのは気が重いテーマですが、今回のような制度改正のニュースは、その話を切り出すきっかけに使えます。
方針が決まっていなくても、現状の名義と、家族それぞれの考えを確かめておくだけで、いざというときの動きやすさは変わります。

まとめ

👉 記事内容の要点

農水省は農地を農家以外の親族に譲りやすくする検討に入り、信託の解禁が有力で、農地法改正を視野に年末にかけて調整

農地は貸すのに過半、売るのに全員の合意が必要で、相続で権利が分散すると塩漬けになり耕作放棄につながる

全国の農地の2割にあたる106万ヘクタールで所有者が不明・不在となり、担い手への集約の障壁になっている

信託は特効薬ではなく、受け手の確保や農業の収益性向上が課題との指摘もある

👉 行動指針

権利の分散で動かせなくなる構造は住宅も同じと押さえ、実家・自宅の相続で共有名義を安易に増やさない

遺言・生前贈与・家族信託は判断能力があるうちにしか整えられないと理解し、早めに家族で方針を話す

まず現状の名義と家族それぞれの考えを確かめることから始める

不動産は将来も需要が続くかという目で持ち・選び、次の世代に選択肢を残す

ご相談について

投資用でご検討の方

賃貸需要に裏付けられた物件は、保有中の収支だけでなく、将来の相続の場面でも選択肢が残ります。
通勤・通学の利便や周辺の募集状況といった需要の見極めから、一緒に確認いたします。

売却をご検討の方

相続した実家や共有名義の物件は、動かせるうちに方針を決めることが大切です。
保有物件の状況とご意向に合わせて、売る・貸す・持ち続けるの選択肢を一緒に確認します。

居住用でご検討の方

住まいは、暮らしやすさと無理のない資金計画で選ぶのが基本です。
ご実家の扱いも含めた住み替えのご相談も、一緒に整理していきましょう。

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