2025年国勢調査・人口309万人減ーーエリアは何で選ぶ?|ONZA的市況ニュース
2026-05-30

記事内容
2026.5.30の日経新聞で、2025年国勢調査の速報値が報じられました。
総務省が5月29日に発表した内容によると、日本の総人口は1億2304万9524人で、5年前から309万6575人(2.5%)減りました。
減少幅は過去最大で、国連推計との比較ではエチオピアに抜かれ世界11位から12位に後退しています。
減少は政令市にも及びました。
20の政令指定都市のうち13市が減り、横浜と広島は戦後初のマイナスです。
都道府県別で増えたのは東京と沖縄のみで、千葉・埼玉は1920年の調査開始以来初、神奈川・愛知は戦後初の減少となりました。
背景には、地方の中核都市が首都圏への人口流出を防ぐ"ダム"の役割を果たせなくなりつつある構図があります。
広島県の転出超過は5年連続で全国ワーストで、広島大の卒業・修了生の就職先は18年度以降、東京が広島を上回り続けています。
もっとも、東京1強の中にも変化の兆しがあります。
23区全体は+2.3%で増えた一方、千代田・渋谷・目黒の3区は減少に転じました。
東京カンテイによると4月の23区の分譲マンション賃料(分譲マンションが賃貸に出された場合の賃料)は1平方メートルあたり5087円、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では6149円。
70㎡換算では、23区平均で約35.6万円、都心6区では約43万円となり、広い間取りを必要とする子育て世帯では郊外を選ぶ動きが出やすいと指摘されています。
他方で、晴海フラッグなど大規模マンションが相次いだ中央区は+7.53%・18万1918人で戦後最多を記録しました。
千代田区は2026年度から、オフィスビルの住宅転用補助などで"アフォーダブル住宅"の供給に乗り出します。
さらに、人口が増えた161市町村を見ると、共通項が浮かびます。
千葉県印西市は+7.6%で、北総線の運賃下げ、データセンター集積、駅前送迎保育ステーション整備が後押ししました。
TSMC進出の熊本県菊陽町(+2.8%)、外国人就労者の流入で+13.9%となった北海道占冠村(外国人比率2割超)など、"交通アクセス・産業誘致・子育て支援・外国人流入"のいずれかが効いた地域が増加組に並びました。
元総務相の増田寛也氏は「日本の人口は毎年100万人減少する時期に入る。
次回30年の国勢調査で総人口は1億1000万人台になるだろう」と指摘し、下水道を浄化槽による個別処理に切り替えるなど"スマートシュリンク"(賢い縮小)の必要性も提起しています。
ポイント
👉 全体は縮みつつ、東京一極集中と局所的な増加が同時進行
総人口は過去最大の減少幅となった一方、増えた自治体は161にとどまり、地域差が一段と鮮明になりました。
👉 家賃高騰が子育て世帯の転出圧力になっている可能性
千代田・渋谷・目黒が減少に転じました。
都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の分譲マンション賃料は6149円/㎡(70㎡換算で約43万円)で、広い間取りを必要とする世帯では、家賃水準が郊外シフトの一因になっている可能性が指摘されています。
👉 増えた自治体で目立つのは交通・産業・子育て・外国人
増加した161市町村を分析すると、交通アクセス、産業誘致、子育て支援、外国人流入といった要因が目立ちます。
印西は交通と子育て支援、菊陽はTSMC関連の産業集積、占冠は外国人の流入と、効いた要因は地域ごとに異なります。
👉 行政・インフラの"スマートシュリンク"が中期テーマに
下水道の個別処理化など、人口減を前提に行政サービスとインフラを賢く縮小する発想が、地域の将来像と長期保有の判断軸にも関わってきます。
不動産との関係
インフラ維持余力は、将来の生活利便性、修繕負担、買い手層の厚みに影響するため、不動産の長期保有判断にも関わってきます。
価格・賃料の面では、都心マンション賃料が高水準で粘っていることが確認されました。
ただし、その家賃水準が千代田・渋谷・目黒のような一部の区でファミリー層の転出を促す一因になっている可能性も指摘されており、賃料の上昇がそのまま地価や需要を一方的に押し上げ続けるわけではない、と考えられます。
需要の面では、エリアごとの"中身"の差がより重要になっています。
増えた自治体で目立った交通・産業・子育て・外国人という要因は、通勤需要、単身・共働き世帯の流入、駅や職場への近さ、地域賃金、賃貸回転率、子育て世帯の住宅ローン実需といった具体的な需要を読むうえで有効な軸です。
逆に、これらの要素を欠いた地域では、人口減・世帯縮小・インフラ縮小が重なり、長期の賃貸需要や出口の流動性に影響する可能性もあります。
投資マインドの面では、都市部か郊外かだけでなく、賃料水準、世帯構成、雇用、交通、住宅供給の状況を合わせて見る必要があります。
都市部であっても家賃高騰でファミリー層の転出圧力が生じる地域があり、郊外・地方でも条件が揃えば人が集まります。
需要を支える要素の持続性で地域を読む姿勢が、長期保有の前提として大切になってくると考えられます。
また、この"需要の中身で地域を読む"見方は、私たちが主に扱う関西圏でも同じです。
人口・雇用・交通・教育環境など需要を支える要素が続くかどうかが、長期保有の判断軸になります。
ONZAとしての整理
今回の調査が示しているのは、エリア評価では、雇用・交通・子育て環境・外国人を含む人の動きが継続するかを確認する段階に入った、ということだと整理しています。
そのエリアに人が集まる理由(雇用・交通・子育て環境・外国人を含む人の動き)が続くかどうか。
長期保有を前提にした投資用不動産では、この"続く理由があるか"が、賃料維持と出口の流動性の両方を支える土台になります。
また、人口増加エリアでは、増加要因の継続性、物件単位の収支、出口時の買い手層をあわせて確認します。
継続的な雇用、交通改善、住宅供給、行政サービスが伴っているかを確認することで、増加が一過性か続くものかを見分けることができます。
人口の増減だけでなく、その背景にある雇用、交通、住宅供給、行政サービスの持続性を確認する。
これが、人口減と一極集中が同時に進む時代のエリア選びの軸だと考えています。
まとめ
👉 記事内容の要点
総人口は1億2304万人、5年で309万人減(2.5%減)と過去最大の減少幅
20政令市中13市が減少、横浜・広島は戦後初のマイナス
都道府県で増えたのは東京・沖縄のみ、千葉・埼玉は調査開始以来初の減少
23区全体は+2.3%だが、千代田・渋谷・目黒は減少に転じた(家賃高騰が一因となった可能性)
増えた自治体で目立つ要因は"交通・産業誘致・子育て支援・外国人流入"
👉 行動指針
エリアは"都心か郊外か"のラベルだけでなく、人口・雇用・交通・子育て・外国人など需要を支える中身の持続性で見る
人口増の自治体でも、増加要因が継続的な雇用・交通改善・住宅供給・行政サービスを伴っているかを確認する
都心の家賃高騰はファミリー層の郊外シフトを促す面があるため、ターゲット層と立地のミスマッチを避ける
長期保有の前提として、行政サービス・インフラの維持余力(スマートシュリンクの影響度)もエリア比較の材料に加える
ご相談について
投資用でご検討の方
人口減と一極集中が同時に進むなかで、長期で家賃を維持しやすいエリアを見極める軸を一緒に整理いたします。
駅や需要のある場所からなるべく近いか、供給が増えにくいか、金利+1〜2%でも保有継続できるか、空室3〜6カ月に耐えられるか、賃料維持力、出口時の買い手層、団信カバー率といった項目を、需要を支える中身からあわせて確認していきましょう。
売却をご検討の方
保有物件のあるエリアの人口動態や需要の持続性を踏まえ、いま売るべきか保有を続けるべきかを、買い手の属性(個人の実需・投資家・法人)の厚みとあわせて整理いたします。
居住用でご検討の方
ご家族の暮らし方・通勤・教育環境に加えて、長期で資産性を保ちやすいエリアの条件を、ローン・団信を含めた資産形成の視点で一緒に考えていきましょう。
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