京都市

京都市のハザードマップと防災リスクを住む前に確認するーー桂川・鴨川・宇治川、山裾の土砂災害と地震の視点

住まいは長く暮らす場所だからこそ、購入や賃貸の前にハザード情報を確かめておきたいところです。
京都市は東山・北山・西山に囲まれた盆地で、桂川・鴨川・宇治川などの川が流れ、市内には活断層もあります。
同じ区の中でも、川に近いか、山のふもとかによって、確認すべき項目が変わります。

この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市のハザードマップの見方と、住所ごとに確認したい防災リスクを整理いたします。
数値や制度は2026年10月時点で確認した情報です。

京都市のハザードマップは「京都市防災情報マップ」で確認する

京都市のハザードマップは、2026年6月から「京都市防災情報マップ」に移行しました。
水防法の改正を受けて、新しい洪水ハザードマップと内水ハザードマップが作られ、パソコンやスマートフォンで確認できます。
主な特徴は次のとおりです。
○ 洪水:これまでの大きな川に加えて、中小河川も対象になった
○ 内水:下水道や水路からあふれる浸水や、アンダーパス・地下街の浸水に対応した内水ハザードマップを新たに作成
○ 重ね合わせ:洪水や土砂災害などの情報を重ねて、複合的なリスクを確認できる
○ 避難経路:マップ上で経路を検索し、避難の道筋を検討できる

このほか、土砂災害警戒区域や、断層ごとの地震の震度も確認できます。
確認は、物件の場所を地図上で探す→洪水・内水・土砂災害・地震の想定を見る→建物の階数・構造と避難経路を確かめる、の順に進めると整理しやすくなります。

洪水のリスクーー大きな川と中小河川の両方を見る

京都市内の桂川・宇治川は国が、鴨川・高野川などは京都府が管理しています。
国は2017年6月に、想定し得る最大規模の降雨(おおむね1000年に1回程度の大雨)に対応した洪水浸水想定区域を公表し、京都府も2025年に中小河川の浸水想定区域を指定しました。

防災情報マップでは、洪水について次の4つを確認できます。
○ 浸水深:想定最大規模の大雨で川があふれた場合の浸水の深さ
○ 浸水継続時間:水深50cm以上の浸水が続く時間
○ 家屋倒壊(氾濫流):堤防の決壊などで、木造家屋が倒壊するおそれがある区域
○ 家屋倒壊(河岸侵食):川沿いで、激しい流れや河岸の侵食により家屋が倒壊するおそれが高い区域

2013年9月の台風18号では、全国で初めての大雨特別警報が発表され、京都市内でも床上浸水608件・床下浸水811件の被害が出ました(京都市の総括・同年12月5日現在)。
桂川沿いの嵐山なども被害を受けています。

ただし、「浸水想定区域に入っている=住んではいけない」という単純な話ではありません。
想定される浸水深と浸水が続く時間、建物の階数、避難の経路を具体的に確かめることが大切です。
マンションの上の階でも、浸水が長引けば建物の設備が使えなくなるなど暮らしへの影響が出ることがあるため、浸水継続時間もあわせて見ておきましょう。

内水のリスクーー駅に近い市街地でも確認する

大きな川があふれなくても、短時間の強い雨で下水道や水路の排水が追いつかず、マンホールなどから水があふれることがあります(内水氾濫)。
京都市上下水道局は、2023年度末の下水道などの整備状況をもとに、想定し得る最大規模の降雨(1000年に1回以上の確率・1時間に147mm)のときの浸水を計算した「雨水出水浸水想定区域図」を作成しています。

内水の想定は川の洪水の想定とは別の情報として示されるため、防災情報マップで内水の情報もあわせて確認しましょう。
川から離れた市街地や駅に近い物件でも、確認が欠かせません。
市は、川があふれた場合や雨の降り方によっては、色が付いていない場所でも浸水することがあるとしています。
京都府の「マルチハザード情報提供システム」では、過去に内水で浸水した区域(浸水実績)も確認できます(すべての実績ではありません)。

土砂災害のリスクーー山のふもとの7区に指定がある

京都市の山のふもとには、京都府が指定する土砂災害警戒区域があります。
府が公表している指定箇所の数は次のとおりで、上京区・中京区・下京区・南区には指定も指定予定もありません。

区土砂災害警戒区域の指定箇所数
右京区1,015か所
左京区598か所
北区365か所
伏見区208か所
西京区168か所
山科区126か所
東山区65か所

京都市内では合わせて2,545か所です(伏見区・西京区は隣接市にまたがる箇所を含む)。
区域は2種類あります。
○ 土砂災害警戒区域:土砂災害のおそれがあり、住民に危害が生じるおそれのある区域(マップ上は黄色)
○ 土砂災害特別警戒区域:警戒区域のうち、建物が壊れて住民に著しい危害が生じるおそれのある区域(マップ上はオレンジ色)

特別警戒区域では、建物を建てる・建て替えるときの構造の規制や、住宅の分譲などを目的とする開発の許可制があります(土砂災害防止法)。
また、2028年以降に入居する新築住宅は、特別警戒区域などの災害レッドゾーン内にあると住宅ローン控除の対象外になります(建替えや中古住宅の取得などは対象)。
フラット35子育てプラスの金利引下げも、レッドゾーン内の新築住宅は対象外です。
山裾の造成地では、擁壁やがけの状態も見ておきましょう。
居住誘導区域とハザードの関係は、別記事「
京都市の再開発と都市計画」で整理しています。

地震のリスクーー花折断層など市内の活断層

京都市の第4次地震被害想定(2023年3月)では、市内で最も大きな被害をもたらすと想定されるのが、花折断層の地震(マグニチュード7.5)です。
市街地のかなり広い範囲で震度6強、左京・東山・北・上京・中京・下京・山科の各区の一部で震度7が想定されています。
このほか、桃山〜鹿ケ谷断層や樫原〜水尾断層などの地震や、南海トラフ地震(南区・伏見区の一部で震度6強)も想定されています。

区ごとの地震ハザードマップは、その区で被害が最も大きくなると想定される地震の震度を示しています(例えば、左京区・中京区は花折断層、西京区は樫原〜水尾断層)。
活断層の位置や液状化の危険度は、京都府の「マルチハザード情報提供システム」で確認できます。

地震への備えは、建物側の確認も大切です。
昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した木造住宅は、京都市の無料の耐震診断を利用できます(2026年度は12月25日まで、予算がなくなり次第終了)。
中古住宅の見方は、別記事「
京都市で中古住宅を検討する際のポイント」で整理しています。
検討中の物件の住所でどのような想定があるかの確認は、購入・賃貸を問わず
LINEからお気軽にどうぞ。

契約前に確認したいことーー重要事項説明・保険・避難経路

重要事項説明
不動産の取引では、2020年8月28日から、水害(洪水・内水・高潮)のハザードマップ上で物件の位置を示すことが、重要事項説明の義務になっています。
土砂災害警戒区域に入っているかどうかも、重要事項説明の対象です。
さらに京都府の「災害からの安全な京都づくり条例」は、不動産会社に、府が提供する災害の危険情報(特定災害危険情報)を把握することを義務づけています。
国は不動産会社に、浸水想定区域の外だからといって水害のリスクがないと誤解されないよう配慮することを求めており、説明を受ける前に自分でもマップで確かめておくと安心です。

火災保険の水災補償
損害保険料率算出機構が2023年6月に届け出た改定で、それまで全国一律だった火災保険の水災の料率は、市区町村ごとに1等地〜5等地の5区分に分かれました(参考純率)。
同機構の検索では、京都市は伏見区が2等地、ほかの10区が1等地です。
ただし等地は市区町村単位の目安で、どの等地でも水害は起きているため、補償は住所ごとのハザード情報をもとに選びましょう(実際の保険料は保険会社や契約内容で異なります)。

避難経路
最寄りの避難所までの経路は、防災情報マップの経路検索も使いながら、実際に歩いて確かめておくと安心です。

まとめ:京都市で住まいを選ぶ前のハザード確認チェックリスト

次の順に確認していくと整理しやすくなります。
○ 京都市防災情報マップ(2026年6月〜)で物件の場所を表示し、洪水・内水・土砂災害・地震の想定を重ねて見る
○ 洪水は浸水深に加えて浸水継続時間と家屋倒壊の区域を、内水は川から離れた市街地でも確認する
○ 山のふもとでは、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の内外を確認する(指定は7区で計2,545か所)
○ 地震は区ごとの想定震度を見て、建物の耐震性も確かめる(花折断層の地震で一部震度7の想定)
○ 重要事項説明の前に自分でも確認し、火災保険の水災補償は住所のリスクで選ぶ
○ 避難所までの経路を実際に歩いて確かめる

これらは「リスクがある場所には住めない」という話ではありません。
どのような想定があるかを知ったうえで、建物の階数や構造、避難の方法まで含めて選ぶための確認です。

京都の街全体の特徴は、別記事「京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。
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