京都市

京都市の住宅は資産価値を維持できる?中心部と周辺エリア別に将来性を整理

京都市の中古マンションは、同じ60〜80㎡でも、駅によって価格の中央値に約4倍の差があります。
烏丸御池駅の徒歩圏では8,380万円、JR山科駅の徒歩圏では2,135万円です(SUUMO掲載価格の中央値・集計期間2025年7月1日〜2026年6月30日・各駅徒歩15分以内。成約価格ではありません)。
京都で資産価値を考えるときは、「京都だから」ではなく、どの駅の徒歩圏で、どの路線を使える、どんな物件かまで絞り込むことが出発点になります。

もう一つの前提は、景観政策による高さ規制で新築の供給が限られ、中古が流通の中心になっていることです。
この記事では、京都・滋賀エリアを専門とするONZA Estate代表の飯田の視点から、京都市の市場動向と、中心部・周辺エリア別の資産性を整理いたします。
住まいは暮らしに合うことが第一ですが、長く持つものだからこそ、将来の売りやすさ・貸しやすさまで見ておくと安心です。

京都市全体の市場動向ーー人口は減り、世帯は増え、市平均は振れる

令和7年国勢調査の速報値では、京都市の人口は1,431,713人と前回調査から2.2%減った一方、世帯数は754,432世帯と3.4%増えています。
人口が増えたのは下京区(+2.1%)・中京区(+0.8%)・南区(+0.8%)の3区のみで、山科区(-5.0%)・西京区(-4.5%)・東山区(-3.8%)は減少幅が大きくなっています。

住宅地の地価は上昇しています。
2026年の地価公示では京都市の住宅地は前年比+3.4%で、区別の平均は上京区の45.9万円/㎡から山科区の14.9万円/㎡まで約3倍の差があります。
中古マンションは、近畿レインズの2026年7月度の成約データで、京都市の成約㎡単価が69.15万円/㎡(前年同月比+34.1%)、成約価格の平均が4,218万円でしたが、成約件数は132件と前年同月比13.7%減で、6か月連続の減少です。
京都市の成約㎡単価は直近13か月で51.58万円から72.72万円まで動いており、取引が細るなかで高額な成約が平均を押し上げる月もあります。

つまり京都市の「市平均」は、その月にどの立地・どの築年の物件が成約したかで大きく変わり、単月の上昇だけで判断はできません。
需要が厚いのはどの駅か、供給が増えにくいのはどこかで判断する必要があります。

供給が限られる街ーー高さ規制と新築の少なさが中古市場に影響する

京都の資産性で最も特徴的なのは、供給側の条件です。
2007年の新景観政策で市街地の建物の高さは最高でも31mに制限され、都心でも高層マンションは建てられません。
不動産経済研究所の調査では、2025年の近畿圏の新築分譲マンション発売戸数16,922戸のうち京都市部は2,615戸で、前年から70.0%増えた年でもこの規模です。
2026年上半期は924戸と前年同期比30.4%減で、新築の選択肢が常に多いわけではありません。

新築が限られると、住み替えや購入の受け皿は中古に向かいます。
需要の中心である駅に近いほど同じ条件以上の立地は地理的に限られ、新しい供給の余地も小さいため、駅徒歩圏の既存物件には需給面の下支えになり得ます。
ただし実際の売りやすさは、駅距離・路線・築年・管理状態・価格設定によって物件ごとに異なります。

一方で、供給を増やす方向の見直しも始まっています。
2023年4月の都市計画見直しでは、京都駅南側のらくなん進都(鴨川以北)で容積率が400%から最大1,000%に引き上げられ、一定の条件のもとで高さ規制が撤廃されました。
京都駅前についても、有識者会議の意見まとめ(2026年4月提出)を受けて市が高さ規制の見直しを検討しています(2026年9月時点では決定ではありません)。
緩和エリアでは新しい供給との競合、それ以外の駅徒歩圏では既存物件の希少性、と見え方が分かれます。

中心部(上京・中京・下京・東山)ーー最も高く、最も厚い需要

区名は広い傾向をつかむ目安で、判断の中心は駅徒歩圏と利用できる路線です。
中心部の4区は、市内で最も価格が高いエリアです。
SUUMO掲載価格の中央値(60〜80㎡・駅徒歩15分以内、以下同じ条件)は、烏丸御池駅の徒歩圏で8,380万円(40〜60㎡は4,980万円、80〜100㎡は12,800万円)、JR京都駅の徒歩圏で4,630万円です。
地下鉄2路線に阪急・京阪・JRが重なって移動の選択肢が多く、オムロンなど本社を置く企業、大学、行政と需要源が複数あります。
人口が増えた3区のうち下京・中京がここに含まれ、世帯数も下京区+6.7%・中京区+6.3%と伸びています。
検討者の属性が幅広いことは、売却・賃貸時の流動性につながります。

価格水準がすでに市内で最も高いため「割安に買える」機会は多くなく、無理のない予算で選ぶことが前提になります。
東山区は観光地としての性格が強く人口も減少が続いており、観光客や宿泊施設の多さは住まいの需要とは別のものとして住環境を確認してください。

周辺エリア(北・左京・右京・西京)ーー区の南側は中心部と地続き、北・西は駅で選ぶ

北区・左京区の南側は、中心部と変わらない利便性を持つ住宅地です。
掲載価格中央値は出町柳駅の徒歩圏で5,980万円、北大路駅の徒歩圏で5,280万円と、中心部に次ぐ水準です。
ただし同じ区でも北へ行けば山あいの集落になり、駅からバスに乗る立地では検討者が絞られます。

西側の右京区・西京区は、阪急京都線・地下鉄東西線・JR嵯峨野線が軸です。
掲載価格中央値は阪急の桂駅の徒歩圏で4,739万円、地下鉄東西線の太秦天神川駅の徒歩圏で3,700万円と、中心部より抑えめです。
大阪方面へ阪急で直通できる桂と、中心部へ地下鉄で出やすい太秦天神川では、想定する通勤先が変わります。
人口は西京区-4.5%・右京区-2.8%と減少が続いており、洛西ニュータウンでは市の洛西“SAIKO”プロジェクト(2023年開始)のもと、タウンセンターの再整備(2028年度ごろの完成を目標)など、まちの更新が進んでいます。
価格が抑えめで広さにゆとりを持たせやすいのは魅力ですが、駅から離れた立地は検討者が絞られやすいため、駅徒歩圏かどうかで分けて見ることをおすすめします。

周辺エリア(南・伏見・山科)ーー京都駅の南側と東側で、価格と将来性が分かれる

南区は、人口+0.8%・世帯+8.4%と増加し、住宅地の地価も+6.4%と区別で上位の伸びです。
京都駅の南側では、2023年に京都市立芸術大学が崇仁地区へ移転し、隣接地では学生寮や賃貸住宅を備えた「共創HUB京都」が2028年春の開業を予定しています。
八条口側でも、日本電気硝子が本社を移す複合ビルが2028年に開業予定で、任天堂などの本社企業やらくなん進都のオフィス集積とあわせて、職場と住まいの両方で人を呼び込む更新が続いています。
掲載価格中央値はJR桂川駅の徒歩圏で5,135万円、JR西大路駅の徒歩圏で2,980万円と、同じ南区でも駅で差があります。

伏見区は人口270,182人と11区で最多で、京阪・近鉄・JR奈良線・地下鉄烏丸線が並走します。
掲載価格中央値は竹田駅の徒歩圏で3,539万円、丹波橋駅の徒歩圏で2,780万円と、中心部の半分以下の水準です。
「どの路線で、どこへ通うか」で検討者の属性が変わり、乗換なしで京都駅や大阪へ出られるかが資産性の見え方を左右します。

山科区は、新快速も停まるJR山科駅と地下鉄東西線で京都・大阪・滋賀の3方向に出やすい一方、人口は-5.0%と11区で減少幅が最も大きい区です。
掲載価格中央値はJR山科駅の徒歩圏で2,135万円(80〜100㎡は3,780万円)と、価格の抑えめな水準がそのまま魅力になっています。
ただし区全体の人口が減るなかでは、駅徒歩圏とバス圏で将来の流動性に差が出ます。
「今の暮らし」に合うことを大切にしつつ、10〜15年後に売る・貸す可能性があるなら、そのときの相手を想像して選ぶことをおすすめします。

京都で資産性を保つために意識したい3つの視点

どのエリアを選んだとしても、資産価値の維持に効く共通の判断軸があります。

① 駅徒歩圏か、バス依存か。どの路線で、どこへ出るか
京都では区の名前より、どの駅の徒歩圏かで検討者の数が変わります。
大阪へはJRか阪急・京阪か、滋賀へはJRか地下鉄東西線か、通勤先ごとに軸になる路線が違う点も京都ならではの確認ポイントです。

② 建物・管理の状態と、京都ならではの制約
土地の価値は立地の影響が大きい一方、接道条件や再建築の可否も評価に影響し、建物の状態は売却時の査定に直結します。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金が計画に比べて不足している管理組合が36.6%にのぼります。
京都市では管理計画認定を受けたマンションが152件(2026年9月8日時点)あり、100件に到達した2025年10月時点では認定取得率が政令指定都市で1位でした。
戸建てや京町家では、細街路に面した敷地の再建築の可否や、景観地区の外観に関する基準が、将来の買い手の見込み方に直結します。
制約の内容は、別記事「
京都市の住まい選びで後悔しないために」で整理しています。

③ 出口を想定してから買う
売る・貸す状況を先に想定して選ぶと、後悔しにくくなります。
京都では、非居住住宅利活用促進税(いわゆる空き家税)が2030年度から課税開始予定で、民泊についても規制強化に向けた検討が進んでいます。
観光需要を出口の前提に置かず、住む人・借りて住む人の需要で見ておくのが堅実です。
長期保有を前提としつつ、出口は「もしもの時の保険」として備えておく姿勢が、資産として機能させる基本です。
なお、「価格が高い=資産性が高い」とは限りません。大切なのは、需要と流動性の裏付けがあるかどうかです。
購入・賃貸を問わず、再建築の可否や景観規制、流動性を物件ごとに確認したい方は、
こちらのLINEからお気軽にご相談ください。

まとめ

京都市は、人口こそ減少局面にあるものの世帯数は増え、大学・企業・行政・観光と需要源が複数ある街です。
ただし、その需要の強さは駅・路線・住環境で異なり、高さ規制による供給の制約も、すべての物件の価格維持を意味するものではありません。
同じ60〜80㎡でも駅によって中央値が約4倍違うとおり、資産性は「どの駅の徒歩圏で、どの路線を使え、どんな物件か」で大きく分かれ、需要と流動性の裏付けで判断することが、資産価値を守る住まい選びにつながります。

京都市での資産性を意識した住まい探し(購入・賃貸)のご相談は、LINEからお気軽にお問い合わせください。
エリアごとの将来性や物件の流動性について、個別に整理してご案内いたします。
京都の街全体の特徴は、別記事「
京都市はどんな街?」もあわせてご覧ください。


ONZA Estate | 滋賀・京都エリアの不動産仲介